いそけん@恋愛小説

大学生です。「誰かさんの恋バナ」を書いてます。

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最近の記事

いつも仲良し三人組(TikTokバズり短編集①)

男女の友情は成り立つ派だった。 親友の美羽と健介と私の仲良し三人組。大学時代はいつもこの三人で過ごした。 私は美羽にお祝いのプレゼントを渡しに向かっていた。美羽のお腹には赤ちゃんがいて、もうすぐ産まれる。 思い返せば色んなことがあった。はじまりは大学二年の夏。大学でいつもひとりぼっちだった私に美羽は優しく話しかけてくれた。人と話すのが苦手な私を受け入れてくれた。そんな美羽は私の親友であり恩人だ。美羽は同じ大学の健介と付き合い、半同棲をしていた。私が美羽の家に遊びに行くよ

    • 確認社会

       博士は近くのコンビニに、たのしみであるタバコを買いに行った。腹に何かを入れたくなったため適当な食べ物もついでに買った。 「こちら二十歳以上である方のみ購入できる商品になりますが、よろしいでしょうか?喫煙は肺がんにつながり、健康に害のあるものになりますがよろしいでしょうか?こちらの食品には着色料、香料等が含まれておりまして、添加物は人体への影響がある可能性が…」  長々とテンプレートのようなものを読み上げる店員に博士はイライラしていた。ようやく言い終えたところで確認の意思

      • 立方体の思い出

         特徴のない星があった。どこを見渡しても同じような草木が広がり、特別な絶景など存在しない。  同じ表情をした街が無数に広がっており、首都圏など存在しない。  車内には、同じ顔をした二人 人が同じ服を着て同じ声で雑談をしている。当然、すれ違う車も全て同じ色、形である。 「しかし世の中は変わってしまった。昔はもっと刺激がある気がしたが」 「千年も前に遡りますね。あの頃は顔も喋り方もみんな違った」 「ファッションというものもありましたな。流行には敏感なほうでした」 「私

        • 犯罪を売る書店

           E氏は名の知れた悪党だった。歴も長いため、おいしい話も流れてくる。聞くところによると、どうやら犯罪を売る本屋があるらしい。異質な文字の組み合わせにそそられ、早速E氏は例の店に向かった。 「いらっしゃいませ」   店主らしき人物が愛想よく出迎えた。 「普通とは違った本屋だと聞いたのだが」 「さようでございます。こちらでは数多くの犯罪をそろえてあります。ただ、殺人といった金とは無関係な犯罪については扱っていません。ご了承ください」 「かまわんよ。なるべく血は見たくない

        いつも仲良し三人組(TikTokバズり短編集①)

          趣味(320文字)

                    趣味 「一人で帰れるかい?その体じゃ心配だよ」 「何いってるんだ!俺は人より何倍も頑丈なんだ」 「いやぁ、なんだかみてる方が辛いんだ。痛々しいというか、、、」 「体に気を遣わなきゃいけないのは君の方だろ?タバコはやめなよ。貯めた金もすぐに煙に変わるんだ。何も残らず、虚しいだろ」 「いやぁ、なかなかやめらんないよ」 「じゃあせめて酒はやめなよ。あれもただのアルコールだ。すぐに蒸発しちまう。何も残らず、虚しいだろ」 「あれが楽しみなんだ。奪わない

          睡眠時代

           男は目覚めると、布団のそばに置いてある時計をいじり、時間をセットする。二度寝をしようとする堕落な行為を想起させるが、男はパッチリと目を開け、出社の準備をしていた。    目覚まし時計にみえるそれは「おやすみ時計」だ。いや、「睡眠時計」という者もいる。とにかく、ピタリとくる呼び名がまだ生まれていないのだ。    目覚まし時計は寝る直前に時間をセットするが、その逆とでもいおうか。その時計は朝起きた直後に寝る時刻と睡眠時間をセットする。セットした時刻になると特殊な電波と一種の催眠

          賢さ

                    賢さ 魔王「十年間の修行ご苦労。晴れて君たちは人間界に降り立つわけだが、祝いに願いをひとつ叶えてやろう」 悪魔A「ありがとうございます!私を「完璧」にして下さい!えっとですね、ここでいう完璧というのはですね、人間にモテる男前な顔で、素晴らしい筋肉があり、スポーツ万能で、十億の資産があることでございます!」 魔王「よかろう。そちらのものはどうする」 悪魔B「はい。わたくしめを人間にしてください」  そして人間界には一体の完璧な悪魔と一人の人間が降り

          バツ印

                   バツ印  寝返りをうった時だった。左腕の肘付近に✖️印があった。誰かに悪戯でマッキーペンの落書きをくらった覚えはない。というより、インクや汚れではないのだ。ホクロのように身体から自然にできる黒。どちらかというと✖️型のアザに近かった。俺は気にせずに二度寝をすることにした。  起きた時には昼になっていた。腹を満たそうと家を出た。すると、つまずき派手に転んだ。対してダメージはなかったが、受け身を取ったせいで肘の部分を擦り剥いた。ちょうど✖️印のあたりだ。俺は

