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22歳の男です。小さい島から出てきました。 今は大きい島にいます。 なかなかに、島と縁のある人生です。

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22歳の男です。小さい島から出てきました。 今は大きい島にいます。 なかなかに、島と縁のある人生です。

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【思い出】タイヤ押しを700回させられた話

私が中学生の頃の話です。 私のいた学校というのは、かなり荒れていました。 授業を聞かない。 勉強をしない。 宿題もやってこない。 これだけならまだしも反抗する者もいたので、「動物園よりちょっと下」みたいな状況でした。 これが、離島という環境ならではの「独自進化」の終着点だったのです。 そういった私たちにも、夏休みというものは訪れました。 勉強をあまりしていないのに、「自由になれる」ということを心から喜び、そして待ちわびていました。 「自由!」とは言いつつも、

    • 【思い出】ヤンキーの先輩に「頭から飛べ」と命令された話

      私が中学生の頃の話です。 私の在籍していた中学校は周辺地域でも群を抜くほど頭が悪く、勉強をしていないのに「勉強したくない」が口癖になってしまうくらい、どうしようもありませんでした。 私が入学式のときに「あなた殺しますね」と殺害予告されたのも、そうした環境では必然だったのかもしれません。 そんなはちゃめちゃな世界を作り上げていたのは、紛れもなく「先輩」という存在でした。 特に「英傑」と私が勝手に呼んでいた先輩は気性が荒く、繊細なガラス工芸品を思わせました。 少しの私た

      • 【思い出】中国人女性に庭の大根を盗まれた話

        私が小学生の頃の話です。 私の家の近所に、一人の中国人女性が住んでいました。 私の住む離島は移住者が非常に少ない上に、外国人なんてほぼ見かけることはありませんでした。 学校にいる唯一の外国人教師は、慣れない環境のせいか、それともチンパンジーみたいな子どもに辟易しているせいか、顔はやつれていました。 そんな純日本人の原生地とも呼べる私たちの島に、その中国人女性はいました。 単刀直入に言うと、その女性の生き様はアグレッシブでした。 耳にするのは悪い噂ばかり。 不法侵

        • 【思い出】スライディングに命をかけた友人の話

          私が中学生の頃の話です。 私は中学生の間、サッカー部に所属していました。 離島の学校というのは人数が非常に少ないため、サッカーのような「人間が沢山必要なスポーツ」は経営だけでギリギリでした。 故にサッカー部に所属していた間ずっと、ちゃんと人として扱ってもらえました。 強豪校のような「え?人権剥奪されてる?」みたいなことは起こり得ないのです。 私たちの学校は主に、ぬるいお湯に肩までつかりながら、みんな楽しくわいわいサッカーをしました。 レギュラーとしての誇り。 一

        • 固定された記事

        【思い出】タイヤ押しを700回させられた話

          【思い出】高速下山で頭から大量出血した話

          私が高校生の頃の話です。 当時の私は、絶景を見るのが大好きでした。 特に「夜明けの太陽」を見ることは何物にも代えがたい至福でした。 一度魅了されてからというもの、私は何度も何度も朝日を見に行きました。 その度に「やべぇ!」「すげぇ!」の2通りしかない語彙でわめき散らかしました。 そんな騒音みたいなリアクションは空気に吸収されるだけで、周りに注目する人はいません。 そもそも人間がいません。 人が少ない離島では、叫べば叫ぶほどお得なのです。 ある日の深夜3時。

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          【思い出】真冬にイカダを作って全部水没した話

          私が中学生の頃の話です。 中学生というのは、気になったことをとりあえず行動に起こそうとする時期です。 「たぶんこうなるだろうな」という分かりきった事でも、自分の目で見ないと納得できなのです。 私もそんな人間の一人でした。 今では考えられませんが、昔の私は「英語」という概念が本当に存在しているのかすら疑っていました。 あの「英語」をです。 私の離島に英語を話している人がいなかったとはいえ、ありえない思考に辿り着くこともしばしばありました。 そのくらい、私は「自分の

          【思い出】真冬にイカダを作って全部水没した話

          【短編】「おはようございます」を言うまでに考えていること

          私は道路を歩いている。 ひたすらに道路を歩いている。 目的はない。 何かに突き動かされる使命感もない。 私は、純粋な一つの個体としてただ歩んでいる。 心地よいリズムで、靴がカツカツと音を鳴らす。 自分の足をじっと見た。 カツ、カツ。 カツ、カツ。 「あぁ、歩いているなぁ」という実感を五感で味わう。 それが心地よい。 道路がカーブにさしかかった。 私はうつむいていた顔を上げる。 遠くの景色に、ゆっくりとピントが合う。 遠くに人の姿が見えた。 黒い背

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          【思い出】女医者に「神社でお参りすれば治る」と言われた話

          私が小学校の頃の話です。 小学生の頃の私は、心身共に元気な子どもでした。 まぁ、元気すぎて「島のヤバい奴」から目をつけられることも度々ありました。 どれだけヤバいのかは、以下の記事を見てください。 このように、たまに苦労もありましたが、おおむね元気な子どもでした。 もちろん、元気といっても病気にかかることはありました。 発熱、インフルエンザ、骨折などなど。 しかし、私の島にいる優秀な医者は、私の病気や怪我を全て治してくれました。 私たち島民と医者との間には深い

