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プラトン著「クリトン」の読書感想文

プラトン著「クリトン」を青空文庫で読みました。


週末の夜に軽い気持ちで覗いた扉の向こうで興味深い会話が交わされていました。

アテナイの牢獄の中でソクラテスに対してクリトンは脱獄を勧めます。それに対してソクラテスは「それは本当に善いことなのか?」とクリトンに問いかけます。そこからソクラテスは「悪に対して悪で対することは正しいことか?」と問いかけを進めます。
現在では「毒を以て毒を制す」等の考え方があるので「悪に対して悪で対抗することは善である」との論理が成立するでしょう。勧善懲悪の正義の味方は悪の手段を取ることが非常に多いです。

更に対話が進んでソクラテスは「国家に対して法に従う事を自分の意志で選択したのにそれを破る事は正しいことだろうか?」と自身と国家との対話の形でクリトンに説明します。そして、彼は自分の意志に従って行動する事を決断します。

「知識人や大衆の意見に従う事は本当に正しいのか?」、「国家が判断を間違えたときに従うべきか?」と読みながら考えてみました。

私が脱獄を勧めたクリトンの立場ならばソクラテスの意志を無視して、強制的にでも脱獄を選ぶでしょう。彼の知性は脱獄の弊害よりも公益性が高いと判断します。彼は脱獄を後悔して、隠遁した生活を選択して世俗との接点を断ち切るかもせれません。しかし、私はそれで満足するでしょう。墓石と生身の本人ならば後者の方が少しはマシだと思います。

週末の夜に軽い気持ちで覗いた青空文庫で非常に貴重な体験をさせて頂きました。ネット、デジタル、オンラインは大嫌いです。しかし、意外な掘り出し物があるので無視することは決して出来ません。国家も正直に白状すれば嫌いですけど生活する上で無視できない存在です。形は違えど似たようなモノなのでしょう。
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