コンテンツディレクターの仕事とは? 現場社員が語る業務内容と働き方
コンテンツディレクターの業務とは?
――「コンテンツディレクター」の業務内容について教えてください。
高浜と文(以下、高浜):私たちが所属している「コミュニケーションデザイン事業部」では、クライアント企業のマーケティング、とりわけコミュニケーションにおける課題を「コンテンツ」を通して解決する支援をしています。
そのなかでも多いのは、オウンドメディアの立ち上げや運用の案件で、コンテンツディレクターの日常業務としては、そこに掲載するコンテンツの制作が中心になります。
島田怜於(以下、島田):クライアントのオウンドメディアといっても記事コンテンツに関しては、専門家に寄稿をお願いしたり、関係者や有識者に取材して記事にしたりと、制作のプロセス自体は一般的なWebメディアと大きく変わらない印象です。
オウンドメディアの場合は著名人だけでなく、現場の社員の方にインタビューする機会も多いですね。取材記事の場合は、企画を立てて取材依頼し、ライターやカメラマンをアサインしたうえで取材。出来上がった原稿を編集して納品、掲載というのが大まかなフローです。
――コンテンツの企画は、どのように立てられていますか?
高浜:案件や記事のタイプによってかなり変わりますね。ゼロからこちらで企画を考えることもあれば、クライアント側から企画案をいただくケースもあります。
たとえば、「新製品の発売に合わせて、開発者が製品紹介する記事をつくりたいです」という要望が来たら、それをもとに記事の構成案を考えます。ただ、その場合でも「ただ紹介するだけでなく、こういう切り口にしたほうが読まれるんじゃないか」と、企画を逆に提案することもあります。
取材記事についても同じで、「この方にこういう話を聞きたい」という明確なオーダーがある場合もあれば、こちらからテーマに合う方をリサーチして提案することもあります。良い企画を立てるためにも、日ごろから記事や本を読んで業界研究をしておくことは大事ですね。
島田:「月に○本の記事コンテンツを出す」といったペースも案件ごとにまちまちですが、フローはそれほど変わらないです。多くの案件では「コンテンツプランナー」として、コンテンツ全体を統括する立場の者がいるので、コンテンツディレクターたちが個々に企画案を考えてきて、それをコンテンツプランナーを中心に社内で揉んでから、クライアントに提案していきます。それでOKをもらったら、制作がスタートする形です。
僕が担当している案件では、クライアントから「この社員を取材したらいいんじゃないか」「これは記事のネタになりそうだ」というアイデアの種を共有いただいて、企画前にヒアリングする段階から参加させてもらうこともあります。社内のことは当然、クライアントのほうが詳しいので、密に連携することも重要です。
――記事の〆切などもまちまちでしょうか?
島田:そうですね。ただ、雑誌や書籍と比較すると、難易度が高いスケジュールはあまりない気がします。インフォバーンには経験豊富なメンバーがたくさんいますし、制作体制としても万全なのではと思っています。
コンテンツディレクターの担当領域は?
――インフォバーンにはコンテンツディレクター以外にも、Webディレクターやデザイナーがいますが、どのような役割分担をされているのでしょうか?
高浜:コンテンツディレクターは、基本的にコンテンツの企画・構成を考える人です。記事の構成案はもちろん、たとえば記事に図版を入れるにしても、そこで伝えたいメッセージや構成要素を決め、社内のデザイナーに依頼します。
インフォバーンでは記事制作だけでなく、サイト制作やリニューアルの案件も多いのですが、そこに掲載するキャッチコピーや説明書きなどは、コンテンツディレクター自ら書くこともよくあります。
島田:プロジェクトのメンバー全員が集まって話し合うのは、最初の立ち上げの際が多いです。新規で立ち上げるときは、Webサイトの仕様やデザインなど、コンテンツ以外にも考えることが多いので、ディスカッションして決めていきます。みんなでサイトやメディアのコンセプトを立てたあと、それに沿う企画案や取材のアサイン案、編集方針などは主にコンテンツディレクターが考えています。
高浜:サイト構造やワイヤーフレーム、タグの設定といったサイト全体の設計を考えるのはWebディレクターが多いですね。実装のディレクションもWebディレクターが担います。ローンチ後やリニューアル後のコンテンツ更新は、コンテンツディレクターが中心に行いますが、表示のエラーが出たり、ボタンデザインを修正したりなど、細かい改善点が出たら、都度Webディレクターに相談します。
――だいたい1つの案件ごとにメンバーの数はどれくらいでしょうか?
