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わが家の定番 炙りさばのみそ風味そば みかんの皮とねぎの香りをそえて
はじめに
ことしもおしつまってきた。あっというまの1年がすぎた。そうなると年越し。わが家の恒例でちょっと独特な、でもあとをひくそばをいただいた。
めんが好き
けっこう、めんには目がない。うどん、そうめんにかぎらずパスタも。塩分さえ用心すればかなりの頻度でつくりたい。
そしてそば。ほんとうはいちばん食べたくなる第一の候補だが、めんのなかではタンパク質の多い部類。そのためタンパク質制限中のわたしには低頻度でしか食べられないもののひとつ。
暮れのこのときぐらい食べてもいいだろうというわけで、待ちに待った機会。
さばのだしを使って
住む地域ではむかしからそばの収穫を祝う収穫祭がもとでそばがふるまわれた。そばをひいて粉にして手打ちする。数年前まではこの集落の一大行事だったが、忙しい日常、さらに昨今の状況下にありいまはその機会はない。
それに代わりなるべく手をかけないでほぞぼそと各家庭でつくるかたちに。いつでもつくれる日常の料理にかわりつつある。
暮れが近づきふところもさびしく、しかもさむいのであたたかいものが食べたい。それならわが家の定番のそばしかあるまいという論法で、乾麺ではあるが朝からそばをゆでた。
湯を沸かし、冷蔵庫のやさい室にある白菜などをきざみ、だし昆布をきざんで入れ乾麺のそばとともにゆでる。
やさいがやわらかになったところでさば缶(水煮)とみそを投入。もちろんさばみそ缶でもいい。
ひと煮立ちしてできあがり。とりわけてからきざんだこねぎやおろしたしょうがやみかんの皮の黄色い部分をこまかくみじんぎりにしたものをお好みでトッピング。これだけ。
ただしこのレシピは簡便法。じつは本格的につくるには…。
本格的には…
収穫祭ではさば缶のかわりに、生のさばを七輪でじゅうじゅう音を立てつつあぶった身をほぐして使った。冬の海でたっぷりあぶらののった身からあぶらを炙って落とし、たいへん香ばしい風味とよいだしがとれた。
新鮮なさばが入手できたときには、いまでもそこからはじめることがある。やはり格段においしい。
手打ちだと大なべでたくさんつくる。2度めに火を通すととろりとしてきて口あたりがやさしく、しょうがもあいまってからだが芯からあたたまる。わたしはこの火の通し加減のものがもっとも好き。
雨の降るたびにさむくなる時期の定番であり、雪のちらつくのを横目にしながら冬越しの準備にかかるこの地域のごちそうのひとつだった。たしかに手打ちといい、だしの準備といい手間と時間がかかっている。
おわりに
地域に伝わる伝統の味かもしれない。はじめに記したようにさば缶をつかう簡便法でもじゅうぶんあじわえる。けっこうしっかりしただしなのでそばに負けていない。
この時期にまっさきに食べたくなるめんのひとつ。残していきたい。