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老風満帆

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医者になって半世紀。  はじめの3分の2は産科医として飛びまわり、そのあとは老人医療 にも携わってきた。 「揺り籠から墓場まで」を実践する人生行路であった、と振りかえれば……。 …
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記事一覧

筋トレを始むる前に先ず着替え(爺医)

 こんな川柳を捻る余裕ができたのは、つい最近のことである。  それまでの苦難の日々を短歌…

尻呼吸の臨床試験か屁の名人(爺医)

 青森県の小さな町に住む屁尾刻蔵は、幼い頃から特異な才能を持っていた。  彼は「屁の名人…

懲りざるは人間なり! と哭く地球(爺医)

 戦争が常態化している地球。  何とかならぬかと、生成AIに話しかけた。 「おとぎ話の桃太…

親孝行せむと思へど「too late !」(爺医)

 午後三時のコーヒータイム。  敬老の日の午後、いつもどうり三人分の豆を挽きドリップする…

十六歳(じふろく)のセーラー服の母まぶし(爺医)

 仏壇脇の棚から、色あせた緋色のアルバムが出てきた。  表紙からは「青森縣立弘前高等女學…

全面がタバコに煙る全国紙(爺医)

 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO Framework Convention on Tobacco Control …

名月や時空をこゆる視座に立つ(爺医)

 宇宙の年齢は138億歳。 「太陽の余命は50億年」と聞く。  その最期の瞬間に向けて膨張し続ける太陽は、いずれ地球をも飲み込んでしまうらしい。  わざわざ戦争で殺しあったり環境汚染で破壊したりせずとも、人類を含めて地球は丸ごと消滅する運命なのである。  数十億年後の話だろうが……。 地球上から独裁体制なくならずあたら数多(あまた)の命失はる(医師脳) 「人類史の陰に植物史あり」と聞くも地球視座での主役は如何に  もしそんな(全てが終わった)状態に立てるなら、何が見

死に際のいいちこ氷に笑みし爺(爺医)

 近頃、よく耳にする「ついのすみか」という響き。 「終の棲家に……」と、妻と二人で確保し…

膝やめば思ひ出すなり東医体(爺医)

 書斎から真正面に岩木山(津軽富士)、その左裾野に〈百沢スキー場〉が遠望できる。 「津軽…

「団塊」は定義かへても高齢者(爺医)

 エイジズム(Ageism)とは、年齢に基づく固定観念や偏見・差別のこと。多くは高齢者に対して…

五階なら階段つかふ健診医(爺医)

 若いころから、病院内のエレベーターに乗らず、階段を使ってきた。 「患者さんが優先的に使…

腰痛に白袴ぬぐ整形医(爺医)

 M3ラウンジの『時事・ニュース』グループで、岡田菊三先生の一首に目がとまった。 「年を…

子どもらの誕生日に思ふ己が老い(爺医)

 家族の連絡用として、フェイスブックのプライベートグループが便利だ。  冒頭の句は娘の誕…

「こんな国いやだ」と向かふあてもなし(爺医)

 吉幾三という歌手を御存じだろうか。  青森県北津軽郡嘉瀬村(現・五所川原市)出身で、1984年に自身が作詞作曲した「俺ら東京さ行ぐだ」がヒットした。主人公が生まれ育った「無い物尽くし」の田舎が嫌になり、東京へ出ようとする歌詞である。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%BA%E3%82%89%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%81%95%E8%A1%8C%E3%81%90%E3%81%A0 「テレビもね~ラジオもね~」のアノ