島田:それも案件によって異なりますが、だいたいコンテンツディレクターは5~6人くらいが多いですかね。ただ、2~3人の場合もありますし、10人を超える案件もあります。
高浜:私が関わっているオウンドメディア運用の案件を例に出すと、プロジェクトマネージャー1人のもとにコンテンツディレクターが4人、Webディレクターが1人、広告配信を担当する社外のメンバーが2人で、社内外含めて8人の体制です。
プロジェクト全体の責任者であるプロジェクトマネージャーには、コンテンツディレクターが立つこともあれば、Webディレクターやアカウントプランナー(企画営業職)が立つこともありますね。
コンテンツディレクターと名乗る理由は?
――「Web編集者」といった名称ではなく、「コンテンツディレクター」という肩書なのは、なぜでしょうか?
島田:クライアントの課題や要望に応じて、扱う「コンテンツ」もさまざまだからです。Webに掲載する記事制作が中心とはいえ、それは手段の一つですよね。イベントやワークショップ、SNS、動画、冊子など、社内外含めて企業がコミュニケーションを取るためのものは、すべて「コンテンツ」だととらえています。
僕は最近イベント運営にも関わっています。たとえば、4つのセッションで構成するイベントを開くとして、それぞれどんなターゲットに向けて、どんなテーマで、どんな方に登壇いただくかを企画・構成します。それを基に進行台本や香盤表も用意しますし、参加募集の告知ページもつくります。
高浜:動画を制作しているメンバーもいますね。映像制作会社ではないので、さすがに撮影や動画編集は外部の方にお願いしますが、企画してコンテンツの構成を考え、スタッフをアサインして進行管理していく、という意味で、コンテンツディレクターの役割は変わりません。撮影当日のディレクションも、取材やイベントの仕切りに近いです。私が新卒入社したときにキャンペーン動画を制作する案件があったんですが、先輩のコンテンツディレクターは絵コンテまで書いていました。
島田:パンフレットや冊子、ダイレクトメールをつくるような仕事もありますし、最近ではインターナル・コミュニケーションを目的にした依頼も増えています。ワークショップを実施して、その様子を記事化して社内報に載せたり、クローズドな有識者会議の議事録をもとに社内共有できる報告書にまとめたりと、コミュニケーションに資するコンテンツというのは、本当に多岐にわたります。
――記事以外のコンテンツ制作に対して、戸惑うことはないですか?
島田:僕は前職ではWebメディアの編集や書籍編集をしていて、イベント運営などはしたことがなかったのですが、やっていくうちに編集者/コンテンツディレクターとしての本質的な役割に大きな違いはないのかなと感じるようになりましたね。
高浜:もちろんアウトプットは大きく違うので、最初は手探りなところもあります。ただ、それぞれの領域で経験を積んだ社員がいて、チームで一緒に進めていくので、徐々に自分のできることを広げていけるのかなと思います。
――島田さんへの質問になりますが、前職で経験された編集業務と、今のクライアントワークにおける編集業務とで、何か違いはあるでしょうか?
島田:具体的な業務自体はそれほど変わらないとは思いますが、読者への視点は違いますね。マスメディアでは基本的に、時事性や希少性などいわゆる「ニュースバリュー」を求めますよね。もちろん、情報を取り扱ううえでそういったことは大事なんですが、僕が普段ご一緒させていただいているクライアントの場合は、ただマスに向けて興味・関心を引いて読まれれば良いわけではなく、オウンドメディアを通して特定のユーザーの態度変容/行動変容を起こすことが目的であることが多いです。この会社の考え方は好きだなとか、この商品を使ってみたいなとか、そういうポジティブな変化を起こしたい。
だからこそ、より深く「読者を知る」ことが必要で、インフォバーンの仕事はその探索から始まることが多いです。ターゲット像や目的意識を明確にしたうえで、コンテンツ制作ができることは、個人的に面白いと感じるポイントでもあります。
コンテンツディレクターの一日の過ごし方は?
――担当案件数については、いかがでしょうか?
高浜:私は、新卒入社した直後は3案件で、今は5つの案件を担当しています。ただ、1つの案件でも業務量が違うので、純粋に年次に応じて増えていくというよりは、時期によって増えたり減ったりします。
島田:僕も今は、高浜さんと同じくらいで5~6案件ですね。制作する記事本数が多い案件のメンバーだと、担当案件が2つくらいの人もいます。
――案件にはどのようにアサインされるのでしょうか?
