見出し画像

デザイナーとして事業成長に貢献する上で「数値成果に対しての熱量」と「責任領域の拡大」にこだわる理由

皆様、ご無沙汰しております。
前回の記事からしばらく経ってしまいました。
この2年間は、本業1社 & 副業2社の3社体制という激務の中に身を置き、デザイナーとしてのキャリアを高めることにフォーカスしていました。

今回は、この2年間の経験を通じて気づいた「デザインとビジネス」について考えたことをシェアしたいと思います。

今回の記事で、デザインとビジネスを結びつけたいと思うデザイナーたちにとって、今後目指すべき方向性や、行動をおこなすためのきっかけとして、何かお役に立つことができれば嬉しい限りです。

約5500文字程度でかなりボリュームが多くなってしまいましたが、どうぞお付き合いください。

デザイナーとしてのバックグランドについては、前回の記事もご覧いただけれるとうれしいです✌🏻



ここ2年間どのようなことを経験をしてきたのか

前職の制作会社から、現在のアライドアーキテクツ株式会社への転職をきっかけに、インハウスデザイナーとしてさらに成長できる環境を求めて、副業という形で挑戦してみようと考えてました。

様々な方へ会いまくった結果、仕事時代の知り合い、大学時代の知り合いのそれぞれから、「プロダクトを作っていきたいが、UIデザイナーがいないので手伝ってほしい」という形で、ほぼ同時期に業務スタートしました。

それぞれの関わっていた事業内容はこのような感じです。

  • 本職:ToB / 自社開発 / マーケティング系 / Horizonzal Saas

  • 副業1:ToB / 自社開発 / 不動産IT系 / Vertical Saas

  • 副業2:ToC / 自社開発 / バックオフィス系 / Horizontal Saas

自身のデザイナー成長戦略として「デザインの価値を経営に拡張していき、デザインで事業を前進させることができるデザイナー」という方向性を目指しており、プロダクトデザインの実務だけではなく、
異なる領域のビジネス・プロダクト戦略に関わり、幅広い視点をインストールしたいと考えており、上記のような幅広い事業会社のデザイナーとして副業経験をしていました。

副業と一言でいっても様々な形はあるの思うのですが、私の場合は「1人目デザイナー」としてのポジションで、「事業を前に進めるためになんでもやる系デザイナー」として様々な経験をさせていただきました。(私からの提案で始まるものもかなり多くありました)

プロダクトデザインやコード実装はもちろんのこと、ディレクション、Web・LPデザイン、ロゴデザイン、販促ポスターチラシの作成、展示会ブースの空間デザイン、マニュアルページの作成、ブランディングデザイン、営業資料の作成、マーケティング施策の検討などなど、「え、それデザイナーなのにそこまでやるの?」というくらいまで隅から隅までやっていました。

私はワークギークかつデザインギークなので「やった!またデザインとビジネスについて深める経験値をゲットしたぜー」くらいのノリで働いていました。

この経験があったおかげで、「デザインとビジネス」についての多くの経験と視点をインストールすることができました。

「デザイン経営」という言葉をどう捉えるか

デザインは単なる見た目・形状という意匠的な価値を超え、事業戦略構築の最上流からデザインの考え方・実践を通して、事業パフォーマンスを最大化していこうとする動きは、IT界隈ではよく目にすることが多くなり、もはや常識化しつつあります。

私もその「デザイン領域を拡充させていき、プロダクト→事業→経営にデザインを浸透させたい」という想いの実現のために奔走しているその1人です。

しかし、このデザイン経営という言葉、デザインを経営に浸透させたい意味合いなのに、
「経営陣のデザインリテラシー」vs 「デザイナーのビジネスリテラシー」という無意味なバーサス構造も同時に生み出しているのでは?という印象を持つことがあります。

これは、デザインを経営に浸透させていくためには、デザインのROIにデザイナーが向き合っていく必要があるにも関わらず、デザインの価値を最初から認めてもらおう、という期待値から生じている課題のような気がしています。

