『規則より思いやりが大事な場所で』を読む(私広告2)

 畏友その1に勧められて、『ぼけと利他』(伊藤亜紗/村瀬孝生)を読んだが、よくわからない。著者のおひとりの伊藤亜紗さんの肩書に、東京工業大学リベラルアーツ研究院教授というものがあり、このリベラルアーツに引っかかってしまい、読みながらも頭の隅に「リベラルアーツってなんだ」というのがあって、それが読解力を低減させたのかもしれない。
 そんな矢先、『毎日新聞』(24年2月24日)に、川畑博昭という方が寄稿した『規則より思いやりが大事な場所で』(カルロ・ロヴェッリ著)の書評が出ていた。その書評のタイトルが「リベラルアーツの真骨頂」というものだったのである。
 普通、「真骨頂」がわかれば、その本体(リベラルアーツ)もなんとなくはわかるはずだ。それで、『規則より思いやりが大事な場所で』を読んでみた。
 とてもいい本で、図書館で借りて読んだのだが、これなら買ってでも早く読むんだったと思ったくらいである。
 『シェアハウス・ロック』では、以下の章(項)を紹介した。
・リベラルアーツ再び―『規則より思いやりが大事な場所で』を読む0608
 ここは、元の章(項)タイトルと違っている。元のタイトルは「ダンテとアリストテレスと三次元球面」である。この三題噺めいたタイトルで、それぞれを多少なりともご存じの方は、内容の見当はつくと思う。
・「不平等はなぜ存在するのか」(in『規則より思いやりが大事な場所で』)0609
 ロヴェッリは、ジャン・ジャック・ルソーの『人間不平等起源論』から書き起こし、平等について言及しているが、ここでは内容の紹介よりも私が言いたいことを言っているほうが多く、あんまり読書案内にはなっていない。ゴメン。
・「ロリータとイカルスヒメシジミ」(同)0610
 この項は、まあまあ読書案内になっている。中身にスティーブン・ジェイ・グールドが出て来たので、そのあたりから私はやや脱線気味である。ゴメン。
・「コペルニクスとボロ―ニャ」(同)0611
 これは、読書案内に十分なっている。安心してお読みいただきたい。どさくさまぎれに言いたくなったことが山ほどあったが、それは自制した。
・「無は無である。ナーガルジュナ」(同)0612
 この項は、さすがのロヴェッリも歯が立たなかったみたいだ。ナーガルジュナは漢字圏では龍樹のことで、龍樹の『中論』についての項である。西欧人であるロヴェッリには、「無」≠「空」がいまいちピンとこないようだ。
・「達人」(同)0613
「達人」は、ジョルジュ・ルメートルのことだ。神父であり、宇宙物理学者。こういう人は意外に多い。超有名どころで言えば、「メンデルの法則」のグレゴール・ヨハン・メンデルも神父さんである。
 ちなみに、カルロ・ロヴェッリは理論物理学者だ。
 なお、ルメートルが膨張宇宙モデルを唱えたのは、ハッブルが膨張宇宙を発見する2年前である。詳しくは以下ファイルで。
・「アフリカでの一日」(同)0614
 ロヴェッリが終日うろうろとンブール(セネガルの都市)を彷徨い歩き、最終的にモスクに入ったときの話。書籍のタイトル『規則より思いやりが大事な場所で』はこの項から採っている。
 以下の2つのファイルに収められている。
・シェアハウス・ロック2406初旬投稿分
・シェアハウス・ロック2406中旬投稿分
 でも、この本はわかったものの、「リベラルアーツそのもの」はいまだによくわからない。
 なお、タイトルの(私広告)は、ノーマン・メイラーの『ぼく自身のための広告』のモジり。『私自身のための広告』では長いので、(私広告)と短くした。今後も(私広告)を投稿するつもりである。

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