「使えないバイト」時代の苦い経験が役に立った話
先日、身の回りを「整理」するという旨のnoteを書かせていただきました。学生時代の学び(主に勉強)ってなんの役に立つんだろう、という疑問に対して、役に立つ状況が訪れても学んでなければ何の役にも立たない、という考えを述べさせていただきました。
学問ではないのですが、学生時代にしていたキッチンバイトの経験がまさに活きた、そんな体験を先日しました。過去があるから今がある的なお話です。将来何が役に立つかわからない、とりあえず今やってることを真面目に取り組んでみるとこの先良いことあるかも、という着想の元、学びを備忘録として綴ってみよう、そんな始まりです。
行きつけのお店で調理担当をさせてもらえることに
6~7年ほど通わせて頂いている隠れ家バーでのお話です。いつものごとく、ジンジャーエール片手に常連風吹かせて居座ってる時、マスターから近々宴会を行うという話を耳にしました。
人数を聞くと19人。平時でのお客さんの数は3~4名ほど。お店はマスター1人で経営しているので、1人で対応するには19人はとても多い数です。せっかくなら何かお手伝いできないか聞いたところ、「料理担当で手伝ってもらえると嬉しい」と言っていただきました。
以前からかなり自由にお店を使わせてもらっていたので、お礼できるチャンスでした。どれくらい自由かというと、勝手に調理場を使って好きな料理を作らせてもらったり、勝手にシーシャを導入したり、個室を仕事場として使わせてもらったり。
こう書くとやりたい放題ですね、マスターが寛大すぎるだけで、他のお店ではこんなこと出来ないと思います。今まで自由にさせて頂いたお礼ができる機会です。私の方からマスターにお願いして宴会の調理担当をさせていただくことになりました。
使えないバイト時代だった頃の私
学生時代、私はイタリアンの居酒屋でキッチンアルバイトをしていました。当時の私は非常に手際が悪く、先輩やチーフ、ホールの皆さんに迷惑をかけるようなダメダメバイトでした。料理の盛り付けが雑だったり、言われたことを覚えることができず何度も先輩に聞き直したり、下準備を忘れて料理の提供が大幅に遅れたり。前菜担当のまま中途半端に辞めてしまったこともあり、キッチンでバイトをしていた経験を話すのには若干の後ろめたさがありました。
何も活かせないまま「ダメなバイトだった」という苦い記憶を将来ずっと引きずるのは嫌でした。なので、バイトを辞めてからは当時課題だった「段取り力」と「丁寧さ」を磨くようになりました。今までは「物事は早く終わらせたもの勝ち」や変な箇所で「独自性」を発揮したがるタイプでした。
パワーでゴリ押ししつつ、天才肌感を演出したい厄介なやつです。これって組織で働く場合、特に再現性が担保された作業を実施する際に迷惑をかけることになるんですよね。最適化された作業を如何に厳守してこなせるか、みたいなのが求められていることです。その過程で無駄を省いたり、より属人化を無くした業務フローを構想できるほうが、よっぽど求められる能力なんだよなぁ〜と後になって気づきました。
過去の私にケジメをつける機会
当時のダメだった頃のおかげで、その後の日常生活や仕事への取り組み方が大幅に変わりました。怒鳴られる日々でしたが、こうして考えてみると、2年間勤めて良かったと思います。当時の先輩達には感謝しきれません。
当時アルバイト時代の私が最も苦手としていたのが何を隠そう「宴会(パーティー)」でした。10名程度なら良いのですが、これが30~40名となってくると地獄でした。調理場は前菜、肉場、メイン(パスタや煮込み)とそれぞれ3名で分担していました。人数は3名いれど、1人で前菜を数十名担当するのは骨が折れましたし、貸切でない場合はアラカルト(単品)の注文も入ってくるので常に頭がパンク状態でした。
そんな当時の私からすると、1人で19人の調理を担当するのは苦痛でしかなかったです。ただ、今なら当時に比べて「段取り力」と「丁寧さ」が格段に向上した自信があります。なので、むしろ楽しみなくらいでした。ちゃんとした意味で過去を乗り越えるため、今回の宴会のお手伝いは、当時の自分自身に対する挑戦状でもありました。
調理以外で活かせた学びが調理でも活きた
いわゆる原点回帰というやつです。バイトで出来なかったことを学びとして消化し、その後の生活や仕事に役立てていたら、バイトでしていたことと同じ状況で役に立ちました。
宴会当日、本業の仕事を手早く終わらせ行きつけのバーに向かいました。途中で食材を購入し、入店から提供後の流れまで鮮明にイメージをして挑みました。当時は慌てふためいたり調理場を汚したり洗い物を溜め込んだりと、悲惨な状況でしたが、今回は全て綺麗にこなすことができました。タイミングよく料理を提供し、同時に洗い物もしながら調理場が綺麗な状態を保ち、並行して次の料理が作られている状態。なんて効率よくて気持ち良いのだ、、、と手前味噌ですが自分の行動にえらく感動しました。
マスターも忙しい合間を縫って私が好きなノンアルカクテルをサービスで提供してくれたり、常連のお客さんも気を使って調理場に顔を出してくれたり。楽しいひとときを過ごす事ができました。料理も美味しく頂いてもらい、多くの人に喜んでもらえました。
過去の苦い経験は活かし方次第
苦い過去って蓋したくなるんですよね。いわゆる黒歴史ってやつです。私の場合、人よりも黒歴史の数は多いと思っています。当時絡んでいた人から、黒歴史をネタに笑われることだってあります。そのまま嫌な気持ちになることもできるんですが、良い機会だなと捉え方を変えることで前向きに消化することが出来ています。
アルバイト時代の自分を思い出すと「あの行動はナンセンスだったよな~、もっとやり方あったよな~」と苦笑いします。でも、他のやり方があると気付けるだけまだマシでもあるんですよね。そのまま意固地になって、やり方を変えないまま時間だけが過ぎると、それこそ当時の経験が何も活かせてない状況なんですよね。
「あの時こうしていればよかった」という考えが浮かんだ時こそチャンスで、「今ならどう活かせるだろう」という視点で過去を精算できるんだと思います。今回の調理場のお手伝いの件で、改めて良い学びを得るきっかけになりました。この機会をくれたマスターには感謝しています。
最後までこのnoteを読んでくださってありがとうございます。これを読んでくださった皆さんの苦い経験が良い学びに繋がることを願って筆を置くとします。