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知的体力を養うための『本という名の食べ物』について

18歳で渡米、25歳で帰国、それからずっとフリーランス的な仕事を続けて43歳になります。20年以上そんな組織に属さない生活をしていると肩書きは、プランナー、コンサルタント、コピーライター、アートディレクター、デザイナー、MBA特任教授など増えるばかり。

僕の仕事は依頼をうけて企画を考える、名前をつける、デザインの力で形づけをする、マーケティングをつかって社会と繋げる流れをつくる、ことのどれも元を辿れば「知恵をしぼることの代行」。もっといえば「よいアイデアを効率的生み出す仕事」なのですが、そういう思考体力というか知的体力に基づいた活動を続けるためには、栄養補給も必要で、それが僕にとっての本(読書)になります。

アイデアを生み出すのには知識が必要だということを知ったのは留学時代。毎月幾つものペーパー(小論文)やプロジェクト企画をこなすビジネススクールで、常にアイデアを求められる課題の連発に心が折れそうになり、信頼する先生のところへ相談へいきました。その時、その先生が教えてくれたのが「アイデアがないなら本を読め、知識量が足らないからアイデアが浮かばないんだ」というアドバイスでした。

当時、96年〜98年くらいはまだ今ほどインターネットが万能ツールではなかったので、知識を得るツールといえば紙の本ばかり。もともと子どもの頃から読書好きではありましたが、大学時代にはそれが生きていくためのツールになり、いまや読むものがなければお菓子のパッケージでさえ読む、立派な活字中毒者です。

脳は身体のわずか2%の体積しかないのに、1日のカロリーの約20%にあたる400キロカロリー近くを消費するといわれています。400キロカロリーはダブルチーズバーガー1個くらいのエネルギーですね。

日々の仕事でアイデアを求めて、知識を糧に知恵をしぼる行為は短距離走ではなく長距離走、走り続けるには途中でのエネルギー補給が欠かせません。また、思考のマラソンの記録を伸ばすためには、日々のトレーニングだって必要です。

このnoteで僕が読み散らかしている書籍の数々を、知的体力を養うための『食べ物』に例えてお話をさせていただきます。

ちなみに、このタイトルが浮かんだことからnoteを書こうと決めましたが、オマージュ的な元ネタは「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」(Jean-Claude Carriere、Umberto Eco、2010年、CCCメディアハウス)です。この想定、日本語での書名が僕のように紙でしか本を読めない人を刺激しますが、原題の"N'espérez pas vous débarrasser des livres" を翻訳すると「本から離れようとしたって、そうはいかない」というのもステキです。

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もうすぐ絶滅するという紙の書物について(2010年、CCCメディアハウス、ウンベルト・エーコ & ジョン=クロード・カリエール)


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