桜桃
6月13日は、太宰治が玉川上水に身を投げた日だ。
私は毎年その日を迎えると太宰治の話を読む。
今年読んだのは『グッド・バイ』と『桜桃』。どちらも短くて読みやすいため何度も読んでいる。
太宰治が死んだ日に太宰治の話を読んだ後何をするか。
玉川上水に行くことも、カルモチンを飲むことも現実的ではない。せいぜい桜桃を食べるくらいしかやることはない。
それで日付を跨いでしまったが、桜桃を買いにスーパーへ出かけた。
桜桃の旬は5月から7月頃まで。勿論今日も売っていた。しかし、高い。1箱2000円とか、1パック700円とかしてしまう。
『桜桃』の中で父が言っていたように、さくらんぼは「ぜいたくなもの」である。
作戦変更。さくらんぼを使ったお菓子やゼリーを探す。
これが、ない。何故だろう。
チェリーという言葉が言葉狩りにあってしまったのだろうか。もしくは、加工に向かないのだろうか。
また、作戦変更。さくらんぼの代用品を探す。
アメリカンチェリー。これもまあまあいい値段がするが、佐藤錦よりは幾分安い。
アメリカンチェリーの小パックを1つ購入した。
家に帰り、アメリカンチェリーを努めて美味しそうに、「食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き」、そうこうしているうちに食べ切ってしまう。
心の中で呟く言葉は「何か違う」
それだけだった。
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