島田:上長がメンバー個々人の適性や稼働状況を考慮して決めています。
高浜:企業から依頼を受けて案件はスタートしますし、社内公募されるものでもないので、「自分がやりたい企業/業界の仕事を担当できる」というわけではないですが、日ごろから「これが好き」「最近、こういうことに興味がある」と社内で言っていると、それを汲んでアサインしてもらいやすいはずです。
――お二人には「一日の過ごし方」の例をあげていただきましたが、それを見ると企画書/提案書の作成や原稿の編集業務以外に、打ち合わせも多そうですね。
島田:そうですね。比較的、社内外の打ち合わせは多いかもしれません。5~6案件担当していると、1つの案件で週1回でも、毎日何かしらの打ち合わせはあります。案件数が多いと、どうしても業務が細切れになりがちなんですが、僕のような1つのことに集中力が持続できないタイプには、逆に良かったりもします。
高浜:やっぱり切り替えは重要ですよね。とはいえ、突発的な仕事が入ったときや、新しくアサインされた直後を除けば、だんだんペースはつかめてくると思います。さすがに残業時間ゼロという月はありませんが、業務過多になりすぎないようにマネージャーが個々人の稼働をチェックしています。
コンテンツディレクターから見たインフォバーンの魅力とは?
――コンテンツディレクターに必要な編集スキルやマーケティングの知識は、どう勉強されているのでしょうか?
高浜:私は新卒で入社しているので、編集のベーシックなことからインフォバーンで学びました。比較的早くから案件に入って、最初は先輩について回って取材現場や撮影現場に同行していましたね。
初めは原稿の編集の仕方もわかりませんでしたが、いきなり丸投げされることはなくて。いったん自分で編集してみて、それを先輩の編集した完成稿と見比べたり、編集した原稿に赤入れしてもらったりしていくうちに、だんだん勘所もついてきた感じです。
島田:僕の場合は編集経験はあってもクライアントワークは未経験で、インフォバーンに入ってから産業や業界について調べるようになりました。楽しいので、あまり「勉強」とは思っていませんが、僕はよく業界誌を読んだりします。昔から、知らない言葉がいっぱい書いてあるとテンションが上がって、調べていくうちにハマる癖があるもので(笑)。
――インフォバーンは「編集者」が働く環境としてどう感じますか?
高浜:私は「編集」を広い意味でとらえてキャリアを積むときに、すごく良い環境だと思っています。もともと学生時代の就職活動では、広告代理店や編集プロダクションを考えていて、どちらの要素もあることに惹かれてインフォバーンに入りました。
インフォバーンで仕事をしていると、自然とコンテンツのジャンルも、担当する業界も幅広く経験できます。特に学生のときは、「自分がしたい仕事は何か?」って具体的にはわからないじゃないですか。その点、インフォバーンに入れば、コンテンツ制作もマーケティングも学べるし、自分がどんな業界に興味があるのか、どんなコンテンツをつくっていきたいのか、働きながら見つけていけます。自分が今後携わっていきたい「編集」の対象が何かを見つけるのに、すごく良い場所なんじゃないかと思います。
島田:僕も同意見ですね。転職して入社した視点で言うと、企業カルチャーには驚きました。みんな、服装がおしゃれだなって(笑)。それは、自分からコミュニケーションを取る社交性がある人が多いからじゃないかと思います。
メディア系の編集者は一人仕事が多いので、職場にいても助けを求めづらくて、閉塞感が出がちじゃないですか。インフォバーンでは、それがないんですよね。わからないことをSlackで聞いてもパッとすぐ返してくれるし、チームで動くことが多いので気軽に相談できる。シンプルにコンテンツディレクターの人数も多いので、自然と活気づいているし、「健康な編集」をしている職場というイメージです。
高浜:業務の性質上、もともとは知識や興味がなかった案件にもアサインされますが、それは悪いことじゃなくて、自分の興味・関心の外に連れ出してくれるんですよね。だから、向き/不向きでいうと、「やらされ仕事だ」と被害者意識を感じたりせずに、「こんな業界があったのか」「こんな商品があったのか」と、好奇心を抱く対象をどんどん広げていける人が、インフォバーンには合うと思います。