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📚寓話📚

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人は生きるために、食べ物よりも物語を必要とすることがある。 − バリー・H・ロペス
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記事一覧

与えることで満たされる食卓

与えることで満たされる食卓

地獄の食堂も極楽の食堂も満員だった。

向かい合って座っているテーブルの上には、美味しそうなご馳走がたくさん並んでいる。

地獄の食堂も極楽の食堂も決まりがあった。

それは、たいへん長い箸で食事をしなければならないということだった。

地獄の食堂では、みんなが一生懸命に食べようとするが、あまりに箸が長いのでどうしても口に箸が入らない。

食べたいのに食べられない。

おまけに、長い箸の先が隣の人

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いい暮らしへの最短ルート | 今すぐゴロ寝しよう

いい暮らしへの最短ルート | 今すぐゴロ寝しよう

「おい、そんなところでゴロゴロ寝てないで!勉強しなさい!」

「どうして勉強しなきゃいけないの?」

「勉強しないといい学校には入れないだろ!」

「どうしていい学校に入らないといけないの?」

「いい学校に入らなきゃ、いい会社に入れないだろ!」

「どうしていい会社に入らないといけないの?」

「いい会社に入らなきゃ、いい暮らしができないだろ」

「いい暮らしって何さ?」

「・・・そうだな。・

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同じ仕事に宿る3つの意識

同じ仕事に宿る3つの意識

旅人が、建築現場で作業をしている人に「何をしているのか」と質問した。

1人目の作業員は、「レンガを積んでいる」と答えた。

2人目の作業員は、「壁を作っている」と答えた。

3人目の作業員は、「大聖堂を造っている。神を讃えるためにね。」と答えた。

土の中に眠る奇跡 | 失われたすべてが黄金に変わるとき

土の中に眠る奇跡 | 失われたすべてが黄金に変わるとき

エルサレムに信仰厚く、慈悲深い農夫が住んでいた。

彼は大きな農園を営んでいたが、毎日祈りを欠かさず、毎年訪れるラバイ達(ユダヤ教の聖職者)にも、礼拝所を維持するための献金や、学校を作るための寄付など、惜しげもなく善を施していた。

