【毒親連載小説#69】成人後も続く毒親からの呪縛④
私はこの正体不明なモヤを
必死で振り払うかのように、
大学の時から覚えたタバコを
くゆらせる毎日だった。
家に一人でいると、
一体、何をどうしたら
良いのか分からず、
いてもたってもいられなかった。
そんな時はすぐに
まずはキッチンに立ち、
換気扇のスイッチを入れる。
そして、
タバコを一本取り出し、
ライターに火をつける。
そして、そのタバコが
吸い終わりそうになると、
また次のタバコを取り出す…。
そんなことを繰り返していると、
あっという間にタバコの箱は
空っぽになった。
タバコの魔の手は厄介なことに、
一箱空けてしまう前に気がつけば
私はまたもう一箱を求めて
慌ててコンビニへ走っていた。
こうして私はあっという間に
底なし沼にはまるかのように、
あっという間に
ヘビースモーカーになっていった。
タバコと私は
とても長い付き合いだ。
20代から旦那と出会う30代後半まで、
タバコから離れてはまた手を出す
ということを繰り返し、
ずっと手放すことができずにいた。
タバコを吸えば吸うほど、
私の体はどんどんと蝕まれ、
自己嫌悪でいっぱいになった。
その自己嫌悪の勢いに任せ、
まだ吸い切らない
タバコの箱とライターを
なんどもトイレのゴミ箱に投げ捨てた。
でも、結局は
また引きずり込まれるかのように、
またタバコとライターを買いに走る…。
こんな生活を
ズルズルと十年以上続けていた。
それは、誰もが見ても
明らかに悪い男に引っかかっている
というのに、依存し合いながら
付き合い続けているかのようで、
それはまさしく、
私と親との関係そのものでもあった。
私はこのタバコの魔の手を
振り払うかのように
仕事に明け暮れるものの、
何もすることがなくなれば、
また時間を埋めるかのように
タバコやお酒に手を出し、
1日が終わり、また次の日が始まる…。
そんな生活の中、
私は気がつくと
親から連絡が来たら拒めず、
結果、両親の問題にも
引きずり込まれるようになった。
(つづく)