【外見に悩まされた経験がある方必読】最近読んだおすすめの本『カケラ』
◾️『カケラ』 湊かなえ
みなさんは、社会のルールや他人からの指摘によって、自分の外見を取り繕ったことはありますか?
おそらく、この質問の答えは全員YESではないでしょうか。
学生の頃に、
「清潔感のある身だしなみを心がけましょう」
と先生に言われて、髪型や服装を厳しく指導されたり、ピアスを開けた人やタトゥーを入れた人、整形をした人に対して、
「親からもらった体を傷つけるな」
なんて言葉を聞いたりした経験が、一度はあるのではないでしょうか。
今の世の中は、外見の個性によって、その人の内面まで憶測で決めつけられてしまう風潮にあると感じることがよくあります。
「あなたはお父さんに似て一重にならなくて良かったわね。女の子で一重だとほら、なんかいじわるそうに見えるじゃない?」
私が幼い頃、実際に母に言われたことばです。
私より何十年も長く生きている人が、こんなに凝り固まった価値観で生きていることが信じられず、情けない気持ちになりました。こういう人が今の社会のふんわりとした偏見や固定観念を生み出しているんだと、恐ろしい気持ちにも襲われました。
私は美容が好きだし、だから美容業界に転職して、好きなことを仕事にしました。
でも、私が美容を好きな理由と、他人が感じる美の価値観は絶対に違う。そもそも美しくなりたいと思わない人もいるし、
「太っているより痩せている方が魅力的だ」とか、「あなたはこうした方が綺麗になる」いう独りよがりな考えは、時に人の人生を狂わせてしまうことになりかねません。人が美しいと感じるものや好きだと思う価値観は、それぞれ違っていてそのどれもが正解で、その世界に他人が介入することはとても恐ろしいことです。
この小説は、この世の中の多様性を考えるうえでも、美容に携わる者としても、大切にすべき視点を与えてくれました。
物語の冒頭、作り話でしかありえないような「ドキッ」と「?」な文で始まりますが、人間や社会のリアルな部分も描かれていて、湊かなえ先生らしい作品だと思いました。
現役医師の友利新先生の解説も含めて、最初から最後まで考えさせられる一冊です。
ぜひ読んでみてください!
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