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けがれた者達の歌 春雷

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春の季節に書いた 春の詩と物語の在り処
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妖と苔生す大樹

妖と苔生す大樹

森の奥深くに行くと
緑の匂いが強くなる

足元は
腐葉土の柔らかな感触と
落ち葉の腐った匂い

眼の前には
大きな樹があって
根や幹が
苔に覆われている

枝先まで巻き付いた
葉の付いた蔓

雨が芽吹かせた
苔の柔らかい新芽

森に浮揚する湿度が
私の髪を湿らせる

花の顔(はなのかんばせ)

花の顔(はなのかんばせ)

互いの持つ
花の花弁を混ぜ混んだら

強い花の
薫りが優るのか

苦い毒が
際立つのか

雨の日

雨の日

雨が降るからって
憂う気になれなくて

歌って
気持ちを上げ

お気に入りの傘を差して
歩いたんだ

傘に当たる
雨音のリズムに
心地よく
なっていても

それでも
気掛かりがあって…

ただ
ひとり想い知るんだ

雨風

雨風

我慢なんて
性に合わない

身の内に
溜め込んだものを
僕は何時か
吐き出してしまう

既に
言葉と共に
僕の風が漏れているんだ

中身

中身

僕は僕に喰らい付き
腹を満たし

喰らい付いた僕を
隠していく

僕の血肉が
美味いわけない

抑制の効かない僕を喰って
上手くやってるだけ

DragonNight 鬼と子龍

DragonNight 鬼と子龍

大雨の中
雨風の唸るような音がして

上空を見ると
稲光に浮かび上がる

鉄紺色の龍がいるんだ

高く響く声を
一声上げて
雨に混ぜても

此の耳に残る

山の木々が大きく
波打つように揺れて

龍を追う

山を吹き抜ける風は
葉を奪い

夜の雨空に
散らして行くんだ

墓守

墓守

土に刺さる様に
数え切れない程に
墓碑が並ぶ

此の墓碑は

多くの
先人達の跡だ

乾いた世界に
僅かに残る土の有る処に

和らぎの眠りを求め
群がる者達が多い

此の場所が
安住の地なんて
幻想だ

墓守は歩く

此の故人の群れの中を

眼に視えぬ
耳に聞こえぬ
喧騒の中に立って居るんだ

砂煙

砂煙

砂煙が舞い
何かが
蠢いて居る

此の乾いた世界に
蟲達は順応し
進化し続け
巨大化した化物となった

振り上げた
刃は
只の威嚇にしかならぬ

僕の身の内に
もっと力が在ればと…

黒い太陽が狂わせた世界

人間は
蟲達の餌食だ

華

私は華を愛でる

魅惑的で
美しい華を

視線を反らせぬ程に

心奪われる程に

華を恐れる程に

私は華を愛でる

在るが儘でいてと…

砂の巣窟

砂の巣窟

好奇心から
覗き込む視線がある

低い声の
息遣いを響かせると

巣窟に棲みついた
羽蟲が
一斉に湧いて出て行くんだ

近くに居た者は
羽蟲の大群に
驚き足を滑らせ落ちて来る

強大な怪物の棲家だ

知ってだだろ?

落ちて来た者達は
這い上がれない

藻掻いて
暴れる者たちを
僕は喰うんだ

泡沫風土記

泡沫風土記

空ける事のない
夜の世界で

景色を
照らすのは
月明かり

地に落ちた
黒い太陽を

睨み付ける様に

長い刃の
切っ先を向ける

果てのない荒廃と
乾いた世界にいて

鬱陶しい程の
火の粉を散らそうと

刃を振りあげる

華

華を詰む

清廉で美麗な華を

地に落ちる前に

不用意に踏まれる前に

清浄ままでいてと

私は華を詰む

咲いた
ままでいてと…

私から物書き達への永久お題

私から物書き達への永久お題

私の書く物に
不快に思う者達が
居るだろう?

だったら
其の不快感を
吹き飛ばせるだけの物を

書いて
魅せれば良い

表現力を
魅せ付けてみなよ

強風

強風

木々が激しく揺れ

枝が折れ

引き摺られる様に崖下へ

緑の葉は千切れ

頭上高くに

舞い上がるんだ

激しく唸り

聞こえて来るのは

風の咆吼だ