ラバイ達だけではなく、貧しい人や、病気の人、年老いて動けなくなった人達にも、彼はできる限りの恵みを施した。

ある年に、大きな嵐がエルサレムを襲い、農夫の果樹園は風で

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欲望の代償 | ソロモン王と金の冠を望んだ雀たちの教訓

欲望の代償 | ソロモン王と金の冠を望んだ雀たちの教訓

ソロモン王はユダヤの最も有名な王である。

賢者の王は鷲の背に乗って空を飛び、国内の隅々まで視察して回ったと言われている。

ある日ソロモン王が鷲の背に乗ってエルサレムからはるか彼方の国を目指して飛んでいた時、たまたま体調が悪くて、鷲から落ちそうになった。

それを見ていた雀たちが何百羽と寄ってきて、ソロモン王が鷲の背中から落ちないように支えた。

これに感謝したソロモン王は雀たちに「お前たち雀に

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溢れる茶碗からの教え🍵

溢れる茶碗からの教え🍵

ある禅の高僧が弟子の1人を拙宅に招いた。

「教えを得るにはどうすればよいか」という弟子の悩みを話し合ううちに、

「さすれば...」と高僧はお茶を用意した。

そして、師は弟子の茶碗にお茶を注ぎ始めた。

しかし、一杯になってもまだ注ぎ続けた。

お茶は茶碗からあふれて、卓へと溢れ、すぐに床へと溢れた。

とうとう弟子は言った。

「もうおやめ下さい。お茶はあふれております。もう茶碗には入りませ

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永遠に満たされる男の結末

永遠に満たされる男の結末

1人の男が夢を見ている。

彼は死んでしまって、遠い遠いところにいる。そこはとても快適な感じがした。ちょっと休んでから彼は呼びかけた。

「誰かいますか。」

すると、すぐに白い服を着た人が出てきた。

そして、尋ねた。

「何かご希望ですか?」

「何かもらうことはできますか?」

何でもあなたのご希望のものを差し上げられます。」

「では、何か食べるものを持ってきてください。」

「何を召し上

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北風と太陽

北風と太陽

北風と太陽が彼らの力について言い争っていた。

議論ばかりしていても仕方がないので、勝負をしようという話になった。

最初の勝負は、旅人の帽子を取ることだ。

はじめに、太陽が旅人を照りつけると、旅人は日差しを避けようと帽子を深くかぶり、決して脱ごうとはしなかった。

今度は、北風が思いっきり強く、ビューと吹いた。

すると、旅人の帽子は簡単に吹き飛んでしまった。

次の勝負は、旅人の上着を脱がす

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満たされぬ壺と最後の問い

満たされぬ壺と最後の問い

「クイズの時間だ。」

教授はそう言って、大きな壺を取り出し教壇の上に置いた。

その壺に、彼は一つ一つ岩を詰めた。

壺がいっぱいになるまで岩を詰めて、彼は学生に聞いた。

「この壺は満杯か?」

教室中の学生が「はい」と答えた。

「本当に?」

そう言いながら教授は、教壇の下からバケツいっぱいの砂利を取り出した。

その砂利を壺の中に流し込み、壺を揺すりながら、岩と岩の間を砂利で埋めていく。

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市場ゼロか、巨大なチャンスか?|ビジネスの可能性を調査した3人のセールスマン

市場ゼロか、巨大なチャンスか?|ビジネスの可能性を調査した3人のセールスマン

香港で靴の製造会社を経営するある人物がいました。

彼は、南太平洋にある孤島に靴の市場があるかどうかを確認するため、1人のセールスマンを派遣しました。

このセールスマンは、島の状況を確認するとすぐに電報を送りました。

「島の人々は靴を履いていません。したがって、市場は存在しません。」

しかし、経営者は納得できず、2人目のセールスマンを派遣しました。

2人目のセールスマンからの電報にはこう書

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モイシュが学んだ成功への鍵|賃金の差は何を意味するのか?

モイシュが学んだ成功への鍵|賃金の差は何を意味するのか?

穀物商の店で働く若者、名はモイシュ。

彼の賃金はわずか2ズウォッティ。(ポーランドのお金の単位)

日々汗水流して働いているにもかかわらず、彼は不満を抱いていた。

ある日、ついにその疑問を主人にぶつけた。

「なぜ俺の賃金はこんなに少ないんですか?もう一人のモイシュは週に6ズウォッティももらっているのに。」

そう、同じ店で働くもう一人のモイシュは、彼の3倍も賃金を得ていたのだ。

主人は一瞬

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ラクダの頭の取り出し方|問題解決の落とし穴

ラクダの頭の取り出し方|問題解決の落とし穴

あるところに、1人の愚かな男がいた。

男はある時、瓶(かめ)の中に穀物を入れてラクダに与えていた。

ところが、瓶の中に頭を突っ込んで穀物を食べていたラクダは、食べ終わっても頭を出さない。

男はほとほと困り果てた。

そこへ1人の老人が近づいてきた。

「心配することはない。いい方法を教えてやろう。私の言うとおりにすれば、必ずラクダの頭は出る。まず、ラクダの首を切ってしまいなさい。」

老人の

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運命の双影

運命の双影

過酷な環境で育った双子がいた。

双子の父親は麻薬の常習者で、酒に酔っては母親と子供に暴力を振るった。

双子が30代になった時、心理学者が2人にインタビューを行った。

双子のうちの1人は薬物中毒になり、生活保護を受けていた。

彼の暴力が原因で、妻と子供は家を逃げ出していた。

心理学者は彼に質問をした。

「あなたはなぜ、こんなことを自分と自分の家族にしているんですか?」

「あんな家庭に育

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三つの願いで忘れ去られた心

三つの願いで忘れ去られた心

ある村に貧しいけれど謙虚でまじめに暮らしている夫婦がいた。

その夫婦の元に預言者エリジャが貧しい身なりで現れた。

エリジャが一杯の水を乞うたところ、その夫婦は「さぞかしお困りでしょう。お茶と一緒にパンをぜひ食べていってください。よければ今夜の夕食もいかがですか?」と家に招き入れた。

そして、夕食には可能な限りの料理を作ってエリジャをもてなした。

夕食の席で預言者エリじゃはその村人夫婦に「お

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