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tecteckpoo
安らげない日々
高校生になって徐々に遅刻が増え、さらに休む日が増えていった。
しばらくぶりに登校すると、私の名前と顔が一致していないクラスメイトが、私の噂話をしていて、私がいることに気づいた人が慌ててたしなめる、ということがあった。
私の知らないうちに、私は登校拒否の人ということになっていたらしい。
朝、目を覚ますと学校へ行きたくない、行けないと思う。
父が私の部屋のドアを乱暴に開けながら、「起きろ、このやろう」とどなる。
へとへとに疲れていて、横になっていたいと思う。
それでもとにかく布団から起き上がった。
父がバン、と音を立ててドアを閉めたらまた布団に横になる。
1分1秒でも長く寝ていたい。
10分おきくらいに父や母や祖母が交代で私の部屋に来て、何やってるんだ、急いで支度しろ、支度してるふりしやがって、とかわるがわる言って行く。
まずは両親とも働きに出てしまうまでの辛抱だ。
そのあとのことはその時考えよう。
今はとにかくこの場をやり過ごしたい。
私の祖母は詮索好きでなんにでも首を突っ込んできた。
両親が出勤した後は、祖母が見張り役を務める。
ただゆっくり寝たいだけなのに。
日によっていったん登校した振りをして、そうっと家に戻って靴を持って二階に上がり、クローゼットの中に隠れて息を殺してした。
クローゼットは狭くて横になれない。
また、たとえ横になれるだけの広さがあっても、いつ祖母に見つかるかという恐怖心で一時も安らげなかった。
こうして下校時刻まで長い苦しい時間を過ごすのである。
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