奥さんがワーママになってみつけた我が家のウェルビーイング
「発狂するほどに戸惑っている」
4人の子育てに一区切りつけ、社員として勤め、働くことにやりがいや喜びを実感していた矢先のサプライズ。5人目の子の妊娠。
奥さんの複雑な胸中を思うと、一人もろ手をあげて喜ぶこともできず、今後のことを2人で長い時間かけて話しあいました。
育児ママから社会復帰に至るまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。
チャレンジ
「子どもが4人いて雇ってくれるところなんてない」
10年以上、ブランクがある奥さんがそう言うのも無理はありません。当時、アルバイトをしていた奥さんに社会復帰を勧めていました。
収入ももちろんですが、私よりはるかに性能の高いCPUやメモリをもっていて、これを社会のために使わないのはもったいない。
育児に対する理解は年々深まっているし、4人の育児を通して身につけた社会性やレジリエンスは、企業にとってもきっとプラスになるはず。
そんな想いを伝え続けていました。
1歩、踏み出すまで時間はかかりましたが、思いたったら早いのなんの。
社会復帰
いきなり強いヒキを見せ、1社目の面接でいとも簡単に内定をもらい、実感も湧かないまま、すぐに働き始めることになりました。
内容は、今までに経験したことがないようなマネジメント業務。
しかし実際に仕事を始めてみると、ついていくのがやっとの状況。仕事がこなせない自分に対し、相当なジレンマを抱えていました。
「わたし、この仕事ムリかもしれない……」
いつも気丈な奥さんが、珍しく弱音を吐いていました。
復帰を勧めた手前、さすがに責任を感じ、また違う仕事を探せばいいよ。と伝えていましたが、本人はそんなことは微塵も考えていなかったようです。
1ヶ月も経つと……
「私、やればできるみたい……もう慣れてちょっと余裕出てきたよ」
身震いするほど嬉しかったことを今でもよく覚えています。
ちょうどこれぐらいのタイミングで発覚した妊娠。
発狂したくもなるのも当然かもしれません。
飛び立つ
それでも愛情豊かな奥さんは、徐々に気持ちを切り替えてくれました。
雇ってすぐに妊娠と、寝耳に水の報告にも「待ってるよ」と会社からも応援してもらえたことで、さらにスイッチがはいったようです。
「出産も、仕事も頑張ってみる」
信頼された期待に応えるため、産まれてくる子供のために出産直前までリモートワークを続けました。
昼夜問わず、クライアントと連絡をとったり、難しい調整をしたりと、ストレスやプレッシャーのかかる仕事も多かったと思います。
それでもどこか表情はイキイキしていて、目の前に一気に広がった世界を、お腹の中の息子と共に飛び回っている感じ。
「いやぁ毎日ほんと大変。1日36時間欲しいわ」
よくこう言っていました。
今、思えば妊娠から出産までの期間は、とんでもなく忙しかったけど、とても充実していたような気がします。
みんながちょっとずつ協力しなければ、今まで通り暮らせない状況。今までずっと奥さんに甘えることができたのです。
子どもたちには負担をかけましたが、家族が自立するために必要な時間でした。
我が家のウェルビーイング
出産から6ヶ月。奥さんの育休も終わり、いよいよ息子の保育園初日。半年保育は初めての経験です。
「やっぱり預けたくなくなってきたな……」
息子をずっと膝の上にのせて過ごしてきた愛おしい不自由ともお別れです。出産前からこうすることを決めていました。
もう少し大きくなるまでは一緒に過ごした方がいいわ。かわいそう……。
両母からそう言われたし、私も今まではそのように考えていました。
でも今は、奥さんが自分らしくいきいきと過ごし、みんなで一緒に過ごす時間をより大切にできればいいなと思います。
これはnoteのおかげかな。
仕事も育児もがんばるパパやママとの出会い、先輩の経験談など、さまざまな考えや価値観に触れることができたことが大きいですね。
迷い、悩みながらも、自分らしく生きることを大切にされているみなさまにいつも勇気をもらっています。ありがとうございます。
なにが正解か今はまだわかりませんが、みんなで助けあい、我が家なりのウェルビーイング、これからも探し求めていきたいと思います。
* * *
「泣いてるかな……?」
「泣いてなかったらちょっと寂しいね……」
慣らし保育の息子を2時間後、迎えに行きました。
「初めてじゃないぐらい落ち着いていて、ずっとニコニコしていてビックリですよ!」
保育士さん以上に私たちもビックリ。騒がしい環境はお腹の中にいる時から慣れているのかもしれませんね。
「頑張ったねぇ、国宝級イケメン!」
息子をギュッと優しく包みこんだ奥さんの目にはうっすら涙が浮かんでいました。寂しいのやら嬉しいのやら。
その日の夜……なんと息子が……
プゥ〜〜〜〜! プッ!
しかも2発も屁をこいた。
赤ちゃんうつぶせになると屁こくのカワイイよね。
息子も自立するために頑張っているのでしょうね。私も頑張ろう。
家にみんなの笑い声が響き渡っています。
これが我が家のウェルビーイング。