いつも仲良し三人組(TikTokバズり短編集①)
男女の友情は成り立つ派だった。
親友の美羽と健介と私の仲良し三人組。大学時代はいつもこの三人で過ごした。
私は美羽にお祝いのプレゼントを渡しに向かっていた。美羽のお腹には赤ちゃんがいて、もうすぐ産まれる。
思い返せば色んなことがあった。はじまりは大学二年の夏。大学でいつもひとりぼっちだった私に美羽は優しく話しかけてくれた。人と話すのが苦手な私を受け入れてくれた。そんな美羽は私の親友であり恩人だ。美羽は同じ大学の健介と付き合い、半同棲をしていた。私が美羽の家に遊びに行くようになると、三人で遊ぶようになった。最初は二人の時間を邪魔しないように気を遣っていたが、それが逆に気を遣うと言われ、私も素で楽しんだ。大学終わりは美羽の家でおしゃべり。そのまま夕飯を食べ、三人で川の字で寝る。朝起きると三人一緒に登校する。授業が終わればまた美羽の家集合。その繰り返しだった。たまに温泉旅行もいった。車で大騒ぎしながら移動したのが一番楽しかった。あの時の美羽、本当に幸せそうに笑ってたな。一段と綺麗な女性に見えた。健介もそれを感じ取っていたのか、少し照れながら話してた。健介の笑顔、可愛かったな。私は二人の幸せだけを願った。私は美羽が大好きだし、その美羽が大好きな健介も大切。なんとしてでも私は二人の幸せを守らなければいけない。それが私から二人への恩返しだ。
美羽の家の前に着いた。懐かしい。あの頃の記憶が蘇る。インターホンを押すとお腹の膨らんだ美羽が出てきた。私は手に持っていた包丁を膨らんだお腹に刺した。お腹の中の生物にも刃が通った感覚が手に伝わる。うん、これで大丈夫。私は美羽の身体が傷つかないようにゆっくりと刃を抜いた。用意していたタオルですぐに傷口を押さえる。白いタオルにじわじわと赤い血が染みてきた。
美羽は浮気していた。お腹の子が健介との子じゃないと私に相談してきた時、すぐにお腹の子を殺さなければと思った。美羽は健介に内緒にしたまま子を産むと言っていたけれど、それは間違っている。この子供はいつか二人の幸せの邪魔になる。私は二人の幸せを守らないといけない。お腹の中の証拠は消えた。これで美羽の浮気はバレない。
結婚おめでとう。二人の幸せがいつまでも続きますように。
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