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車に当て逃げされたんで、アイルランド警察に行ってみた

こんにちは、アイルランド在住会計士のつぐみです。

あれは昨年12月半ば。
私のピッカピカの車に当て逃げされた。昨年2ヶ月で2回パンクして、しまいには当て逃げ。私、かわいそすぎない?車を所有するって大変なんですね?

当て逃げ経験も稀だが、アイルランド警察に通報するのも稀な経験なので、ちょっと報告します。


当て逃げ発生

友人の家に行く前に、ちょっとコンビニでおやつを買おうと、店の前に駐車。買い物を終えた頃、私の車のアラームが鳴りだした。
急いで外に出ると、ちょうど向かいに停めていた車が逃げるように走り出す。こやつ、ぶつけたのか?と一瞬思ったが、チラッと私の車を見ても傷ついているように見えない。近くにいた人に聞くと、ぶつけたのではなく多分強風でアラームが鳴りだしたのでは?とのこと。

念のため、その車をストップさせるとか、ナンバーを写真撮るかとも思ったんだが、ぱっと見、傷がついていないように見えたし、何より私はもめ事を起こしたくなかった。写真撮ったりしたら、車内から降りてきて殴られるかも。なんだかんだで、最近センシティブな私は、誰かを敵に回す勇気が出なかったのだ。

しかし落ち着いてしっかり車を見ると、やっぱり傷ついているー!かすり傷すぎて気づかなかったが、生まれて初めて所有する私の可愛い車に傷が!私は最近ペーパードライバーから脱出し運転できるようになり、急速に車LOVERになっているのだ。
かすり傷なんだけど、修理代の見積もりを取ると300ユーロ(約48,000円)だった。

泣き寝入りになるんだろうなーとは思ったが、運よくそこはお店の目の前。店に聞くと防犯カメラCCTVがすべてを録画しており、車の所有者もナンバーも記録されていた。

周りのアイルランド人に、どうすべきか聞くと、警察に報告するという意見が多数だったので、一日待って最寄りの交番に通報することにした。

ちなみに警察はこのようなケースで電話通報は受け付けていない、実際に交番に訪れる必要がある。
さあ、アイルランド警察はこの小市民の少額事故を解決するために、どの程度働いてくれるのだろうか!?

警察に報告

翌日、最寄りの交番に当て逃げを報告すると、現場住所は管轄外なので、所轄のA警察署に行って報告するように言われた。もう最初っから面倒くさい。緊急案件以外は、事件の起こった地域の管轄警察署に報告する必要があるんですってよ。

車で10分ほどの管轄の警察署に出向くと、窓口には誰もおらず、ガラス窓には「窓を叩かないでください。担当者はすぐ来ます。」の張り紙が。
しかし10分ほど待っても誰も担当者が出てこないので電話してみると、今行くからと言われさらに10分ほど待つとようやく女性警官がやってきた。事情聴取の始まりだ。

しかし個別ブースに通されるわけでもなく、周りの人にダダ漏れするのもお構いなしに、私の個人情報、車情報、事故の概要など報告。別にいいけどさ、、でも個人情報保護とかヨーロッパは厳しいんじゃなかったんかね。

何かわかったら連絡します、と言われ、私はその場を後にしました。


警察に催促

クリスマス休暇前だったし、そんな予感はしていたが、1月半ばになっても全く連絡が来なくて私は焦ってきた。
私が焦っている理由は、証拠のCCTVは2ヶ月しか保管されないと店の人が言っていたからだ。2月半ばには証拠がなくなってしまう。あんなに強く、証拠がなくなってしまうからすぐに動いてくれと言ったのに、やはり警察は動いてくれなかった。

この国では、建築業者も、保険会社も、会計士も、税理士も、弁護士も、そして警察までも、催促しなければ仕事をしない。

当て逃げの件、どうなっていますか?と報告した警察署に連絡すると、「そんなケース報告されていません。」との恐るべき回答が。
「担当者の警察官の名前は?」と聞かれたが、私は聞いてなかった。

当て逃げの概要を改めて説明すると、「その当て逃げ場所はうちの管轄ではないので、B警察署に行ってね」と言われて私は憤慨。最初に立ち寄った最寄交番に、A警察署に行くように言われたんですけどね?しかし電話の相手は、管轄が違うから何もできないとの一点張り。

諦めてB警察署に行くと、ウケることに私がA警察署に出向いた時のCCTVを確認して、担当警察官の名前を教えてくれた。一度事件を報告すると、その警察官以外は対応できないらしい。この仕事の押し付け合い。笑える。ともかくそのB警察署は、私が報告した警察官に職務執行させるよう動いてくれた。

私がここまで執拗に調査を依頼したのは、お金のためじゃない。正義のためだ。(あと好奇心。)
当て逃げするような奴が、罰せられない世の中はおかしい。ジャスティスはどこだ!と言いながら、私は警察に調査を促した。

担当者名が判明し、ようやく数日後に連絡が取れ、そして「店に捜査に行ったけどそのCCTVだと証拠不十分だ」と言われた。
画像では車を切り返ししているようにしか見えないため責任追及できないとのこと。ゆっくり当たっているからかすり傷だったわけだし、インパクトの瞬間に車が揺れたりなどの決定的な証拠がないのだ。あーあ。
車のアラームが鳴っているのはぶつかった証拠になるけど、残念ながらCCTVに音は録音されていなかった。あーあ。

今後の対策とアドバイス

・アイルランドの交番に何か通報した時は、担当者の名前を聞いておこう。

・やっぱり混んでいる狭い駐車場に駐車するのはやめよう。
(私は普段は一番奥の誰もいないところに駐車するがこの日は急いでいた)

・結論が出ていない今後の対策
私の担当の警察は、物損事故はその場で相手と話し合いしなければダメだと言っていた。その場で警察を呼べと。
しかし、私が強い男ならまだしも、車をぶつけて逃げようとするような、金も倫理観もない男相手に喧嘩をふっかけて、無事に済むだろうか?
たかが300ユーロのために殴られたり怒鳴られたりしたくない。(ただのビビりだけど…)

みなさん、どうします?私はまだ答えが出ない。結局お金で解決できることなんて大したことないと思える。自分の体の方が大事。

そんなわけで自費で修理しました。かすり傷だけど、私は割れ窓理論を信じているので直した。
注:割れ窓理論とは、「建物の窓ガラスが1枚割れたまま放置されていると、他の窓も次々に割られ、やがて犯罪が増加する」という考え方。つまり、 かすり傷でも残しておくと、また傷つけられたり、自身も傷ついてるからまあいいかと車を大切にする気持ちが減ってしまう。

ちなみにこのような少額案件で保険を使うと、翌年度の保険料が高くなるので割に合わないらしい。

日本に住んだことがあるアイルランド人友人にこのことを話すと、日本の警察と比べるとアイルランド警察はサービス精神に乏しいかもね、と言われた。彼女は日本で盗まれた自転車が、半年後に発見され戻ってきたことに衝撃を受けていた。

日本のスタンダードはやはり色々高い。アイルランド警察も(催促する必要はあったが)、捜査はしてくれたのでありがたく受け取ろう。そしてもう当て逃げされませんように🙏


アイルランドでの体験や関連情報の詰まった『アイルランドの12ヶ月 ワーホリ・駐在・移住者のための暮らしと文化ガイド』も良ければご覧ください!

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