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          【思い出】教科書を忘れてスクワット200回させられた話

          中学校の頃の話です。 私が在籍していた中学校は、当たり前みたいに荒れた学校でした。 授業を聞いている人は少なく、ましてや授業を理解している人なんてのは天文学的な確率でしか存在していませんでした。 離島という環境においては、これは仕方のないことなのかもしれません。 私は、島の外の環境を全く知りませんでした。 学校の授業をどのくらいちゃんと聞かないといけないのか。 どのくらい勉強できないと「ヤバい」のか。 塾が無いということが、どれだけのハンデなのか。 私は全く知

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          【思い出】入学式で殺害予告された話

          私が中学校に入学するときの話です。 私は離島出身で、その離島には中学校が一件しかありませんでした。 入学するのは小学校から知っている同級生たちばかりで、小学校の延長のような感覚がありました。 一見すると「なんだ、すごい安心だね」と思うような環境です。 実際に、この学校には子どもの個性を尊重するような雰囲気がありました。 例えば。 制服を着崩す人ばっかり。 制服を着てこない人すらいる。 テスト用紙を紙飛行機にして遊ぶ。 飛んでいった紙飛行機は、輝かしい未来に希

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          【思い出】ゲロ吐くまで走らされた話

          あれは中学校1年生の頃の話です。 中学校1年生というのは身長がとても小さく、まだまだ幼さが残る時期です。 当時の私は小さく、そして細い子でした。 しかし中学生というのは成長期の時期です。 身長は伸びる一方でした。 成長の初期というのは、骨の発達に筋肉が追いつきません。 私も例にもれず、私の両手両足は、まるで小枝を連想させるような細さでした。 しかし、若い私は何にでも「本気」で取り組みました。 「ランニングをしろ」と言われれば、細すぎる両手両足をめいいっぱいに振

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          【思い出】子どもに怯えて、子ども食堂のボランティアから逃走した話

          今日起こった話です。 私は、学校の講義の一環で「子ども食堂」のボランティアに行かなければなりませんでした。 子ども食堂とは、地域の人たちが中心になって、無料または低価格でご飯を食べることができる場所のことで、近所の子どもたちがたくさん集まる安心の場です。 そんな楽しい場である子ども食堂に、本日、私はボランティアとして参加する予定になっていました。 だからといって、ブルブル震えながら過ごしたわけではありません。 子ども食堂へ行くことが決まった日から今日まで、私は微塵に

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          【思い出】映画館でじいちゃんと恋愛映画を見た話

          私が中学生の頃の話です。 私は小さい頃から映画を見に行くという習慣がなく、映画に全く興味がありませんでした。 それもそうでしょう、私が住んでいた島には映画館はなく、映画館に行った経験すらほとんどないのです。 年に一度おじいちゃんの家に遊びに行くときに、「暇があれば見てやるか」くらいのなんとも無関心で尊大な態度をとるだけで、映画とは何の接点もない生活をしていました。 しかし、私と映画の距離が近づいたのは、ある夏の日のことです。 私とじいちゃんは、何かの頼み事をされ、二

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          【思い出】凶暴なサルと命をかけて戦った話

          あれは小学校の頃です。 私は毎年の夏休みに、祖父母の家に遊びに行く習慣がありました。 祖父母は半端ないレベルの田舎に住んでいるので、おのずと大自然と触れ合うこと自体を楽しむ子どもになっていました。 店がない、自販機もない、公園もない、若者もいない。 人間の数よりも畑にいるウシガエルのほうが多いのですから、そりゃ大自然がベストフレンドになるわけです。 そんなありふれた夏の、ある快晴の日。 私は、大きなポリタンクを持って、川の源泉を目指していました。 水を汲むだけで

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          【思い出】サッカーの公式試合中、気絶したふりをした話

          私が高校の時の話です。 小中高とサッカー部だった私は、一般人よりもまあ上手い程度の技術を持っていました。 離島の学校ということもあり、他のチームと試合をするという機会もあまりなく、基礎的な練習を無限に繰り返すのみでした。 その中で培われた、まあ上手い程度のスキル。 明確な敵のいない私たちの環境では、そのくらいの能力で十分でした。 そんな私たちですが、やはり大会には出場したいと思うものです。 ある春の日、私たちは公式試合に赴くべく、フェリーに乗って遠征に出かけました

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          【思い出】天皇を愛しすぎた友達の話

          私が小学生の頃の話です。 小学生の時期というのは、人間がいろいろなものに好奇心を持ち始めるような時期です。 テレビで見たこと、友達から聞いたこと。 沢山のメディアから情報を得て、そして成長していきます。 私の有人であるSくんもそんな小学生の一人でした。 Sくんはとても人間愛が強い人でした。 特に昭和に生きた先人たちに強い愛情を持ち、日頃から「先人を尊敬してるんだろうな」という雰囲気を漂わせていました。 具体的にどんなことをしていたのかというと、 軍人のような言

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