          いざ未来へ(650文字)

           男はついにタイムマシンを完成させた。 「やったぞ。これで一儲けできる。早速未来に向かうとしよう」  男はマシンの行き先を1000年後にセットした。 「いや、まて。着地点がどこになるかわからないのが不安だ。溶岩の中なら即死だし、目の前に侵略者がいても殺されてしまう。広大な海にでも放り出されては、溺れて何もできない」  男は研究室に戻り、自分の開発した特殊な服に着替えてきた。 「この服なら、灼熱にも耐え、水にも浮く。肩のスイッチを押せば透明人間になり、侵略者にも見つか

          いざ未来へ(650文字)

          落とし穴【400文字】

                   落とし穴  男たちは神経を研ぎ澄まし、じっと待っている。誰かが罠に引っかかるのを。    落とし穴のそばで待機して、数時間が経とうとしていた。マヌケな奴が無様に穴に落っこちるのを想像するだけで男たちは笑顔が溢れていた。待つことも苦ではない。落ちる時の叫び声はどんなだろうか。この胸の高鳴りと緊張感を共有したく、顔を合わせて笑い合いたいところだが、あいにくそうもいかない。バレてしまっては台無しだし、それぞれが離れた位置にいるため物理的にも不可能だ。      

          落とし穴【400文字】

          棒アイドル【毎週ショートショートnote】

          棒アイドル 「えー今日も来てくれてありがとう、みんな。私、嬉しいわ」  しまった。また棒読みになってしまっただろうか。客はざわめき、メンバーも困惑している。 アイドル活動を始めて2年。メディア出演やツアーライブなどもなく、大した成果も残していない。少ないファンと熱心なメンバーとそこそこに楽しんでいる。そんな私も、「棒読みアイドル」として少し話題になっていた。きっかけは何であれ売れることはいいこと。しかし、棒読みと言われてあまり良い気はしない。私はステージに立つたびにストレ

          棒アイドル【毎週ショートショートnote】

          精神科にて(250文字)

          「先生、僕は真剣に恋をしているんです」 「それはいいことですね」 「はい。しかし、ぼくはサキちゃんと結婚できない。この悩み、一体どうしたら」 「なるほど。それではまた来週そのサキさんと一緒に来ていただけませんか?それとも来れない理由がなにかあるとか」 「実はもう連れてきているんです。ほら、この子。主人公の隣に座っている青髪の子です。可愛いでしょ」 「なるほど。確かに、結婚は難しいでしょう」 「やはりそうですか。くそぉ、法律なんてものがあるからいけないんだ。大体なん

          精神科にて(250文字)

          バス内で(195文字)

          「おい!優先席に座るでない。まだ若いだろ。大体最近の若者は…」   老人は説教を始めた。周りの客は冷たい視線を送っている。 「すみません。しかし、私も事故に遭い怪我をしていまして。その…座らせていただきたいです」 「バカ言うな!俺は年寄りだぞ?優先されるのは俺だろう。さぁ、立って席を譲りなさい」 「立てと言われましても、私は足がないので、、、」  バスは大勢の客を乗せて、川の上の橋を渡っていく。

          バス内で(195文字)

          二重人格ごっこ

          男はある会社の部長を務めている。娘がいるが、上京してしまったため、妻との二人暮らし。妻が厳しいということ以外はなんら変哲もない中年男だ。  若い頃の自分は、中間管理職に憧れをいだき、向いていると信じていた。働くことが好きだし、人間関係も得意な方だからだ。  いつか人の上に立ち、自分の部下を持ちたいとも考えた。部下を時には叱り、時には実力を認める。部下との信頼関係を大事にするが、上司への期待にも応えなければいけない。それが重役の務めだ。上司と部下の考え方が異なり、板挟みになっ

          二重人格ごっこ

          二重人格ごっこ

           男は暇になったため、再び、二重人格ごっこをした。 「あの女が悪いんだ。俺は決して謝らないぞ」 「確かに彼女も悪かった。けど、暴力はいけないと思う」 「人の金をいくら使えば気が済むんだ」 「金はいくらでも使っていいって、自分で言ってたじゃないか」 「借金までしていいとは言ってない。しかもヤミ金だぞ」 「それにしてもカッとなりすぎたよ。自分だって金は使ってたじゃない」 「俺は取り立て屋からあいつを庇ってやったんだぞ?それなのにあいつ、浮気まで、、、」 「彼女も泣いて謝っていた

          二重人格ごっこ

          違法な健康

           ある村に1人の医者がいた。村で唯一の医者は休みなく何年も働き、既に限界だった。毎日のように先生、先生と呼ばれては生きた心地がしない。そこで医者は悪魔を呼ぶことにした。 「へい、お呼びですか」 いかにもの格好から、すぐに悪魔と判断した。 「呼んだのは私だ。さっそく願いを叶えてくれ」 「はい、一つどうぞ」 「この村の人々全員を健康にしていただきたい。それも生涯にわたって」 「それは、出来ないってもんですよ主人」 「どうしてだ。悪魔が健康をというのは性に合わないのか」 「いえ、