どうなる兵庫県知事選!?
兵庫県知事選挙が告示され、立候補者は街頭演説など選挙活動をしてる。
私は、立憲民主党と自民党の組織票を集める前尼崎市長の「稲村和美」氏と、完全無党派になった前職の「斎藤元彦」氏の二強の争いと見ている。前参議院議員の「清水貴之」氏は、自民党の組織票を切り崩せれば、この2人に割って入ると見る。
斎藤氏にとっては、3年間の実績に対する信任投票になるが、今回は不信任決議による失職で県議会やマスコミを中心に強い批判を受けており、「逆風」の中での選挙戦になる。
基本的に『選挙は組織票で決まる』ので前職が優位だが、県議会の満場一致で失職した斎藤氏に組織票は無いため、無党派層の「風」に頼る特殊な状況となっている。
一方で、稲村氏は、既成政党の組織票だけでなく、兵庫県初の女性知事への期待感や市長時代の財政再建や暴力団追放の実績から、無党派層を含む幅広い支持を集めることが想定される。
兵庫県民以外の人にとってはどうでもいいことで無関心で構わないと思う。
なぜなら、知事選は県民が兵庫県の未来を考えて冷静な判断をして投票すべきと思うからだ。
県外の人が煽ったり囃し立てたり罵ったりするのはおかしい。(そう考えると、本来なら「部外者」の「立花孝志」氏が立候補して「当事者」になったのは理に適った行動で、彼なりに筋を通しているように思う)
ただ、noteに私見を書くと言ってしまったので、遅くなったけど書いてみる。(誰も読まないと思うけど)
・パワハラは原則として「公益通報」ではない。(消費者庁HPのQ&Aにはっきり書いてる)
・百条委員会の調査資料で県職員が証言するパワハラも、「公益通報」の対象となる刑事事件に当たるものはない。(そもそも録音データなどパワハラの客観的証拠が全く出てこない状況なので、県職員の主観的な証言の信憑性が怪しく、斎藤元知事が常習的にパワハラに当たる言動をしていたのか疑問)
・元局長の文書は全体から見て刑事事件性に乏しい内容であり、公益通報者保護法の「外部通報」に該当しない。(斎藤前知事が記者会見で文書の存在を明らかにするまで、文書を送られた警察・県議会議員・国会議員・報道機関の全てが無視していたレベルの内容)
・元局長への停職3ヶ月の懲戒処分は、文書のバラマキ、部下へのパワハラ、人事情報の無断持ち出し、公用PCの私的利用に対して行われたもので、処分の理由自体に問題はなく、3ヶ月の期間も妥当だと思う。
・しかし、文書の存在が判明した3月下旬に、片山前副知事が中心になって行ったパソコン押収や誘導尋問といった調査手法は、停職3ヶ月の懲戒処分をするための手段としてはやりすぎで「職権濫用」に当たるため、この調査を元にした停職処分には手続的な違法性が認められると考える。
以上が、私の見解。
元朝日新聞記者の奥山教授の解説を視聴しても(noteも読んだ記憶があるけど記事を消しました?)、公益通報者保護法の要件解釈は詳しいけど、要件事実の「あてはめ」がかなり弱い印象を受ける。
「合理的な疑いを入れない」程度に明らかな公益通報者保護法違反と断定するのは難しいと、私は思った。
法律の世界でグレーは白だから、私は公益通報者保護法違反があったと見ていない。
しかし、労働事件としては問題だと考えている。たかが3ヶ月程度の停職処分をするのには、明らかに過剰な調査手法を用いている。
公金横領等の拘禁刑クラスの犯罪が疑われ、懲戒免職レベルの事案であれば、適当な手段だったと思う。知事が立腹してることを理由に、県職員に対してどんな調査を行っても許されるわけではない。
文書バラマキについて、当初は名誉毀損での刑事告発も考えていたそうだが、内部調査をする前に、警察に相談して、懲戒事件としての重みをよく検討すべきだったと思う。
そもそも県職員は、上司や県政への不服を人事委員会規則の定める方法で意見することが認められているため、知事への批判を一切行えないわけではない。そのため、片山元副知事が百条委員会で主張した「不正の目的」は法的におかしい。
