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私が惚れた中国故事成語たち

中国由来の故事成語で日本でもよく使われてる言葉、結構ありますよね。例えば矛盾、背水の陣、四面楚歌、虎穴に入らずんば虎児を得ず…みたいな

以前、私が中国文化や歴史、中国語に興味を持ったのは三国志が始まりだったという話をしましたが、それ以外にも史記を読んだり、孫呉の兵法、老子、韓非子、戦国策など割と多岐にわたって諸子百家や中国古典を大学の図書館にこもり中国語の勉強も兼ねて原文で読み込んでいた時期がありました。卒論も孫子の兵法だったり…

実際中国に行ってみると故事成語でも日常会話でよく使う言葉や、全然浸透してない言葉もあったりしました。

そこで今日は私が大好きな故事成語を使い勝手の良い順に紹介しようと思います!

百闻不如一见(百聞は一見に如かず)

<使い勝手・・・★★★★★>
漢書・趙充国伝の一 節から来ている言葉ですが、これは中国語で言っても確実に誰にでも通じるポピュラーな慣用句です。なんていうか楽したい人間に情報は足で稼げ!的なメッセージにも聞こえてベタながら座右の銘にしています。

马马虎虎(馬馬虎虎)

<使い勝手・・・★★★★★>
これ、日本ではたぶん使われてない言葉ですが、中国語では「いい加減」「テキトー」な意味でも使われますし、「まあまあ」とか関西人の「ボチボチでんな」的な意味でも使われます。
この故事成語は結構面白くて

宋の時代にある画家がいました。

いつも心の赴くままに描いてしまうので、何を描いているのかわからなくなってしまいます。
ある時、この画家は虎の頭を描きあげました。

すると、ある人が来て、馬の絵を書いて欲しいと依頼しました。
そこで画家は、先ほど描きあげた虎の頭に、馬の体を付け加えました。

来た人は、これが馬なのか?虎なのか?と聞いたところ、画家は「馬馬虎虎」だと答えました。

来た人はこんな絵はいらないと言ったので、画家は絵を居間に飾りました。
画家の長男はこの絵を見て、これは虎だといい、次男はこれは馬だといいました。

時は流れて、長男は狩りに出かけました。
その時、長男はある人の持ち馬を虎だと思って撃ち殺してしまいました。
この画家は、馬主に賠償金を支払う羽目になりました。

また次男が出かけたところ、虎に出くわしました。
その時、馬のように乗ろうとして、虎に咬み殺されてしまいました。

画家は非常に悲しんで、絵を焼き払い、自責の念を詩に書き留めました。「馬虎の絵、馬虎の絵、馬でもあり虎でもある。長男は馬を撃ち殺し、次男は虎に咬まれてしまった。こんないい加減(馬虎)な絵は焼き払う、自分から学べることは何もない。
茅盾 《子夜》より意訳

https://blog.enjo.life/chinese-mamahuhu/

なんで馬とか虎っていうのかなぁとずっと疑問だったんですが、こんな教訓に由来していたと分かってからは噛み締めるように使っています。

滴水穿石(点滴が石をうがつ/雨垂れ石を穿つ)

<使い勝手・・・★★★★>
微力でもたゆまず努力を続ければ成就すると言う言葉。日本語だと「石の上にも三年」とかがよく使いますかね。雨のしずくが気の遠くなるような年月を経て石を貫くってなんかオシャレな表現じゃないですか?似たような言葉で「铁杵磨针(鉄の棒が研磨されて針になる)」という慣用句もありますが、個人的には滴水穿石の方が好きです!

三十六计走为上计(三十六計逃げるに如かず)

<使い勝手・・・★★★>
これ中国人で仲良くしていた友達がよく使っていて「三十六计!」と言ったら話し相手が「走为上计!」とコンビ芸のように言ってたのがカッコ良かったので、僕も多用してます。シチュエーションとしては、面倒くさい大人がやって来た時に「逃げるが勝ち!」みたいなシーンで使います。(どんなシーンやねん)

说曹操,曹操就到(噂をすれば影)

<使い勝手・・・★★★>
噂話をしていると本人が急に現れる・・なぜかそんな場面に出くわすことってよくありますよね?それを三国志の悪役「曹操」に例えて、曹操がやってくる!と表現するところに中国人のユーモアが詰まっている感じがして好きな言葉です。私は最初に覚えた上記表現で使っていますが、人によっては「说到曹操,曹操就来」と言ったり、「说曹操,曹操到」とコンパクトに言う人もいました。
说曹操,曹操就到・・・三十六计,走为上计!と合わせて使っても面白いかもしれませんね。

知彼知己,百战不殆(彼を知り己を知れば、百戦殆からず)

<使い勝手・・・★★>
孫子の兵法で一番有名な一説かもしれませんね。慣用句としては「知彼知己百战百胜(彼を知り己を知れば百戦百勝)」と言ったりもしますが、私は原典に忠実に「百战不殆(百戦して危からず)」という言い方の方が好きです。孫子の兵法って戦術書でもあるんですけど、国益を最優先に考えて戦わずして勝つという部分が根底にあったりするんですよね。私が大学生の時に沼にハマった孫子の話もいずれnoteに書きたいと思っています。

皆さんのお好きなことわざや成語も、もしかしたら中国古典由来かも?
一度調べてみると、面白い故事や壮大な中国史の1ページを探れるかもしれません。


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