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📚寓話📚

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人は生きるために、食べ物よりも物語を必要とすることがある。 − バリー・H・ロペス
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#短編小説

モイシュが学んだ成功への鍵|賃金の差は何を意味するのか?

モイシュが学んだ成功への鍵|賃金の差は何を意味するのか?

穀物商の店で働く若者、名はモイシュ。

彼の賃金はわずか2ズウォッティ。(ポーランドのお金の単位)

日々汗水流して働いているにもかかわらず、彼は不満を抱いていた。

ある日、ついにその疑問を主人にぶつけた。

「なぜ俺の賃金はこんなに少ないんですか?もう一人のモイシュは週に6ズウォッティももらっているのに。」

そう、同じ店で働くもう一人のモイシュは、彼の3倍も賃金を得ていたのだ。

主人は一瞬

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ラクダの頭の取り出し方|問題解決の落とし穴

ラクダの頭の取り出し方|問題解決の落とし穴

あるところに、1人の愚かな男がいた。

男はある時、瓶(かめ)の中に穀物を入れてラクダに与えていた。

ところが、瓶の中に頭を突っ込んで穀物を食べていたラクダは、食べ終わっても頭を出さない。

男はほとほと困り果てた。

そこへ1人の老人が近づいてきた。

「心配することはない。いい方法を教えてやろう。私の言うとおりにすれば、必ずラクダの頭は出る。まず、ラクダの首を切ってしまいなさい。」

老人の

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運命の双影

運命の双影

過酷な環境で育った双子がいた。

双子の父親は麻薬の常習者で、酒に酔っては母親と子供に暴力を振るった。

双子が30代になった時、心理学者が2人にインタビューを行った。

双子のうちの1人は薬物中毒になり、生活保護を受けていた。

彼の暴力が原因で、妻と子供は家を逃げ出していた。

心理学者は彼に質問をした。

「あなたはなぜ、こんなことを自分と自分の家族にしているんですか?」

「あんな家庭に育

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三つの願いで忘れ去られた心

三つの願いで忘れ去られた心

ある村に貧しいけれど謙虚でまじめに暮らしている夫婦がいた。

その夫婦の元に預言者エリジャが貧しい身なりで現れた。

エリジャが一杯の水を乞うたところ、その夫婦は「さぞかしお困りでしょう。お茶と一緒にパンをぜひ食べていってください。よければ今夜の夕食もいかがですか?」と家に招き入れた。

そして、夕食には可能な限りの料理を作ってエリジャをもてなした。

夕食の席で預言者エリじゃはその村人夫婦に「お

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泣き婆さんが見つけた、晴れても雨でも幸せになる秘訣

泣き婆さんが見つけた、晴れても雨でも幸せになる秘訣

南禅寺の門前に、「泣き婆さん」と呼ばれる女性がいた。

彼女は雨が降れば降ったで泣き、天気が良ければ良いで泣く。

雨でも晴れでもいつでも泣いていた。

南禅寺の和尚(おしょう)が不審に思い、こうお尋ねになった。

「一体、お前さんはなぜいつもそう泣くのか?」

すると婆さんは言うのだった。

「私には息子が2人おります。1人は三條で雪駄屋をやっております。もう1人は五條で傘屋をやっております。い

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子供に10個のクッキーを与える方法🍪

子供に10個のクッキーを与える方法🍪

10個のクッキーを子供に与える場合は、次のように行うべきである。

最初の日に1個、2日目に2個、3日目に3個、そして最後の日に4個与える。

そのようにすれば、子供は楽しみで期待に胸を膨らませていくようになる。

次に、最初に全部与える方法、あるいは最初に4個与え、次の日に3個というように減らしていく方法も教えることだ。

こうして、複数の与え方を示した上で、

「最初にいいことがあるのと、後に

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🦊狐と葡萄🍇

🦊狐と葡萄🍇

ある日、狐が葡萄畑の側を通りかかった。

あまりにも美味しそうな葡萄が垂れ下がっているので、畑に入ろうとした。

ところが、葡萄畑はしっかりと柵に囲まれていて、太った狐はその隙間を通れない。

そこで狐は考えた。

「よし、それなら野うさぎを捕まえるのをやめて何日も空腹を我慢すれば、痩せて柵の隙間を通れるようになるに違いない」

狐は餌を獲る狩りをやめて自分の巣の中に何日もこもって、空腹をじっと我

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「億万長者」は幸福への近道?遠回り?

「億万長者」は幸福への近道?遠回り?

ここはコスタリカの小さな漁村である。

1人のアメリカ人旅行者が桟橋に係留してあるボートに近づいて行った。

ボートには大きなカジキマグロが数本入っていた。

旅行者は漁師に尋ねた。

「何時間くらい漁をしていたの?」

漁師は「そんなに長い時間じゃないよ。」と答えた。

「もっと漁をしていたら、もっと魚が取れたんだろうね。惜しいなあ。」

「自分と自分の家族が食べるには、これで十分だ」

「じゃ

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