イオンを創った男/東海 友和 を読んで
イオンは今では全国にあり、私も良く利用している大型店舗です。
イオンはどうやって作られたか、ダイエー(中内 功氏)、西友(堤 清二氏)とどこが違ったのか?今更ながら興味がありこの本を手に取りました。
イオンの前進は代々続く岡田屋呉服店が出発点でした。
岡田卓也氏 2歳にして没した父。顔の記憶はなく、その父から経営哲学を受け継いだのは、戦時中空襲で唯一耐え焼け残った土蔵に残された父親の日記、経営論、そこに経営の教科書とすべきものがすべて残されていた。さらに、この時代の商家としては驚くべきことに、「貸借対照表」も作成されていたのだと。
本を読み進めて感じたことは、彼はまじめ(一途)に商売と向き合い常にお客様の立場になって商売を続けてきた結果の様な感じがしました。
この本に終始、登場する言葉がイオンの前身、岡田屋の家訓「大黒柱に車をつけよ」である。
いったい何の意味だろうと考えてしまいましたが、大黒柱について辞書で調べてしまいました。大黒柱とは、伝統的な日本建築では家の中心にあり、その家を支えている特に太い柱のことです。
また、一家やチーム、組織などの主人や中心となって支える人のことを大黒柱と称することもあります。(これに車をつけるとはどういう意味だろう…)
岡田屋では、この「大黒柱に車をつけて動かせ」というのが家訓である。
私なりに、大黒柱でさえ動かせるくらい柔軟に臨機応変に対応する事が重要である事ではと思いました。
企業が成長して大きくなるにつれ、時代に合わせた柔軟な対応や判断は難しくなります。それが、ダイエーや西友と違い今日まで生きながらえた結果につながっているのではと感じました。
岡田卓也氏がこの本でもう一つ言っている言葉は「企業の寿命は30年」なのだそうです。
30年という時の流れは、世代交代や時代の変化、価値観や考え方などはこのスパンで変わっていくとの事です。
この本で、過去のエピソードや苦労話などを読ませていただきましたが、確かにこれくらいの時間で次のような変化があると説明しています。
市場の変化: 技術革新や消費者の嗜好の変化により、市場の状況が急速に変わることがあります。これに適応できない企業は生き残れません。
競争の激化: 新規参入者やグローバルな競争相手が増えることで、競争が激化し、既存の企業が市場での地位を維持するのが難しくなります。
経営の問題: 時が経つにつれて、経営者の交代や組織の硬直化などの問題が発生し、これが企業の持続可能性に影響を与えることがあります。
経済環境の変動: 経済危機や景気の循環が企業に大きな影響を与えることがあります。これにより、多くの企業が倒産の危機に瀕します。
「このまま、駅前の商店街が活気づいている状態が続く事もない。大企業だから生き残れるという事でもない。郊外のショッピングモールも数年先にゴーストタウンになるかもしれない。」つねに先を読み時代の変化に敏感に対応できたからこそ今のイオンの発展につながったのだと思いました。
また、商売を続けて変わらない物もあります。「お客様に心身に向き合い、お客様に寄り添った商売」だと感じました。
大企業になるにつれ、いつしか利益最優先や業務効率を第一に考えた経営は、商売本来の意味を忘てしまうことに気付けるかが問題なのだと感じました。
この本に数多くのエピソードが書かれていますが、終始この考えにたどり着くのではないでしょうか。
今後の世界もコロナ禍は生活を一変させ、外食はデリバリーにあるいは内食にとってかわった。リモートワーク、リモート学習による家庭内行動も大きく変化した。
そもそも従来のオフィスへの通勤を前提とした、会社の在り方や住居の決め方なども、今後大きく変わってくる可能性もあります。
一方で、所得の減少による貧困層の増大と高齢者の貧困化、高所得者とそれ以外の格差等社会問題化も浮き彫りにされています。
今の仕事の在り方、今後の未来などとても考えさせられる良い本に出合えました。
私は今回もオーディオブックで散歩中に聴いてしまいました。
今度は、この本の姉妹本とも呼べる「イオンを作った女」をぜひ読みたいと思いました。(この本はまだ、オーディオブックでは読めないようです…ぜひリクエストしたい本です。)