真夜中のつぶやき|アナログ時代の恋愛術|覚悟と手間が半端ない
学生時代、気になる女子との接触に大変な苦労をしたものです。
それもそのはず、携帯電話(やEmail)が一般庶民に拡がり始める10年以上も前の話しだからです。
アナログ時代と呼ばれる頃です。
自宅の電話機は、黒い躯体にダイヤル式の固定電話と呼ばれるものが玄関(階段下)に一台ありました。
「チリリリン~チリリリン~」
と内部に仕組まれた呼び鈴が振動し着電を知らせます。
家族の誰が受話器を取るのか、運と言えば運です。
①たまたま近くに居た人、
②一階の居間でテレビを観ていた人、
家族内で暗黙の了解があったとしても、やっぱり運でしかなかったと思います。
そんな環境の中、好意を抱いた女子に連絡を取りたいと胸が昂り始めると、途轍もない苦労を覚悟することになります。
①今、女子は何をしている頃だろうか?
お風呂の時間だろうか?宿題始めた頃だろうか?
②今、電話したら直接電話を取れるだろうか?
家族の方が出たら何と言おう?
③まさか、お父様やお母様、姉妹、兄弟が電話を取らないだろうか?
お父様はとても厳しいらしい。
④もしも、女子でなかったら、何と言おうか?
「宿題のことで。」と切り出そうか。
⑤既に時間が遅過ぎはないだろうか?
「夜分すみません。」と必ず挨拶しなければ。
⑥電話BOXに出掛ける口実を考えなくっちゃ。
黙って出るか?缶ジュースを買うでいいか。
⑦10円玉を満タン用意しなくては。
ジャージに入れるとジャラジャラ音が気になる。
また、ズボンも下がる。
⑧果たして狙いの電話BOXは空いているだろうか?
先客がいたら次の候補地はどこにする。
⑨出掛ける時の表情は平静に保たねば。
にやけてはいけない。緊張し過ぎてもいけない。
⑩ところで女子には電話で何んと伝えようか。
映画に誘いたいけど、最初はどんな話題がいいだろう。
⑪長電話はダメだけど何分なら大丈夫だろうか?
10分だけで我慢しようか。足りるのか。
⑫女子が気兼ねなくお喋りできるだろうか?
近くに誰もいない?暑くない?寒くない?眠くない?
⑬次の電話の約束は必ず取付けなくっちゃ!
何日(何曜日)の何時頃なら女子が取れる。
⑭電話BOXが埋まっていたり、出掛けられなければどうしょう?
手紙を書くか?下駄箱に小さなメモを置くか?女子の親友に頼みこむか?
一生懸命に全神経を集中させて「女子と話せる瞬間」のための作戦を練りまくるのでした。
何日も何日も、
勇気を振り絞れず、
外出機会を見定められず、
明日こそは、明日こそはと、
心を震わせる日々が続きました。
そんなに気になる女子なのに、学校で顔を合わせても「何も言い出せない」のです。
こうして、地元の盆踊り大会に誘いそびれ、年末間近のクリスマスの一ケ月前に、ようやく一緒に映画に行く約束を獲得することができたのです。
それからというものは、ほぼ毎日20時に、電話BOXから女子に電話し、女子が直接電話を取る習慣が始まりました。
「電話一度「チリン」と鳴らすね!」
「もう一度、続けて鳴ったら俺だよ!」
「直ぐに取ってね!」
(その頃、ワン切りという言葉は未だありません)
週に一度は女子から私の自宅宛てにという冷やひやモノの日もありました。
(ひそひそ話しの違和感が玄関階段下の空間に漂っていました。)
「映画を一緒に観に行こう!」というデートの約束に、途轍もない労力と気力と時間を費やしていたのでした。
追伸
アナログ時代の恋愛術で重要だったのは「約束」と「信頼」です。
相手の状況を即座に知ることができませんでしたので
如何なる障害が立ち塞がったとしても、一度約束したことは必ず守り通すことで次への「信頼」を築いていったのです。
今想えば、何と根気のいるロマンティックな時代だったのだろうかと感心してしまいます。
現代の対比は敢えて言及致しません。
余りにも便利に成り過ぎて、全くの異次元だからです。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
今日も皆さまにとって素敵な一日でありますように。
* * * * *
※この記事の悩みどころ(表現として判断に迷った事などをメモし始めました)
・中学生~高校生時代の恋愛事情を懐かしく思い出しました。携帯電話(スマホ、ネット)の普及で世の中が全く変貌してしまったように感じます。
・アナログ時代の素朴な心を忘れたくない。と感じるのでした。
※参考・引用
<イメージ写真>
電話BOX|K&Rさん制作
https://www.photo-ac.com
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