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2022年4月23日土曜日 酒。読書。観劇。それだけ

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2022年4月23日……

10:15 映画『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』 @新宿武蔵野館

上映期間延長に感謝。
前日の時点で私が最初のネット予約客だったので心配したが、とんだ杞憂で、この時間の上映にも関わらず、多くの観客がいる。
観客のほぼ全員がそれなりの年齢に見受けられ、「さすがに年長者は朝が早いな」と感心したが、そう思っている当の私自身も50歳を超えているのである(きっと他の観客のほとんどが、周りを見渡して「年寄りばっかりだな」と思ったに違いない。意外と自分が年を取っているというのは実感できないものだ)。

終映後、新宿駅から小田急線に乗って、下北沢へ。


13:00 舞台『ケダモノ』 @下北沢・本多劇場

赤堀氏の作品は好きなので、さすがに本作に強いショックは受けないが、それでも絶望的に救いのない話に、少々気力・体力を奪われる。
新宿に戻って、エネルギー補充だ!

てなわけで、行きのルートを逆に戻り、新宿武蔵野館の前を通り、「83周年」の幕がかかる「銀座LION」(サッポロビール系)の様子を伺い、さらに少し歩いて「スーパードライ新宿」(アサヒビール系)に行くが、換気のためか開けっ放しのドアから店内を覗くと、結構混雑している様子。

結局、新宿武蔵野館の系列映画館・シネマカリテの前にある「キリンシティ」(キリンビール系)のやはり換気のために開いたままのドアから覗くと、正面のカウンター席に空きがあったので、迷わず入店。


15:30 キリンシティプラス新宿東南口店

泡、ヤバ!

私が入店した後も、ひっきりなしに客が訪れる。
運ばれてきたビールを飲みながら外の通りを観察すると、ここは店名が示すとおり、新宿駅の東口と南口をつなぐ通りに面していて、人通りはどういうわけかある時は東口から南口に向けて、ある時はその逆……とはっきりとした流れができているようで、南口から東口に向かって歩いている人がその方向に面した店のドアを目指して入って来ることが多いようだ(しかし、16時を過ぎると客足が鈍り始めた。推察するに、16時というのが昼飲みとディナーの境で、その時間に飲みたいと思っても「もうすぐディナーの時間だから、それまで我慢しよう」となるのではないだろうか)。

ふと、先日読了したばかりの吉田健一(吉田茂元首相のご子息)著『酒肴酒』(光文社文庫、2006年。初出は1974年)が頭に浮かぶ(この本は、先週の大阪行きの新幹線で読み始めたので、読了までに1週間を費やしたことになる)。

「食べる話に飲む話」の章に、「結解けっけ」と呼ばれる『奈良の東大寺で出すもの凄いご馳走』の見本に出ている献立表を引き合いに出し、ある日の自身の食事(というより飲み)を振り返っている。

御皿 干鱈ひだら 御麦酒
御皿 小型豚腸詰 御麦酒
御丼 吸物 豚挽肉煎餅巻葱 御酒
(中略)
御酒 御酒 御酒 御酒 (以下略)

何故これを思い出したかというと……

一見して解る通り、これは我々が東京に出て来て、若干の金を握り、先ずビアホールに飛び込んだところを示す。(略)(干鱈を出すビアホールは)生ビールがうまいので時々行くのである。しかしそんなものではもの足りないから、ウィンナ・ソセージを註文して(略)、ついでにビールのお代りを頼む。

(引用者註:表記は全て原文ママ)

その後、氏は支那しな料理屋、焼鳥屋などをハシゴし、最終的に『御酒 御酒 御酒 御酒』へと至ったのであるが、これを参考にすると、私は……

映画見物
芝居見物
御皿 揚芋 御麦酒 御麦酒

つまり、今私の前には、つまみに頼んだフライドポテトと、お代りした生ビールが置かれているのである。

揚芋
御麦酒

で、この後は、性懲りもなく、またもや「芝居見物」となるのであるのであって、ほろ酔いのまま近くの紀伊国屋ホールへ向かう。


17:30 舞台『エゴ・サーチ』 @新宿・紀伊国屋ホール

いい作品でとても満足。
劇中に出てきた言葉『恋人の前で、泣くことと歌うことと謝ることをはずかしがらない、というのは私のちっぽけにして最大の哲学だ』が素敵で、劇場を後にしながら何度も心の中で呟く。

さてと……

まさに『酒。読書。観劇。それだけ』の1日だった。
〆にどこかで飲みたいとも思ったが、私ももう51歳、さすがに朝から立て続けに3本鑑賞すれば頭も体も疲れ切ってしまって当然である。
そんなわけで、真っ直ぐ帰宅し、缶ビールを飲んで、早々に寝てしまったのである。

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