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 大阪維新の会では先日代表選が行われ、現大阪府知事である吉村洋文氏が再選されました。

 同氏は過去に2度、住民投票で否決された「大阪都構想」に挑戦する意向を表明。大阪維新の会の創始者である橋下徹氏は吉村氏に対し

「何度もチャレンジしていくのが政治」とエールを送っています。

 成熟性について考えてみたい。いかなる物事にも「臨界期」というものがあります。2歳の子どもがゲーテを理解できないように、その物事がどれだけ良いものでも、それを咀嚼できるだけの段階がなければ無意味になる。例えば同性婚や夫婦別姓も近い将来に解決されるでしょう。それは上記の新しい価値観が受け入れられる土壌が整いつつあるからです。今成立しないのは、その成熟度が不十分だからだと言えるのではないでしょうか。

 古代ギリシャ・ローマでは、その当時から、限定的ではあるものの民主制が存在しました。しかし様々な外圧の影響と当時の既得権益の結果、それぞれの民主制は崩壊しました。特に、共和政から帝政に移行したローマの誕生以降、「民主制」という政治体系が目覚めるには数百年と歳月が必要となりました。

 民主主義は非常に高度な政治思想です。なぜなら、他のいかなる政治体系よりも、より多くの人がより賢い状態であらなければならないから。

 民主主義が本当の意味で上手に機能するには、私たち自身の、教養的・文化的成熟度が求められるのです。

 民主主義が求める成熟度は、大正デモクラシーやヴァイマル共和政がほんの少しで崩壊したことが物語るように、ほんの少し前でも全く不十分であるような、それほど高いものです。

 『民主主義に合わない「日本人の国民性」』という記事の中では、明治大学情報コミュニケーション学部教授の塚原康博氏は、自己主張を抑制する日本人の特性は民主主義には向かないことを指摘しつつ

 民主主義が「日本人の国民性」にうまく適合していないなかにあって、これから日本政治はどこへ向かうのでしょうか。(中略)その場合の解決策の1つは、外圧の利用です。歴史的に日本では、国が大きく変化するときには明治維新や敗戦などの外的要因がありましたが、現代の日本政治の場合もそうなることが予想されます。具体的には、IMFから融資を受ける条件として、痛みや変化をともなうに経済や財政の健全化政策を受け入れるということです。(中略)ただし、これは日本で民主主義がうまく機能しないことの帰結への対応であって、日本で民主主義がうまく機能しないという根本の問題への解決策ではありません。

と述べています。

 

 外圧によってしか維持されないものは、外圧によって簡単に綻ぶ。これはギリシア・ローマで証明されていますね。

 それは日本だけでの問題ではなく世界全体として、民主主義を保つ「成熟性」があるのかが問われているような気がする。

 自然淘汰という言葉は、あらゆる生物・思想・社会・文化に当てはまります。もし仮に民主主義が滅んでも、それは現代の私たちも民主主義を維持できる「成熟性」がなかっただけ。

 もし私たちが民主主義を支持するのならば、その政治思想を守れるだけの「成熟性」を身につけなければならないのです。

 


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