海外生活では拠り所が大切だと思う時
Vol.080
トレニイタリアの遅延に振り回され、帰りの電車もさらに遅延となって、もう遅延三昧でお腹いっぱいです! と思いながらも、ようやっとトリノへ到着。
幸いにもその日の夜は、娘が学校の友達一家とKーPOPのコンサートを観にパリまで行っていたので、帰宅が少し遅くなっても大丈夫ではあった。
へとへと帰宅には、なぐさめの一杯が大事
トリノポルタウォーヴァ駅から、歩く気力もなかったけど、一杯飲んで帰る! と思うと、俄然まだ歩けるんだ! と思う自分は、これが馬ににんじんだと感じた。
でもただどこでもいいから飲みたいというわけではない。
駅から徒歩15分ほどで、トリノにある最大級のクラフトビアパブ オープンバラデンへ到着する。
ミラノでの電車での不遇にも無駄な移動と、展示会でのダッシュ的な視察とで、足も結構疲れていたが、明るい素敵な場所を目掛けるとなると、結構動けるものだ。
到着すれば、
「ちゃお! 元気だった?」と、もうすでによく知ったスタッフたちが迎えてくれる。
いつものカウンター席に到着し、
「今、パルマから帰ってきて、電車の遅延でとんでもない日になったよ」といえば、
「おかえり! 大丈夫。美味しい一杯をいれるよ」 と、笑顔で答えてくれる。
そして、「面白いビールもはいっているから、飲んでく?」と、萎えていた好奇心も呼び起こしてくれる。
ようやっとホームに帰ってきたという気持ちになる。
ちょっとのポテトチップスと一杯のビールのありがたみを感じる
クラフトビールが到着し、ポテトチップスをつまみながら、今日のできごとを反芻する。
そんな反芻だが、あっという間に仲良しスタッフの茶々が入って止まる。
ビールが喉元を通り、ポテトチップスをつまみながら体が温まってくると、元気が出てきたので厨房スタッフのところへ挨拶に。
ここでも「おかえり!」と笑顔で迎えてもらって、私は幸せ者だなと思った。
娘が留守で帰ってもひとりだなーと思っていたけど、トリノには帰る場所があると思った。
ひと呼吸できる拠り所の心意気
日本でもそうだが、馴染というか拠り所にしているお店に温かく迎えられると、またそこへ足を運びたくなる。
それは決してマーケティングで行なっていないおもてなしというか心意気だと思う。
決して飲み歩くわけではない。そして自分の話を聞いてもらいたいわけでもない。
むしろ馴染みのお店のスタッフの笑顔と近況を聞けることが楽しかったりするのだ。
なので、海外生活で寂しくいたたまらない時にも、自分の存在を認知して、迎えてくれる場所があるということが大事だと思う。
海外生活だけでなく、日本の生活でも然り。
これもひとつの「いつもの」なんだろう。