毎日くだものが食べられる幸せ
「ごめんくださーい!」
休日のある日。害虫の被害から逃れ、やっとこさ赤くなったミニトマトを小1三女と一緒にぼんやりと眺めていたら、宅急便がやってきた。
この段ボールは……。
さっそく娘と開けてみた。
さっそく駆け寄ってくる興奮気味の0歳次男。
「よっっしゃぁっ!!」
雄叫びをあげた三女は、梨に背を向け、顔の横で両拳を握り締めガッツポーズ。どんな喜び方やねん。甲子園球児か。
あまりに立派なサイズなので、次男の顔の近くで写真を撮ろうとしたら、梨のいい香りに口をあけて噛みつこうとしとる!ステイ!STAY!
送り主は、創作を共に楽しむエッセイスト もつにこみさんから。
もつにこみさんは、毎日更新を800日以上も続けられて、毎日本も読んで、最近は奥さんとお子さまの弁当も作られていて……一体、どこにそんな時間があるのだろうか。
忙しい毎日を微塵も感じさせない、穏やかな文章で、私に落ち着きをもたらしてくれる友人だ。
”そろそろ梨の季節なので、嫌いじゃなければ稲城の梨、食べてみませんか?”
と連絡をいただき、
”家族みんな大好き!食べたいです!”
全力で好意を受け入れる。送信済メールから食べたい欲が滲み出ていて恥ずかしい…。
お気持ちが嬉しく、私も地元のスイカを送らせてもらった。そして連絡をいただいてから1か月後、黄金色に輝くもぎたての梨が届いたという訳だ。
すぐに冷やし、その日の夕方いただいた。
一口食べると、それはもう圧倒的な水分量と何個でも食べたくなる爽やかな甘さが広がる。
皮をむくたびに奥さんや子どもたちが、食べにくるものだから最初の1個は皿に入れる間もなく、なくなった。
夜帰ってきた長女や次女も梨を見て喜び、
「食べる?皮むこうか?」と聞いてくる。
特に長女は皮をむくのが上手い。
彼女はくだものを切る際の特権”つまみ食い”がいかに美味しいものかを知っている。だから長女や次女がキッチンに立つと、もう半分ない!なんてこともしょっちゅう。
長女が、たくさんむいてくれた梨は、毎日、あっという間に水分で汗をかいたようなお皿と、つまようじだけになった。
そして先日、とうとう最後の1個に。
最後の1個は私が…、と思っていたら、普段”つまみ食い”できない三女が「皮むきしたい!」と嘆願してきた。
包丁怖いけど、普段から練習してるからちょっとやらせてみるか……。
記念撮影もしておこう。
いつもの子ども用包丁ではなく、小さめのペティナイフを手にしてさっそくカット。
ゆび!指に力入り過ぎてるよ!
リラックス!怖い!
「刺さった!」アハハッて、
爆笑してる場合じゃないよ。
斜めむいてるよ!
とにかく真ん中に戻そう!
これ以上はさすがに危険なので、ご所望のつまみ食いをさせてバトンタッチ。
しかしシャリシャリ音が聞こえると、すぐにハイエナたちが集まってくる。赤ちゃんまでやって来るのだから人間の本能ってすごい。
一口食べては、またくれ!とアピールを繰り返し口の中は梨だらけ。かなり気に入ったようだ。
突然、ブホッと咳込んだら、梨がそこら中に飛び散った。たくさん入れすぎた。ごめんね。
ハイエナたちに半分ぐらい食べられ、残った梨たち。
子どもたちは、いつも食後にアイスを食べたがったりするけど、毎日、くだものを食べさせてやりたいなと思う。
贅沢だから、なかなかしてあげられないけれど、旬のくだものを食べる豊かさなんかを感じてもらえたら嬉しいな。
もつにこみさん、幸せな時間をありがとう。
そして入籍記念日、おめでとうございます。
稲城の梨は、最近は土日になると、直売所でも長蛇の列が出来るほど人気があるそう。
もつにこみさんの奥さまが、この美味しい梨でドライフルーツを作られています。
期間限定なので、よろしければぜひどうぞ。