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ローマ皇帝の愛した秘湯フィコンチェッラ

一時帰国するたび都内の日帰り温泉を愛用しているのですけどね。
昔は海の底だった東京は、どこでも深く掘れば温泉が出てくると聞いたことがあります。
古代の海水が地層の底に眠っているという。
掘削技術の進歩した現代ならではですね。
昔は麻布温泉ぐらいしかなかったんじゃないかなぁ。

そういえばワタシの地元、葛飾区にあるとある銭湯。
とにかく湯冷めしなくて温泉みたいだなと思っていたら、
地下水を汲み上げて薪で炊くという昔ながらのスタイルで営業してるのだそうです。
そして、どうやらその地下水が特別らしい。
そんなに深く掘らなくても鉱泉みたいな水質の水なんですね。
もちろん飲用水としてはNG。


ローマ近郊フィコンチェッラ温泉


イタリアも実は温泉が各地にあり、そういうところはほぼ「テルマエロマエ」。
ローマ時代から同じ源泉を使っているところです。
なんならそれ以前、エトルリア時代からつづく温泉地もあります。

ブラッチャーノからもっとも近いのはスティリャーノ温泉。
1700年代の貴族のお屋敷を改装した温泉ホテルも併設されていてサイコーなんです。
ただし残念ながら、冬季休業。
不思議なんですけどイタリア温泉シーズンって夏なんですよね。

冬場でも営業してる近場の温泉、話には聞いていたけどまだ誰も行ったことのないフィコンチェッラの湯に行こうということになりました。
ローマの外港チヴィタヴェッキアにありブラッチャーノからだと車で1時間ほど。

フィコンチェッラ温泉は高台にあり遠くにイオニア海を臨みます
源泉かけ流し
飲用泉。自宅に汲んで帰ることもできます
水着を着て入ります
移動のときはバスローブを羽織るシステム

友だちが調べたところ、お湯の効能は沖縄の温泉と同じなんだそうです!
単純泉で硫黄臭はほとんどありません。
ブラッチャーノにほど近い温泉は箱根のようなゆで卵のような硫黄がプンプン臭うのに。

温泉設備は本当に簡素で、なんと脱衣所もありません。
なので家から水着を着ていき、ビーチサンダル、バスローブ、タオルなどももちろん持参。

入湯料はたったの3ユーロ!
チヴィタヴェッキア住民だと半額の1.5ユーロで入れるそうです。

トラヤヌス帝御用達の温泉

チヴィタヴェッキアはエトルリア人の居住地だったのを、トラヤヌス帝が整備した古代ローマの外港都市です。
皇帝がこの地をたびたび訪れていただろうことは想像に難くありません。

フィコンチェッラ温泉の少し先にはローマ皇帝トラヤヌスもつかっていたという温泉遺跡Terme Traianoテルメ・トライアーノがあります。
別名はテルメ・タウリーネ。
2つの呼び名があるのは、トライアーノはトラヤヌス帝の、タウリーネはタウルスの、という形容詞からです。

タウルスとは牡牛のこと。
ケンタウロスとかミノタウロスとか聞き覚えがありませんか?
ギリシャ神話に出てくる牡牛の姿をした神さまですね。

で、このタウルス神が「ひづめでこの地を掘ったら温泉が湧き出てきた」と言い伝えられているのでこの名前が付いたようです。
なのでローマ時代より前、エトルリア時代にはすでに温泉として知られていたのですね。

トラヤヌス帝は紀元53年生まれで117年没。
元からあったタウリーネ温泉を、自分が入るために再開発して豪華な設備にバージョンアップさせたらしい。

浴場だけでなくマッサージルームも併設され、床がモザイクで飾られたエリアもあったそうです。
さすがローマ皇帝が使っていただけあるゴージャスな温泉施設!

残念ながら現在ではトラヤヌス帝が使っていたであろう場所で温泉につかることはできません。
でもフィコンチェッラの湯は、同じ源泉を引いてそのすぐ隣に整備された温泉施設。

というわけで、ホントにガチでローマ皇帝の入っていたお湯につかれるというすごいところなんですー!

すべて露天ですけどお湯に入ればすぐ温まるし、熱くなったら外気に当たればいいし、景色は良いし、ホントにいろんな意味でサイコーな温泉です。

フィコンチェッラ温泉もご案内できます♡

ちなみにブラッチャーノ近郊にはローマ教皇の愛した温泉もあります。

意外にもイタリアは温泉大国なのです。

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