トマト缶が教えてくれること
朝起きて顔を洗う
冷たさに目が覚める
ゴミ出して郵便
ハガキが一通と冬の匂い
トマト缶とひき肉を使って
カレーを作る
半分余ったトマト缶を見て
鼻の奥が痛くなる
同じような毎日に見えて
本当は違うと思い込む
どうにかして昨日を書き換えたいと思い続けて
ただひたすらに擦り減らし続けても
いつかなんてこないし
ただただこの世を恨むことしかできなくて
そんなことを人と呼んで
そんな言葉を詩と呼んで
誰かがいいと思って
誰かが怖いと思って
そんなもんどうでもよくて
でも本当はそんな自分にとって大事なことで
誰かが想う限り自分は生きて
生きる限り誰かを想う
幸せな歌が聴けなくなって
毎日同じ駅を反復横跳びしてる
昨日の雨に降られた桜も
まあ思ったより汚くないか
あなたが散った葉桜だから