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『乾物入れ』

私が小さい頃、我が家は台所を祖母が賄っていました。
明治女の祖母は、全て丁寧な料理でした。
都会暮らしもあって、洋食も作る、進んだ人でした。

その祖母が大事にしていた物で、昔の冷蔵庫がありました。
50×80cm程の箱型の昔の冷蔵庫。
中は2段になっていて、上の段に氷を入れて冷やすシステムでした。扉や中も、保冷の為、金庫のように厚くて、内側はブリキ板でできていました。

こういう冷蔵庫でした。


私が、思い出す時にはもう、電気冷蔵庫が我が家にはあり、その冷蔵庫は本当は要らない物でした。
しかし、祖母はその冷蔵庫を『乾物入れ』にしていました。
大分は、誰もが知る椎茸王国です。
いつも家には干し椎茸がありました。

出汁は、昆布に、椎茸、鰹節、いりこで、出していましたから、いつも家にはあります。

いりこの腹出しをよく手伝いました!


他には、かんぴょう、干し大根、ひじき、高野豆腐、干しわかめ、お麩、、、etc.

案外、乾物ってあるものです。
祖母の料理では乾物は大活躍❗️
そして、この冷蔵庫も活躍していたのでした。

祖母が亡くなり、料理が苦手な母は、この乾物入れが邪魔でした。
外にある物置に移動させていました。

私が家から出て行った後、母に
「あの冷蔵庫、骨董価値があるから、取っていてね。」と、お願いしていました。
なんとなく、祖母が大事にしていた冷蔵庫です。捨てるには心惜しい気持ちがありました。

しかし、母が少し認知症が現れてきた頃、なんでも処分したがる母は、いつの間にか冷蔵庫を処分してしまっていました💧

そして、母の乾物はといえば、台所の引き出しに20年くらい残っていて、輪ゴムで閉じただけの袋の中身は、虫が付いてボロボロになって残っていました。
せっかく、良い乾物入れがあったのにですね。

料理好きの祖母しか、要らなかった物ですが、祖母が作ってくれていた、乾物のご馳走は、あの冷蔵庫から出していたのを、見ていました。
美味しい思い出です。




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