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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。透明人間編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。透明人間編』

「すいません、少しお時間大丈夫ですか?」

同じ高校に通う友達の女子と2人で原宿に遊びに来たら、スーツ姿の男の人から声を掛けられた。

「芸能界に興味ありませんか?」

スーツ姿の男は名刺を私の友達に差し出した。

スーツ姿の男は芸能事務所の人間だった。

私の友達が原宿でスカウトされたのだ。

熱心にスカウトする芸能事務所の男と、まんざらでもない様子の友達。

そんな2人を隣で傍観する私。

・・・あれ?

私の事は放ったらかし?

そりゃあ私は関係無いからね。

・・・・・それにしても話が長いなぁ。

こんなシチュエーションで私はどう振る舞えばいいんだよ。

・・・・・あれ?

もしかしてだけど2人共、私の事が見えなくなったの?

いつの間にか私は透明人間になったの?

だからずっと放ったらかし?

はいはいそうですか、そういう事なら透明人間として振る舞おうかしら。

友達も、芸能事務所の男も、原宿を歩いている通行人も、もう誰にも私の姿を見る事はできない。

だから私を惨めにしたコイツらに透明人間がお仕置きしてやるわ!

確かドロップキックって名称でしたっけ?

透明人間になった私はしっかり助走を付けて、コイツらの後頭部に両足で飛び蹴りをお見舞いしてやった。

あらあら、ちょっとやり過ぎちゃったかしら?

完全に首、やっちゃったよね?

ごめんね〜♪

お大事に〜♪

・・・・・・

マジでコイツら、いつまで喋ってんだよ。

『今日も世界で誰かが虚しくなっている』

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