「ROIに向き合う」というのは、データ分析・数値的示唆などのアウトプットが欲しいというより、なぜ〇〇をやる必要性が、今の盤面で必要なのか?このコストに対しての効果がいつ・どのようにリターンするのか?というロジックでも良いと思います。

まず、デザイナーとして金銭感覚をしっかり持っているか、ビジネスパーソンとして価値観をデザインの中に持とうとする点が「ROIに向き合う」上での核心部だと思っています。

もちろんデザインのすべてが数値化できるわけではないのだが、このROIを考えなければデザインの価値を十分に認識させることは難しいと考えています。

数値成果に対しての思考を巡らせることは、デザイナーとして事業を成長させる上で、重要な工程です。

そして数値成果に対しての思考を巡らせるためには、「デザイナーから他部署に染み出していくこと」がまず0歩目として大切になっていくと考えています。

デザイナーから泥臭く、他部署に染み出していくことの意味

「言うは易く行うは難し」とはまさに言い得て妙、デザイナーとして他部署に滲み出していくことはハードルが高いように思われるかもしれません。(他部署に対しての業務内容の解像度が低いなどの理由で)

他部署への滲み出し方は色んなアプローチがあると思いますが、
「アンテナの感度を高く持って、草の根運動を繰り返すことで、デザインの価値を正しく理解してもらう」
という姿勢をまず持ってみるといいかもしれません。

デザイナーという生き物は、他職種からすると意味不明な宇宙人だくらいに思われていると考えた方がいいと思っています。(多分あるあるだと思います)

デザイナーと話したことない、どう接すればいいのか?どこまでのビジネス用語を知っているのか?事業の盤面をどこまで把握しているのか?、、、、などなどデザイナーという冠を被せるとかなりバイアスがかかってしまう。

このような状況は、ベンチャービジネス・スモールビジネスの現場などでよく目の当たりにする光景だと思います。

そのような状況下だとしても、デザイナーとして草の根運動をする上で重要なスキルセットは、「高い社内フリーランスを持つ」ということです。

社内には「これ情報的にどうしたら分かりやすくなるかな」「営業資料のここ、もっとこだわってみたい」「ヘルプページの文章がしっくりこないな」という、これデザイナーさんにお願いするまでもない系の声が数多く存在する。

この声に常にアンテナを立てて感度を高く持って、デザインを実務に落とし込んだ提案ができるか、がデザインの価値を広げる上でめちゃくちゃ重要なのだ。もはや、半強制的にデザインに巻き込むくらいのノリでいい。

デザイナーとして言語化・可視化するという能力は、息をするように活用できているけど、他部署からすると実はすごいスキル、という可能性もある。
この言語化・可視化を半強制的に体験してもらうことで、「また〇〇の部分で、デザイナーさんの手を借りてみて言語化・可視化してみよう」という社内の信頼ポイントが貯まっていく。

例えば、社内メッセージツールの投稿にすぐ反応したり、全然関係性のないスレッドまで確認して、これだったらデザインの提案できそうだな、みたいな感じで常にデザインできる余地がどこかにないかアンテナを高く張ることも大事です。

このあたりの具体的なTipsなどはまた別のNoteなどで書いてみようと思う。

まずは、この何事にもデザインできる余地がある、という目線で何事にも責任を持って反応するとうことからはじめてみるといいと思います。

私の好きな言葉として、「Responsibility」という言葉があります。

単純に直訳すると「責任」なのですが、私はレスポンスするアビリティ(Response + Ability= Responsibility)、つまり反応する能力を持つことこそが一番の責任なんじゃないかと考えています。

