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お気に入りの心たち

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普通じゃない

普通じゃない

全員にすごいと思われなくたっていい
あなたに好かれなくたっていい
自分が愛してやれればいい
そんな自分と赤点ギリギリの生活を

世界を救わなくたっていい
何百億稼がなくたっていい
切りすぎた前髪が、流れずに済んだ一番星が
綺麗だなんて思える、
そんな良くはないけど悪くもない心が
世界を回してる

そのままでいい、きっとこれから先
あなた以外がみんな死んで
一人ぼっちになっても明日がくる
そんな毎日

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心はいつか

心はいつか

昔より、
人について、心について、
考えつくことが少なくなった

昔は、口を開けば
心はどこにあるのか
美しさとは何か
大人とは何か
子供とは何か
あなたとは何か
と思い付いては嘆いて憂いて
逃げてきた

今は、口を開けば
空は美しく
光が眩しく
雨は虚しく
美味しい、嬉しい、楽しい、好き、嫌い
全部の感情を思うままに吐き捨てられる

きっとこれが
心か、美しさか、大人か

流星の速度について考察

流星の速度について考察

流れ星を見た
都会のど真ん中です
その日はなんだか少しだけ空が広く見えてて
いつもより静かな夜でした

緑色の太い光が空を切り裂いて
僕の胸に飛び込んだ
その時なぜか涙があふれて
割と少し止まらなくなった
生きている、と

一瞬の時の流れに存在した価値も
先に帰っちゃった友達も
悲しいことを言うよ
僕たちは大人になっていっている

みんな、別々各々の正義に向かって、
交わった糸は綺麗に解けていく

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みずがめ座

みずがめ座

ひとつ思い出したことがあるんですけど、
昔好きだった彼女が
無邪気に裸足で砂浜をかける姿を
僕は好きという気持ちではなく
幸せという気持ちで見ていたんです

幸せとは、なるものではなく、
今ここにあると気づくもので、
(と、ありふれた言葉を吐きますが)
目頭が熱くなり両腕から力が吸い取られ、
脱力するような
じわりと鼻の奥に染みる味を思い出すんです
その時に幸せを感じる
僕はね

誰が幸せか誰が不

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心

桜より先に咲く花の名前を
僕は知らなかった
君も知らなかった
誰も知らなかった

陽の光が外気の寒さを追い越して
芯から温めていく

心という漢字は、心臓の形から成り立つ

この胸にあるものが心かといつも疑う
ただドクドクと自分勝手に動き回り
時に心配をさせ
知らない間に止まる
そんなものが心かと、いつも疑う

春が来てまたピンク色の夜が当たり前になった
抜け殻のような日々に光が溢れる
桜によく似

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煙

肺一杯に吸い込む煙と生活によく似た物語
精一杯に生きれば生きるほど
なんだか笑えてくるような

一つ悲しみを覚えてから
やめられなくなった思考から抜け出せない
どうにかしたいと思い尽くして
ひとつ各駅停車を見送って想う

あと何回ぐらいつまらないと気づいたら
諦めきれるんだよ

何か悪いことをしたくなったり
誰かを愛してみたくなったり
醜い気持ちを美しいものに塗り替えては
それに背負ってもらうなん

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美しいもの

美しいもの

いつまでも過去に囚われることは
広く美しい海に憧れるのと同じで

いつまでも未来を恐れてしまうことは
広く美しい空に憧れるのと同じで

いつまでも今を噛み締められないことは
広く美しい心に憧れるのと同じで

意味がない

トマト缶が教えてくれること

トマト缶が教えてくれること

朝起きて顔を洗う
冷たさに目が覚める

ゴミ出して郵便
ハガキが一通と冬の匂い

トマト缶とひき肉を使って
カレーを作る

半分余ったトマト缶を見て
鼻の奥が痛くなる

同じような毎日に見えて
本当は違うと思い込む

どうにかして昨日を書き換えたいと思い続けて
ただひたすらに擦り減らし続けても
いつかなんてこないし
ただただこの世を恨むことしかできなくて
そんなことを人と呼んで
そんな言葉を詩と呼

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大事なことはいつも

大事なことはいつも

どうしても何とかならないことがあるし
どうしてもうまくいかないことがあるし
どうしてといつも思ってることがあるし
どうにかしてといつも願っているけれど
どうにかしようとしたことは一度もない

それが空とか海とか心とかって喩えられて
コーヒー飲む時にいつも思い出すんだけど
苦いか熱いかで言ったら苦しいが正解で、
好きか嫌いかで言ったら
嫌いになれないが正解

そういう毎日に振り回されるのは
僕が人だ

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