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恐怖の水泳教師

小学生の間、私は泳げませんでした。
身体が弱いところもありますが、単に水が怖かったからです。
小学6年の夏休み、市内の泳げない子ども達の為の水泳教室があり、参加する事になりました。

市営プールでの教室で、50人程の子供達が来ていました。下は3.4歳くらいから上は中学生くらいまででした。
全然泳げない人と少しは泳げる人に分かれ、年齢別にグループができました。
私は全然泳げなかったので、お子様プールで、ゲームの様にビート板のトンネル潜りから始めました。
少しずつ水に慣れて少し楽しくなった頃、子供の悲鳴が聞こえてきました。
周りを見ると大人プールに、小さいおじさんが子供達を次々と突き落としているのです。
まだ、小さい子は、そのおじさんが抱き抱え、そのまま一緒にプールへダイブしていました。
無表情でです。淡々と子供を突き落とす様を見てしまいました。
やっと、水に慣れてきたところなのにその風景はショックで、恐ろしくなりました。
一週間の水泳教室でしたが、そのおじさんに見つけられない様に隠れながら過ごしました。
運良く見つからずにすみ、その教室のお陰様で泳げる様になりました。
水より怖い先生が居たからかもしれません。

高校になった時です。
この高校では最低25m泳げないと卒業させてもらえない学校でした。(教師志望の多い学校だったからかも)
一年はクロール、二年は背泳ぎ、三年は平泳ぎと決められていました。
初めてのプールの日、プール担当の先生に会うとあの、水泳教室のおじさんではないですか❗️
スーッと背筋が凍る思いをしました。

水泳の授業も始まり、やはり、上手く泳げない人には容赦なくビシビシしごく先生でした。
目立たないよう細心の注意を払いながら授業を受けていました。
ところが、途中、運が悪い事に、部活の剣道部で、腕を突かれ、病院に行くと「腱鞘炎」だという事で、スポーツは一切してはダメになりました。
その間に、プールのテストはあり、私は受けられなかったという事で、夏休み特訓に参加させられました。
夏休み毎日、二週間ほどプールがあり、補習時間内は、休みなく泳がされました。
学校のプールは、底が斜めになっていて、深い方に泳ぐと、全然足が届きません、で、必然的に50m泳がないと行けないシステムになっていました💦
その後、剣道部の練習があり、若かったとはいえ、かなりハードな日々でした。
結果、無事、25m泳ぐテストもパスして特訓は終わりホットしました。
先生に目をつけられる事なく過ごせました。


ある時、その先生が、学食でラーメンを注文して、ニコニコとテーブルに着いてさぁ食べようとした時です。
テーブルには大きな業務用の胡椒の缶が置いてあり、振りかけられる様に蓋に穴を開けていました。
それを持ってラーメンに振りかけようとした瞬間、蓋がラーメンに落ちてしまったのです。
蓋だけではありません。
大量の胡椒もラーメンの中に落ちて山を作っています。

蓋に穴をあけていました。


その時、先生は無言で、顔をひきつらせて誤魔化していました。
周りの人達も唖然として、その後笑いを堪えながら見て見ぬふりをしました。が、
その話しは直ぐに学校中に広まりました。

また、夏休みなどには先生の小学生くらいの子供達を学食で食べさせている姿も見かけました。
いつもと違う笑顔を見ました。
良いお父さんでした。

怖い先生でしたけど、どこか憎めない人間味がある先生でした。
その後、バリバリ働く、例えるなら「竹を割ったような」性格のその先生の奥様に会う事がありました。
小学校の先生をなさっていた奥様を見て、あの鬼教師も、家だと違う生活をしているのだなと、感じ、ホッコリしました。

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