誰がやるのか?カリキュラムマネジメントという新しい仕事

 こうした大学教員の思いつきに付き合わなければ学校現場は本当に不幸です。
 カリキュラムマネジメントも2020年辺りから学習指導要領に取り入れられるのを機に大学教員の話題に出てくるようになりました。しかし現場では本格的な実施を前に形だけ残して放置するという伝統的な手法を採用するようになったという話をチラホラ聞きます。
 まあこんなことクチには出せないのがフツーなので、推して知るべしです。
 土台無理なのです。カリキュラムが機械的ではアカンといいながら実際は機械的に決めていくという矛盾を結果的に行わざるを得ないからです。しかもかなり長いスパンで。ムリでしょ。思いついてもいいけど書く段階で気づけよというハナシ。この人たちには思いつきは一晩寝かすという発想はないのだろうか?

 そろそろ賞味期限切れを露呈し始めました。なかなかのナマモノ具合だな。ここまで短いのも珍しい。アクティブラーニング以来かな。そう考えると珍しくもないのかもしれない。

 いくつか芳ばしい欠点があるが、決定的なのは学習指導要領との関係を誰も言わないことです。
 特色ある学校づくりをめざしているというのは理解できるが、そもそも法的根拠があるといっているだけで根拠に乏しくそれぞれの相関の具合が見えにくいのにスタンダードとしてはなかなかしぶとい、ただのスローガン的なことしか書いていない学習指導要領とどう関連づければよいのかよくわかりません。
 一時期よのなか科みたいなのがあったのですが、あれもまあまあ意味不明です。あれだったら自主学習のほうがまだ学習指導要領との連結が効きます。そして子どもの能力という面にもコミットできます。教科新設は教える側の自己満足でしかない代物です。知識と技能に特化している方がまだ子どもにとっても分かりやすいです。

 私は子どもの能力開発は教科を分類することでできる部分と統合することでできる部分とに明確に分けられると考えています。
 おそらく附属学校を含めた全国の実験学校は総合的な学力やいわゆる非認知能力といった部分の能力獲得に、教科や領域を細分化する手法を用いています。新たに教科から分離した取り組みや新たな実践を用いてそれらと連動させます。
 その方が意味づけと評価がしやすいというのは理解できます。通常の授業で行なってしまうとどこまでがこれまでの取り組みで得られた学力で、どこからが新しい取り組みで得られた学力であるかを言いにくいからです。しかしこれは教員の側の身勝手な言い訳です。子どもにはなんの関係もありません。ただ報告書をまとめやすいし、新しい取り組みに意味があったと言いやすいからなんだろうということです。

 今の学校現場ではっきり言えることは、やった時点で全く意味のないことを探すことは相当難しいということです。子どもはなんらかの実践をすれば必ずレスポンスを返してくれます。それに意味づけをすることはなんら難しいことではない。ということはやった実践全てはそれなりに意味のあることになってしまいます。しかしそれでは学校現場は潰れてしまいます。全てをやれと言われている状況だからです。今の現場がまさにそれです。そりゃやれと言う方は楽です。言うだけにはさほど労力がかからないからです。しかしやる方はたまったものではない。
 多分大学教員や文科省はこのことを理解していない。好き勝手なことを言うだけ言って後処理をしない。そして教育委員会制度というのは言うだけ言う連中の間に入って伝達することを仕事にするという補完する仕事をする制度です。この三者の仕組みにマスコミが加わることですっとんきょうな出来事がいくつも出来上がっていくわけです。
 ついこないだも小一の壁というありもしない事実をあげつらって幻影に踊らされた人たちが作り上げた学校施設7時開門というシステムが、たった1ヶ月で全く利用者のいないというゲンジツを突きつけられていました。あんだけ大騒ぎしてこのザマかということしか感じません。やる前に気づけよというハナシ。part2
 言うこととやることは天と地ほどの差があるという何千年も前の先達が言ってくださっているだけのことです。
 
 教員の成り手を増やしたいなら「言うだけの人間」が自省すべきです。己の言行を振り返ってください。そして言うなら言うだけ覚悟を示していただきたい。
 そしてたまには「やめる」提言をしていただきたい。「やる」提言はサルでもできます。何でもやめる方が難しい。反対勢力への対抗のための理論武装が必要だからです。
 そして大学教員はたまには現場に役立つ文章のイッポンでも書いてください。手紙に便所のラクガキをして学術ですと宣っているのはあまりにも見苦しい。それならトイレの中だけで完結するハズですよ。

 少し辛辣ですが、教員がブラック化した理由はわりと単純だと思っています。現場が悪い部分もありますし。

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