身近に接すれば接するほど親しみの湧いてくる棟方志功の版画たち
(2023.11.13,11.14加筆)
はじめに
数年まえのこの時期に取引先のかたからカレンダーをいただいた。表紙には棟方志功の版画。けっこう大きく、学習サポートのしごと場ではこれをかざるスペースがない。おとずれるこどもたちに見せたかったがやむなくわが家のかべに。
カレンダーは月ごとに変わり彼の作品をたのしめた。一見すると素朴だが力強い。見はじめからすぐになじめるうえに印象深い。1度見るとわすれないし対象の存在感がしっかりあり、せまりくる迫力にみちている。
きょうはそんな話。
棟方志功展
ちょうど今の会期のなかば(2023.10.6–12.3 )で国立近代美術館にて「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」が開催されている。はるか遠方に住むわたしにはあいにく今回はチャンスがない。しかし鑑賞したい展覧会のひとつ。
こちらが公式サイト。
noteのわたしのべつの記事をお読みくださったdumbo1989さんのご記事を拝見して知り得た。掲載のご許可をいただけたのでここへ引用する。
(dumbo 1989さん、ありがとうございます。)
カレンダーで
取引さきのかたから数年まえのこの時期にカレンダーをいただいた。家でひろげるとかなり大きい。主宰する学習サポートのこどもたちから見える場所にかけたかったが、あいにくそれだけのスペースが確保できない。やむなくわが家のリビングで毎月たのしんだ。
棟方志功の版画は大きいという印象がある。実物はこんなに小さかったのかと思うことすらある。それだけ画面からあふれでるような迫力に圧倒されてしまい大きく感じるのかも。
視力のよわい彼が牛乳びんの底のようにぶ厚い眼鏡をかけて、這いつくばるような姿勢で顔が版木につくほどに近づけて一心不乱に彫る。そんなようすをなにかの映像で見たおぼえがある。ちょうど上の展示会の公式サイトのチラシにはそんな彼のしごとをはなれたにこやかな表情の写真が大きく掲載されている。
https://www.munakata-shiko2023.jp/pdf/flyer_01.pdf
朴訥な写真の表情とうってかわり制作中の彼は想像できないぐらいの迫力にみちあふれている。一見すると作品はどれも彼のキャラクターそのままのよう。
しかしこうして1か月おなじ作品をカレンダーの印刷ではあるがながめ、それぞれの作品の背景やものがたりを知りつつもう一度目をむけると奥深さがかんじられる。素朴でシンプルな表現ゆえにすんなりと作品の世界に入れて、普遍的な美としてかんじられる。それぞれ実物をみたいなあというきもちになった。
おわりに
そして色づかい。この展覧会のサイトは白と黒を基調に彼の作品イメージからのデザイン。ところがカレンダーにはそうしたモノクロでしあげた力強い作品のほかに彩色をほどこしたものがあり、こちらもあじわいぶかい。
なにより色づかいがわたしのこのみと一致している。そんなに色数があるわけではない。赤、青、きいろ、そして茶などむしろあっさりしている。
黒の極太の輪郭線とはあまりかかわりなくこうした色がほんわりとはいると、かぎられた色数にもかかわらずそれこそ無数の彩りをはなちひろがりをみせる。作品の世界に自由にあそぶような感触。やすらぎをかんじる。たしかに日々ながめるカレンダーにふさわしい。ふとシャガールの色づかいをいつのまにか連想した。
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