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【読書感想#19】まさに「割れ物注意」。(ネタバレなし)

【概要】

作品名:ルビンの壺が割れた
著者:宿野かほる
発行所:新潮社
発行年:2020年
頁数:160頁
ジャンル:ミステリ、恋愛

【あらすじ】

「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつて恋人だった女性。SNSでの邂逅から始まったぎこちないやりとりは、徐々に変容を見せ始め……。ジェットコースターのように先の読めない展開、その先に待ち受ける驚愕のラスト。覆面作家によるデビュー作にして、話題沸騰の超問題作!

【評価】

4/5

【感想】

本作は、覆面作家として活躍する宿野かほるのデビュー作であり、発売前に全文無料公開をしたことで大きな話題を呼んだ作品だ。
2人の登場人物がFacebookでメッセージをし合う様子が描かれている現代的な書簡体小説でもあり、その生々しいほどのリアリティや先の読めない展開は多くの読者を虜にした。

「ルビンの壺」とは、エドガールビンという心理学者が考案した多義図形であり、向き合った2人の横顔のようにも壺のようにも見えるという摩訶不思議な図である。本作は、その題名からも読み取れるように、背筋の凍る恐怖や不穏な空気が作品内に漂っていた。

こんなにも二転三転する作品はないだろうと思う。
160頁という少ない文量の中で、読者の心は見事に弄ばれるが、その不安定さや不完全さが本作の底知れぬ魅力に繋がっていると感じた。

騙されること間違いなしの傑作だ。
ぜひ手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

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