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岩波ジュニア新書『動物を守りたい君へ』で見つけた、アイヌ文化への想い
アニマルウェルフェア(動物福祉)のことを考えたくて「これなら、読みやすそうだな」と手に取った、岩波ジュニア新書『動物を守りたい君へ』という本。野生生物の研究に取り組んできた研究者の方が、とても分かりやすい文章で、動物を守りたいときに考えたい視点を丁寧に伝えているこの本に、なんと、アイヌ文化に関する記述があり、感動した。
その記述があったのは第5章の「動植物と生きるために」という章だ。原発事故とペット、家畜の問題への言及、キリスト教の価値観、レイチェル・カーソンのことばにまで言及しているのだが、アイヌの自然観(この世界には人間だけが生きているのではないという考え方)にもふれていた。
P209の「アイヌとカーソンの一致」という箇所は、特に印象に残った。野上ふさ子著の『アイヌの贈り物』に書かれたギョウジャにんにくを採りつくしてはならない、ということを伝える話をしたうえで、下記のように書かれていた。
そのカムイの話の中に次のようなことばがあります。
「この世界には人間ばかりが生きているのではありません」。
なんという符合でしょうか。あのカーソンのことばそのものです。
その後「アイヌ文化に学ぶ」という段落が続き
私たちはアイヌの社会、文化、歴史などをほとんど学ぶ機会を与えられていません。
と、書かれている。この本のメインの読者は中高生だということを考えると、とても画期的な内容だと感じた。
これを読んだ「動物を守りたい」と思う人たちが、先住民族のアイヌの文化に少しでも興味を持ち、自然とのつながり、先住民族に学ぶ姿勢の大切さを感じてもらえたら…と思っている。