他部署に対しても感度よくレスポンスすること、つまり「責任領域の拡大」と言い換えることができます。

この地味で泥臭い活動の中に、デザインの価値を正しく理解してもらう意義があると思います。

デザインとビジネスを近づける上で、重要な「デザインへの熱量」とそれを裏付ける「行動量」

前段では、「デザインをビジネスに浸透させる」上での基本的な考えについて述べました。

これを実現する上で、デザイナーとしての実績・経験も当たり前だが相応のものが必要であることも事実です。

デザインへの想いの熱量に負けないくらい、数多くの経験と視点、そして挑戦体験と失敗体験が必要です。

ただの口だけ意識高い系 / 信用の低いデザイナーになってしまってはもったいない。

デザインとビジネスを近づける上で大事だと感じているのは、「デザインへの熱量」とそれを裏付ける「行動量」だと思います。

自身は3社体制を2年間通して、「デザイナーとしてどうしたら事業を前進させていけるか」という事業に対して真摯に向き合い、とにかく成果を引き寄せられることをやるという点にファーカスを置き、手を動かしてたくさんの経験を身につけることができ、さらにデザインとビジネスについて理解が深まったと感じています。

とりあえず自分を追い込みたい、という一心で、睡眠・食事の時間以外はすべて働いてました。(どんな思考回路してんだ)

でもこれ割と真面目な話をすると、ワークライフバランス価値を中心にしているキャリアからは、熱量と実績は中々生まれないんじゃないかっと思っている。(これはあくまで自論です)

それくらい、「デザインへの熱量」を高く持ってビジネスにどう接続すれば良いか、ということを実務の成果を残すことで学ぶことができました。

今思うと個人的にもまじで頭おかしいくらい働いていました。ですが、より経営に近づきたい、デザインの価値を証明したいという熱い熱量がすべての行動力の源泉なのだと思う。

やっぱり、どこまでいってもデザインギークだからこそデザインの価値について熱量を高く持てていたのかもしれない。

「事業を前に進めるために色々やる系デザイナー組織」としてデザイン領域を拡張中

私自身、2年間にわたる3社体制を通じて、デザインとビジネスの間にある境界線を模索し、新たな視点を得ることができ、さらに新しい挑戦をする機会ができました。

2023年の下半期から私は、アライドアーキテクツ株式会社のプロダクトデザイン部(略、プロデザ部)のデザイン室長兼リードデザインを務めさせていただき、「デザインをビジネスに浸透させる」という大規模組織でのデザイン経営アプローチを行なっています。

これまでのデザイン領域の図
デザイン領域を拡張していきたい図
プロデザ部のステートメント

採用の宣伝とかではないのですが、少しプロデザ部についてちょっとご紹介させてください。

プロデザの活動理念として、以下のステートメントを掲げています。

「デザインでビジネスを前進させていくために、デザインのチカラをみんなのチカラにしていく。」

経営、組織、プロセス、あらゆるものにデザインの考え方を融け込ませ、すべての人が“デザインのチカラ”を息を吸うように活用できる状態を生み出すことで、今まで以上に大きな課題解決と価値創造を可能にしていきたい、という想いを掲げています。

そしてプロデザの活動内容として、以下の大きな2点を掲げています。

「デザイナーがいなくてもプロダクトデザインの意思決定ができる開発チームを作る。」
「デザインを特殊能力にせず「お金」を意識するデザイン文化を作り、ビジネスサイドにデザインの価値について理解を広げる。(デザインのROI)」

アウトプット価値は当たり前だが、それ以上にプロセスから価値を生み出していくことで、デザインとビジネスの価値を最大化していける「事業を前に進めるデザイナー組織」を目指していきたいと考えています。

最後に

デザインとビジネスの結びつきは、現代のビジネス環境でますます不可欠であり、特にインハウスデザイナーがこの結びつきを実現するために成長し、学び続けることは非常に重要です。

しかし重要性を理解できる記事などがあるものの、そこにいたるまでにどのような方向性でどう実績を作るべきなのかは意外に書かれているものが多く
なりません。

それは模範的な回答があってそれ通りに進めれば上手くいく、というはなく、先人のデザイナーもどこから・どう始めていくか不安ながらも、誰もが認めざる得ない熱量と行動量で、ビジネスにおけるデザインの価値を広めていると思っています。

今回の記事で、デザインとビジネスを結びつけたいと思うデザイナーたちにとって、今後目指すべき方向性や、行動をおこなすためのきっかけとして、何かお役に立つことができれば嬉しい限りです。

いいなと思ったら応援しよう!