見出し画像

「3つのよいこと」 1週間やってみた結果

1週間ほど前に、ポジティブ心理学の実践手法の1つ「3つのよいこと」について記事を書きました。

元々、自分自身で取り組んでみたいと思って、やり方や効果を調べていたので、それをまとめたのが先の記事でした。

今回は、「3つのよいこと」を実際に1週間実施してみて、感じたことや効果(主に、PERMA-Profilerの結果の変化)を書こうと思います。

試してみようかな…と思っている方の参考になれば幸いです。
また、すでに試された方や、実践中の方、コメントいただけると大変嬉しいです。

「3つのよいこと」とは

「3つのよいこと」とは何か?を、簡単に説明します。
(詳しくは、上記の記事をお読みいただければと思います)

やり方は簡単で、
・寝る前に、その日あった良かったことを、3つ書く
・それぞれについて、うまく行った理由も一緒に書く
というだけです。

これを1週間続けることで、Wellbeing(特に、ポジティブ感情)が向上する、ということが多くの研究で示されています。
さらに、一部の研究では、その効果がしばらくの間(例えば、半年)継続した、という結果も報告されています。

1週間やってみました

実施概要

基本的には、上述のやり方に従って実施しました。

ただ、
・必ずしも寝る前でなくともよい(寝る1〜2時間前の場合もあり)
・うまくいった理由は、書けそうな場合には書く(無理して書かない)
という形でやりました。

実施期間は、4/25(月)〜5/1(日)、の7日間です。
PERMA-Profilerは、金沢工業大学のこちらのサイトで、4/25(1日目)と5/2(8日目)に測定しました。

私の「よいこと」たち

実際にやってみて出てきた「よいこと」をいくつか紹介します。

昼ご飯に食べた、カニクリームコロッケが美味しすぎて感動した

面倒に感じていた仕事をやり遂げることができた
理由:仕事をチャンクダウンして、1つ1つ着実にこなしていったから

noteの記事を投稿できた
理由:完璧主義をやめて、評価に対する恐怖をアクセプタンスすることができたから

やりたかった勉強を、いくつか進めることができた
理由:目標に向けて、進みたいという意欲を持てている・意識できているから

家に帰ってきて、「自分の家って居心地がいいなぁ」と思えること

自分の場合は、
・「〜が出来た」系
・「ご飯が美味しかった」系
が、結構多かったです。
(やっぱり、美味しいご飯を食べると幸せな気持ちになります…)

他の人と、自分自身の「よいこと」を共有し合うと、さまざまな感じ方・捉え方を知ることができて面白いかもしれないですね。

実際にやってみて感じたこと、4つ

1.簡単に続けられる、が、実感するほどの効果はなかった

新しく始めることがだいたい「三日坊主」な私ですが、毎日寝る前10分ということもあり、簡単に続けられました。測ってはいないですが、時間は各回10分もかかっていないと思います。また、ベッドにノートを置いておくことで忘れることは無かったです。

一方で、実感するほどの効果は特になかったです。
元々、ポジティブ・ネガティブのいずれかに偏っていたということもなく、比較的フラットな状態でこの取り組みを開始しましたが、終了した時点でもその感覚は大きくは変わらず、という感じでした。

2.自分に対する発見のきっかけになる

良かったこと①です。
なぜ上手く行ったのかを書く中で、自分自身をやや客観的に振り返ることになり、自分に対する発見や再認識することが多くありました。

特に、「自分の特性」や「習慣となっている行動」は普段あまり意識することが無いので、それらが上手く作用した出来事や場面を意識できたことは良かったです。
継続的に取り組むことで、自信に繋がったり、自分の強みを活かしやすくなったりするだろうなと感じました。

3.良いことって結構すぐ忘れてしまう

今回この取り組みを実施して、結構驚いたことが、
良いことであっても、人はすぐ忘れてしまう、
ということです。

昼間にあった良いことで「これ、夜に書こう」と思っていても、夜になると「あれ、何書こうと思ってたんだっけ?」となることが二、三度ありました。
「よいこと」を意識していてもこうなので、普通に生活をしていたら、日々のちょっとした「よいこと」はドンドンと忘れ去られてしまうのだろうな…と思いました。

ですので、1日の終わりに文章として記録し、いつでも確認できるようにすることは、大切な作業と感じました。(良かったこと②、でした)

4.「今日はあんまり良いことなかったなぁ」と思うことも

最後4つ目は、若干のデメリット。
私が元来ネガティブ思考ということもあり、「よいこと」があまり思い浮かばなかった日に「今日はあんまり良いことなかったなぁ」と少し暗い気持ちが顔を出しました。

人に依る部分はあると思いますが、「よいこと3つなんて、私の生活にある訳ない」と思うような方にとっては、私と似た形で、逆に落ち込む原因になりかねないかなと思いました。(なので、取扱はやや注意かも、と思った次第です。)