また、3月12日の文書だけで「不正の目的」を認定できない。公用PC内のメール等は、「職権濫用」に当たる調査を行ったことで判明した情報であるため、考慮すべきでない(違法収集証拠排除の法理。ただし、3月12日の文書は、そもそも公益通報者保護法で保護される「外部通報」と認められないことは前述のとおり)
片山前副知事をはじめとした、斎藤前知事の側近「牛タン倶楽部」の4人は、「人事課」のエリートだったそうだ。「人事課」は法令や条例規則に意外と疎い(法律関係ではなく人間関係に関心があるため)。「法務課」のエリートが側近にいるべきだったと思う。
話が逸れたが、元局長に対する停職処分については、調査目的は正当でも、調査手段の必要性や相当性を欠いている場合は、その調査に基づき行った処分は違法になる、いわゆる「比例原則違反」が手続上認められると私は考える(行政事件訴訟法30条に定める「裁量権の濫用」であり、違法取消事由に当たると考える)。
しかし、元局長は停職処分を争わなかった。不服申立てや取消訴訟をしなかった以上、本人は適法かつ妥当な処分と受け入れていたと評価せざるをえない。
元局長は、停職処分による不名誉や経済的損失よりも、押収PCから判明したプライベート情報が世間に暴露されるのを一番嫌がった。
秘密のままにされているので、懲戒処分の理由になる内容ではないと分かる。
刑事事件化されていないので、横領や背任、盗撮や性犯罪になる内容ではないと分かる。
それなのに「人事課」が問題視している内容なので、県庁内の職場不倫ではないかと、私は見ている。(元局長も含めて、兵庫県庁の「人事課」のエリートは「無能な働き者」が多いように思う。県民目線で働いてないからだと思う)
なお、個人情報保護法において「死者」のプライバシーは保護されない。「死者」の個人情報を公開することで、「遺族」の名誉権やプライバシーが侵害されるかどうかが問題になる。
亡くなった人の個人情報保護の要請は低いため、元局長の倫理上問題のある行動が今後明るみに出る可能性はあるかもしれない。
冒頭に書いたとおり、兵庫県知事選は「兵庫県民」による審判であり、「部外者」がどうこう言う話ではない。
ただ、『どうなるかな』と関心を持って私は見ている。大きな「風」が吹きそうなので、行く末を見守りたい。
【追記】
兵庫県民一人一人の行動が大きな「風」を吹かせた。
斎藤さん当選おめでとうございます!
組織票をひっくり返す見事な逆転劇でした。
良き県政改革を進めてください。
(頑張ってる県庁職員はたまに褒めたり、感謝の気持ちを伝えたら、良い部下を多く持てるようになると思います。)
【補足】
公用パソコンの調査について、立花氏が美浦村役場の判例の存在に言及していたので、補足で私見を書いておく。(誰も読まないと思うけど)
兵庫県庁のセキュリティ対策指針には、職員が公用パソコンを私的に使用した場合のパソコン内のデータ調査に関する明確な規定がない。また、同指針の第42条にも「地方公務員法」が入っていない。
そのため、美浦村役場の判例のルールは兵庫県庁には適用されないと考える。(判例の射程外)
職場の所持品検査に関する一般的なルールが適用されるため、本人の同意なくパソコン内のデータを調査するには、調査目的の正当性だけでなく、調査手段としての必要性や相当性が求められると私は考える。その上で、元局長に対する処分には、手続上の比例原則違反が認められると考えている。
百条委員会の尋問を見た限り、片山元副知事を始めとした「人事課」のエリートは、リーガルチェックや弁護士相談を適切に行えていない印象を受ける。いじめやパワハラの調査や認定に当たって、なぜ第三者委員会を設けるのか、適正手続に関する基本的な理解がされていない。
「法務課」のエリートが側近にいれば、より法的な理詰めのされた対応ができたように思う。