エッセイ | フレンチプレスで飲みたい
おいしいコーヒーを出すお店を見つけた。そこはターミナル駅の駅外にあるイタリアンをベースにしたレストランなのだが、コーヒーにこだわりを感じられた。
友人が一時帰郷するとのことで、その途中で一緒に昼食をとることとなった。荷物も多いため、なるべく駅に近いところで済ませたいと要望があり、それなら駅ビルで済ませてしまえと考えたのだ。
お店を探してみるとその多さに圧倒され、どこのお店にすれば良いのか分からなくなってしまった私は、お店の説明に「イタリアン」と書かれていた店舗に行くことにした。
私はマンガを読むことが好きで、以前に『バンビ〜ノ!』という作品を読んでいた。これがイタリア料理レストランを舞台にしたマンガで、この作品を読んで以降はイタリア料理レストランに行きたくてたまらなくなった。
ただ、私はイタリアンから縁遠い生活を送っているためか食べに行く機会が訪れず、気付けば行きたいと思う気持ちを忘れてしまっていた。
そして最近になり、ついに念願のイタリア料理レストランに行けたのだ。ただ、実際にはイタリアンをベースにした料理を提供するお店のようで正式なイタリア料理レストランではなかったのだが、私にとってはささいなことだった。
私たちは軽く昼食をとるつもりだったため、スパゲッティを注文してそれを食べていた。
食べ終えた際に「せっかくだからコーヒーでも飲んでゆっくりしよう」ということになり、再度メニューを見せてもらう。
コーヒーや紅茶は一般的なものが載っていたのだが、お店からのオススメとして週ごとにコーヒー豆を変えている特別なコーヒーもあるそうで、せっかくならとそちらを注文した。
値段もそこまで高くはなかったため、特別な何かを期待することもなかったのだが、テーブルにはフレンチプレスに入ったコーヒーが提供された。
私と友人の2つ分フレンチプレスが運ばれてくると、物珍しさからか周囲の注目を浴びた。どうやら一般的なコーヒーの場合はコーヒーメーカーから注がれるようなのだが、週替わりの特別なコーヒーの場合はフレンチプレスを使用しているらしい。
4分待ってプランジャーを下げてカップにコーヒーを注ぐ。飲んでみるとスッキリした酸味を感じられ、フルーツの香りが鼻から抜けていく。
こんなにおいしいコーヒーを飲んだのは久しぶりだった。この値段でここまでおいしいものが飲めるのであれば、この近所にあるカフェは太刀打ちできないだろうなと心配になってしまった。
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