実施前後でのPERMA-Profilerの比較

実施前後のPERMA-Profilerの結果を載せておきます。

グラフの見方ですが、左6つのPERMA+Overalが、Wellbeingの指標となっています。一方で、右3つは、ネガティブ感情(N)、自覚的身体健康(H)、孤独(Lonely)です。一般的には、Wellbeingの6つとHは数値が高いほど、NとLonelyは数値が低いほど、良いと言えます。
各領域の詳細説明は、末尾の「おまけ:PERMA-Profilerの9領域」に載せていますので、そちらも併せてご参照ください。

以下、前後のグラフです。

開始前
1週間後

Wellbeing指標の6領域では、P(ポジティブ感情)と E(何かに没頭する)が大きく(数値で1以上)上がっており、R(人とのよい関係)が若干下がっている以外は全体的に上がっています。
また、その他3領域では、Lonely(孤独)が大きく、N(ネガティブ感情)が少し下がっています。一方で、H(自覚的身体健康)は、若干下がって(悪くなって)います。

私自身の感覚としては「嘘みたいに良い結果だな…」と感じたので、それについて少しだけ考察します。

  • 文献[2]において、実験参加者自身がポジティブ心理学に関心を強く持っている場合、関心がない/薄い場合と比較して、効果が大きく出やすいことが示唆されています。今回私が関心を強く持って取り組んだために、効果が大きく出た可能性があります。

  • 同じく文献[2]において、夏休み直前にPERMA-Profilerの測定を実施した結果、「夏休み直前」という時期的な影響により、Wellbeing指標の数値が実験内容と無関係に高く出てしまったことが言及されています。今回の私の場合も、途中からGWに突入したので、その影響が出ている可能性があります。

ということで、後者に関してはすみません…という感じですが、簡単な考察でした。

まとめ

ポジティブ心理学の実践手法「3つのよいこと」を、実際に自分自身で1週間実施してみて、感じたことと効果(PERMA-Profilerの変化)について書いてみました。

感じたことに記載した、
・自分に対する発見のきっかけになる
・良いことって結構すぐ忘れてしまう
・「今日はあんまり良いことなかったなぁ」と思うこともある
は、言われてみればそうかも…と思わなくはないですが、取り組む前はあまり想定していなかったので、実際にやってみたからこそわかったが得られて個人的には面白かったです。

また、効果を実感するほどではなかった訳ですが、PERMA-Profiler的にはWellbeingが向上していたというのは興味深く思いました。

引き続き続けてみようかなと思っていますので、また暫くしたら経過観察を投稿できればと考えています。

最後になりますが、試してみようかな…と思っている方の参考になれば幸いですし、すでに試された方や実践中の方とコメント欄にてお話できると嬉しいなと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

おまけ: PERMA-Profilerの9領域

上記グラフの9領域の説明です。
PERMA-Profiler 日本語版の結果画面からの引用です。

P(Positive emotion)
全般的に,どの程度,楽しく,前向きで,満足して生活を送っているかの領域です。得点が高いほどポジティブ感情が多く生じていると考えられます。
E(Engagement)
生活全般で,物事にどの程度積極的に関わっているか,夢中になって取り組んでいるかの領域です。得点が高いほど主観的に幸福に向かう程度が高いと考えられます。
R(Relationship)
生活全般で,よい対人関係がどの程度持てているかの領域です。得点が高いほど人間関係の領域で主観的幸福感が高いと考えられます。
M(Meaning)
生活全般で,ご自分の生きている意味や意義をどの程度自覚しているかの領域です。得点が高いほど主観的幸福感も高くなると予測されます。
A(Accomplishment)
生活全般で,どの程度達成感を感じているかの領域です。得点が高いほど日々の生活で達成感を感じて生活しているので,主観的幸福感が高くなることが予測されます。
Overall
現在,すべてを考え合わせて,あなたがどの程度,あなたなりの人生を歩み,主観的な幸福に向かっているかの指標です。全体的な主観的幸福感の指標と考えられます。得点が高いほどその傾向が強いと考えられます。

 N (Negative emotion)
生活全般で,ネガティブ感情(不安,怒り,悲しみ等)がどの程度生じているかの領域です。得点が高いほどネガティブ感情が多く生じていると考えられます。 
H (Health)
主観的な身体的健康の領域です。高ければ高いほど身体面は健康であるとご自分では認識していると考えられます。医師による健康診断とは意味が異なりますので,ご注意ください。 
Lonely
生活全般における孤独感の領域です。高ければ高いほど,孤独感を感じることが多いと考えられます。

PERMA-Profiler 日本語版(金沢工業大学)

参考文献

[1] PERMA-Profiler 日本語版(金沢工業大学)
[2] 塩谷亨「ポジティブエクササイズ TGT(Three Good Things)を巡って」(北陸心理学会、2021)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?