0.2グラムのうどんに涙が止まらなかった日【子育て日記】
小麦アレルギーを持つ我が家の第二子くん。
先日小麦の負荷検査で入院した。
食物アレルギーを抱える家庭にとって、「食べる」という行為がどれほどの挑戦で、どれほど慎重なものなのか。それは、食事がただの栄養補給ではなく、命に関わる行動だから。
第二子くんにとって、小麦はまさにそんな存在だった。1度小麦によって強いアレルギー反応があり、死をリアルに感じたこともある。
これまで近所の小児科と国立病院の小児科を行き来し、何度も医師と話し合い、少しずつ準備を重ねて、ついに小麦の負荷検査に臨む日がやってきた。
負荷検査の日の前日は、緊張感で眠れなかった。
一度小麦で意識がなくなるほどのアレルギー発作が起こっているのに、何を安心材料に小麦製品を第二子くんの口に運ぶのか。
病院、という場所が唯一の安心材料。
0.5グラムの小さなうどんを一口食べさせることでどんな反応が起こるのかという不安で頭がいっぱいだった。
0.5グラムのうどんを食べた。
そして、何事もなくうどんを食べきった。
1時間後の経過観察、2時間後の経過観察もクリアした。
たったの0.5グラム。
ほんの一口にも満たない量かもしれない。でも、アレルギーを持つ親にとっては、それがどれだけ大きな意味を持つか、同じ境遇の人ならわかるはず。
検査が無事に終わり、クリアした瞬間に湧き上がる安堵感、そして前に進めた喜びで、涙で視界がにじんだ。
負荷検査でクリアしてから、次は自宅での挑戦が始まった。体調が良ければ、毎日0.2グラムのうどんを食べさせる。第二子くんは卵も自宅負荷をしているので、卵と同日にならないようにスケジュールを立てていく。
小麦は卵よりも、日々摂取を継続することを大事にする。その方が将来的に小麦が食べられる可能性が高まるのだそうだ。
負荷検査が終わってから、毎日が実験のような感覚で生きている。
カレンダーで卵と小麦の負荷が重ならないように確認して、いつ調理した食材か確認して、慎重に用意をする。他の食材が混ざったり接触しないように、細心の注意を払いながら、他の家族の食事を準備する。
毎日不安と隣り合わせ。「今日も無事に食べられますように」と祈りながら、0.2グラムのうどんを口に運ぶ。
その後の反応を慎重に観察する。無事に食べられた日にはカレンダーに丸を描く。小さな成功を積み重ねることが、どれほど大切か実感する瞬間だった。
食物アレルギーを持つ子どもの親は、常に食べ物に対して注意をしなければならない。食品のアレルギー表示を確認し、外食時にはどんな食材が使われているかを確認する。うっかり忘れたは命に直結する大問題。
そして、何よりも怖いのが「食べた後の反応」。ほんの少しのミスが、アナフィラキシーのリスクを生み出す可能性がある。
毎日の食事が、危険と隣り合わせ。他の家族は普通に食べているものを、我が子は食べられない事実が、時に胸を締め付けることもある。泣きたくなる時もある。
でも、そんな中でも少しずつ前に進めている今、成長している我が子の姿に励まされる。
やっと。やっと食べられるようになった、たった0.2グラムのうどん。
小指の爪にも満たない量だけれど、この一歩がいつか大きな前進につながると家族みんな信じている。
子育ては、時に思い通りにいかないことの連続だけれど、小さな成功が積み重なって、日々の中に確かな成長を感じることができる。それはアレルギー児も普通の子も一緒。
この一歩を大事に、これからも進んでいけますように。
明日も、いい1日になりますように。