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他者との比較から生まれる「嫉妬」は幻想に気がつくことで和らげられる

「嫉妬」
今日はこの感情について書こうと思います。

▽嫉妬とは

「嫉妬」と聞いて最初に思い浮かべるのは、恋愛などのシーンで思い浮かべる人が多いと思う。
自分が好意を持っている相手の興味や関心・愛情が自分以外の人や物に向いたときに起こる”ねたみの感情”を「嫉妬」と理解している人は多いと思います。

しかし、嫉妬は恋愛シーンだけではありません。
あらゆる人間関係の中で嫉妬心は生まれ、幸福を遠ざけてしまっているのです。
イギリスの哲学者ハートランド・ラッセルは『幸福論』の中でこのように述べていました。

「通常の人間性のあらゆる特質のなかで、嫉妬は最も不幸なものの一つである。嫉妬深い人は単に他人に不幸を加えようと望み、また罰せられることなしになし得ることなら何でもやってのけるだけではない。さらに自分自身もまた嫉妬により不幸にする。嫉妬深い人は自分の持っているものから楽しみを取り出すかわりに他人の持っているものから苦しみを取り出す。」

ハートランド・ラッセルは『幸福論』

「嫉妬」は自分自身を不幸にする最も大きな要因の一つだとラッセル氏は述べていて、嫉妬が不幸になるなんて考えた事がなかったので驚きです。

嫉妬とはそもそも、他人が自分より優れている、恵まれていると思ったときに感じる、「そねみ」や「ねたみ」といったネガティブな感情のことです。

恋愛シーンでは、自分が好意を抱いている人が別な人と楽しそうに話しているのを見たときに

「自分より、その楽しそうにしている人の方が好きなんじゃないか?」
「自分と話している時より、その人と話している方が楽しそう」

というように無意識に自分とその人を比べて、自分の方が劣っていると感じたときに起こる感情が「嫉妬」なのです。

▽同じレベルの相手に嫉妬する

例えば、ビジネスシーンでも同期が自分より出世したり、大きなプロジェクトを任せられたりしていたら嫉妬する人がいると思います。
そのように自分が嫉妬する相手は自分に近い人間で、無意識に比較の対象にしているのです。

私たちが特に嫉妬を感じるのは、年齢や、職業や、環境や、暮らしぶりが「自分と似た人たち」に対してだ。

『Think clearly』 ロルフ・ドベリ

嫉妬は、友人、知人、または同年代の人など、何らかの自分との共有点がある人と比べてしまったときに起きる感情なのだが、SNS時代では安易に共通する人を見つけ出してつながり、タイムラインに流れてくる盛られた投稿を目にすることは避けられないため、自分の日常に「他者と比較する」が無意識に組み込まれてしてしまっているのです。

SNS世代の現代人は嫉妬心を抱きやすく、自分自身を不幸にしていると言えるのではないでしょうか。

▽嫉妬を抱かないための対処の方法

一番の対処方法は「他者と比較をしない」です。
だけど、今の世の中で他者と比較しないで生きていくことは不可能です。

嫌でも”他人の幸せが”目に入りやすい時代なので

「いいなぁ〜結婚して家族を持ってマイホームを建てて幸せそうだ」
「自分よりいい車に乗っていて羨ましい」
「仕事でこんなに辛い思いをしているのに、あいつの仕事は楽しそうだな」

などといった嫉妬は生まれやすいと思います。

以前にそのような事からInstagramを辞めたという人の話をnoteに書いた事がありました。

しかし、SNSの写真だけで自分と比較をしてしまうように、意識したことにだけ焦点を当てて比較をしてしまっていることに気がついていないのです。

例えば、

  • 乗っている車を比較しても、それを買うための労働を比較していない。

  • 住んでいるマイホームとアパートの比較をするけど借金の金額は比較していない。

このように自分が注目していることだけで判断してしまっているのです。
または「高級車に乗っている人の方が幸せそうだ」というように、「○○だから幸せそうだ」と何かの判断を行うときに、自分が注目する要因が持つ影響力を実際以上に重要視してしまっている。
この傾向を、心理学で「フォーカシング・イリュージョン」と言います。

【フォーカシング・イリュージョン】
何かの判断を行うときに、自分が注目する要因が持つ影響力を実際以上に重要視する傾向のこと

心理学・行動経済学者 ダニエル・カーネマン

そのため、まずは「フォーカシング・イリュージョン」に気がつくことが重要だと思います。

”注目したことだけ”を過大評価してしまい、そのほかに目を向けていなかったことに気がつくだけで、「嫉妬」という反応を和らげることができるかもしれません。

フォーカシング(焦点)イリュージョン(幻想)
「目の前の羨ましいそれは幻想かもしれない」


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