『マツダ 心を燃やす逆転の経営』レビュー
マツダがブランド復活を果たした背景には、想像を超える熱意と挑戦がありました。本書は、マツダの「魂動」デザインやブランド戦略の裏側を、金井元会長の情熱的な語りを通じて描いた一冊です。
魂動デザインとの出会い
初代アテンザなど、「あ、いいな」と思わせるデザインが多かったマツダですが、雑誌で「魂動(こどう)」デザインを初めてみかけたとき、その美しさに声を失いました。涙が出そうなほど感動したのを、今でもはっきり覚えています。
コンセプトカーがほぼそのままの形で量産されたときは、本当に驚きと喜びで狂喜し、これがマツダの本気なのか、と震えました。
経営の逆転劇
本書では、苦難の時代からいかにしてブランド復活を果たしたかが丁寧に描かれています。金井元会長の強いリーダーシップと情熱に触れるたびに、「ここまでしなければ復活はできなかったのか」と納得させられる部分ばかりです。マツダがブランドとして蘇ったのは、この圧倒的なエネルギーとバイタリティによるものだと実感しました。
とはいえ、その輝かしい成果の裏には、社内での摩擦や大きな葛藤があっただろうことも容易に想像できます。金井氏の厳しさは並大抵のものではなかったはずで、一緒に働いた方々はきっと大変だったでしょう。これを読んでいた当時、自分の職場環境にシンクロさせていたのを思い出します。「金井氏の部下にはなりたくないな……」なんて思いつつも、その熱意には心から敬意を抱きます。
印象に残った言葉
金井氏の言葉の中で、「トーマス・エジソンは700回失敗したのではない。うまくいかないやり方を700個見つけただけだ」というフレーズが特に心に残りました。このような前向きな視点が、マツダ復活の原動力だったのだろうと感じます。
現在、マツダの経営は決して楽な状況ではないかもしれません。しかし、それでも素晴らしい車を作り続けてほしいと心から願っています。
本書を読み終えたあと、マツダへの愛着がさらに深まりました。