![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/109200866/rectangle_large_type_2_16c31a8e4c3a8a22913a14975668dce7.png?width=1200)
詩を読むための四つの観点を子供が発見する授業 「春のうた」(前編)
前回の「ヒント帳86」で、私は、次の詩を読む四つの観点を示した。
① 題名
② 連
③ 繰り返し
④ 比喩
そして、小学校3年生以上の詩の指導では、この四つの観点を用いてきたこと、その指導の際に大切にしていたこと、さらに、教師にとっての意義を述べた。
今回は、草野心平の「春のうた」を例に、この詩を読む観点を用いた授業の実際を展開に沿ってお伝えする。
なお、この実践では、4つの観点のうち、「① 題名、② 連、③ 繰り返し」の三つの観点を用いた読解指導を行っている。
1 音読(後追い読み)
一行ずつ、教師の後について読ませる。(一回)
2 視写
「教科書の通りにノートに写しなさい」と指示を出す。
二連の一行目、「みずは つるつる」まで書けた子供から教師に見せに来させる。
一連と二連の間を一行開けていることや、漢字、平仮名の表記が正しいことをチェックする。
教師は黒板に視写する。
学級で視写が最も遅い子供が写し終わるのとほぼ同じタイミングで書き終わるように速さを調節して書く。空いている時間に子供の机を回り、正しく視写ができているかチェックする。
3 視写し終わった子から微音読
「暗記を目指して繰り返し読みなさい」と指示を出す。
4 全員が視写し終わったら、一斉に音読
座って一回、立って前を向いて一回、後ろを向いて一回(暗記に挑戦)など、変化をつけて何度も読ませる。
5 読解
(1)繰り返しに着目させる
「繰り返しているところを探して視写したノートの詩に赤いサイドラインを引きなさい」と指示する。
読みの観点「③ 繰り返し」は、まず教師から出してしまう。
なぜなら、教師が言葉にして出す前から、「繰り返し表現」があることにほとんどの子が視写と音読を通して気付いているはずだからである。子供にとって唐突な指示ではないだろう。また、教師が「繰り返し」という用語を使っても、その効果、すなわち「詩の観点」としての効用を教えているわけではない。それは、この後、子供が<発見・納得>していくのである。
「ほっ 〇〇。」が四回、「ケルルン クック。」も四回繰り返されていることを子供は発言するだろう。
学級によっては、それらの同じ言葉の繰り返しだけでなく、「みずは つるつる。/かぜは そよそよ。」が同じリズムの繰り返しになっていることを発言する子供がいるかもしれない。
同じリズムの繰り返しも、もちろん「③ 繰り返し」である。
すかさず取り上げたい。
(2)題名に着目させる
「『ほっ 〇〇。』」が四回、『ケルルン クック。』も四回繰り返されているということは、大切なところだからかもしれないね。私たちも生活の中で、大事なことは繰り返して伝えるよね。」と説明し、まず、繰り返し表現により注目させる。
そして、「『ほっ 〇〇。』、『ケルルン クック。』と、言っているのは誰だろう」と発問する。
子供たちの多くは、題名や題名の後の「詞書」的な説明を根拠にして考えるはずである。
「かえるが言っている」
「題名が『春のうた』だし、説明にも書いてあるように、冬眠していたかえるが春になって土の中から出てきて歌っている」「」
と、読み取るだろう。
必要に応じて、かえるの冬眠について説明する。
これで、子供たちは、「① 題名」が詩の読解では重要な根拠になることを、ひとまず知ったはずである。
「この詩の言葉全体が、春になって土の中から出てきたかえるの『うた』である」ということを一度まとめ、黒板の題名の近くに記録しておく。
「外へ出られたから、かえるはうれしい」などと、かえるの気持ちを読む子もいるかも知れない。
「それがどこから分かるか」と問うて、子供たちの目を一連に向けさせることで、詩全体の連の構成に読みを進めてもいいし、その子供の発言を受け止めた上で、以下のように進めてもいい。子供の動きに合わせたい。
(3)連に着目させる
「もっと詳しく読み取ろう」と投げ掛け、一行空きの箇所に青い直線を引かせる。
そして、全体が五つに分かれていることを確認する。
それらの一つ一つのかたまりを連ということを教える(確認する)。
ノートの視写した詩の各連の上に「一連」、「二連」…と書かせる。黒板にも同様に連と連の間に線を引き、連番号を書く。
そして、発問する。これが、主発問になる。
「連に分けているとうことは、何か違いがあるはずだ。違いを見つけよう。一連、二連、三連、四連は、それぞれかえるがどこで何をして歌った言葉だろうか」
次の「ヒント帳」に続く。