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【助成先紹介】梅の魅力再発見 梅嫌いでも楽しめる「うめぇ!」新提案
インクラインファンド事務局の下尾です。引き続き23年度の助成先を紹介させていただきます。※24年度の助成については追ってお知らせいたします。
今回は、まちづくり/ほっとけないこと実践部門にご応募いただき、見事採択となった高校3年生の二人組チーム、梅のトリコにお話をお聞きしました。
Q.どんな課題意識を持って、インクラインファンドへ応募してくださいましたか。
特に若者をターゲットに置き、梅の消費量を上げるため梅の魅力を発信する活動をしてきました。自分たちの活動をさらに大きなものにしたいと思い応募しました。
Q.梅に注目したのはどうしてですか。
二人とも梅がとても好きで、毎日のように食べています。梅好きというところがまず一番最初の動機です。私たちの好きな梅の消費量がどんどん減少している現状をSNSで知り、梅農家さんたちが困っているという状況を少しでも変えていきたいと思い、取り組みを始めました。
Q.実際に梅を育てている方ともお話されたんですか。
梅の生産量日本一といえば和歌山県ということで、同県の農家さんにコンタクトをとり、夏休みに実際に足を運んでお話しました。実際に農家さんから話を聞いたことで、梅の消費量が減っていることをより実感しました。食の多様性が進み白ご飯以外の選択肢が増えていることや、家族団欒のご飯においても、食卓に梅干しがあるという昔ながらの状況は今は当たり前ではなくなっているということをおっしゃっていました。
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Q.梅の魅力を発信していくために、具体的にはどんな活動をされましたか。
オリジナルの梅ベーグル・梅シロップを開発し、文化祭や提携大学でのイベント等でそれらを販売しました。また、2月には和歌山県みなべ町にて毎年開催されている和歌山県みなべ町のUME -1フェスタにも出店をしました。高校生たちが考案したオリジナル梅料理を競う「グルメ甲子園」では、37チームの中から事前の書類選考を通過した10チームが当日販売するという流れだったのですが、光栄なことに第3位という結果をいただくことが出来ました。
Q.梅の商品開発をされたということですが、それぞれの開発においてどのように進められたか教えてください。
まず、ベーグルについては2人ともよく足を運ぶベーグル屋さんがあり、コラボできないかということを2人で話をしていました。そして、お店に突撃し、店長さんに思いを伝え、OKをいただきました。
もちろん即答というわけにはいきませんでしたが、店長さんも梅が好きだということを聞かせて下さいました。そして、本社の方にも相談いただき、ぜひ一緒にと温かい返事をいただきました。
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Q.行きつけだったという話もありましたが、どうしてベーグルに注目されたんですか。
今回コラボしたベーグル屋さんは若者の間で流行っているため、私たちの狙いにも合うと思い相談をしにいきました。そして、梅の食べ方として梅×白米ではない新しい組み合わせを提案をしたいと思い、梅が得意でない方でも食べられるような梅の酸っぱさを抑えた甘い梅ジャムベーグルを開発することに決めました。
Q.インクラインファンドで得た資金は、どのように使われましたか。
提携大学でのイベントの際の材料費やベーグル屋さんへの委託費、私たちの名刺作成費などに充てさせていただきました。
Q.それぞれのイベントで工夫されたことを教えてください。
初めて出店した文化祭では、来場者のほとんどが私達のことを知っている状態だったので、私たちのことを紹介するような情報をポスター等に載せていませんでした。そこで、次の提携大学でのイベントでは、私たち高校生が梅の魅力を広める活動をしていることを積極的にアピールしました。
具体的には、大きなポスターに私達の活動紹介を載せたり、私たちのチームの名刺を作りました。
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Q.お二人が狙っていたターゲットには、アプローチ出来ましたか。
私たちのターゲットに販売できたかという点では、梅嫌いな人には手に取ってもらいにくいと感じました。というのも、ビラを配りながら声掛けをしている際、「梅嫌いやねん」と言われて引き下がることがしばしばありました。ただ、梅の酸味をなるべく減らした甘いジャムを練りこんだベーグルのことをお話すると、比較的興味を持ってもらうことが出来ました。甘いフルーティーな梅ベーグルもあるんですとお伝えしたところ、「へー!それなら見てみようかな」と言ってもらえたので、コツコツ声掛けして新しい梅の食べ方を伝えられたことはよかったと思っています。
和歌山県みなべ町のUme-1フェスタについて
Q.梅好きのお二人として、どんなフードを出されたんですか。
「うめぇ!運命の梅色ボール」と題し、梅肉巻きおにぎりを販売しました。
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Q.文化祭等これまでのイベントで好評だったベーグルではなく、新しいメニューを開発されたのはなぜですか。
お店とのコラボも経験しましたが、今回は私たちだけで作ることができる手軽なレシピでやってみようというところから始まりました。そして、私たちの活動の大前提が若者に向けたものなので、見た目の良さも意識しつつ美味しい料理をというテーマから、梅肉巻きおにぎりを開発しました。
Q.結果は見事3位!ということでしたが、お二人らしさは出せましたか。
手書きの大きな看板を作り、テントの屋根の上に置いていたのですが、それがとても目立っていたと思います。また、のぼりなど見た目の面で美味しそう、食べてみたいと思ってもらえるようなものを作ることを頑張った点では、他のチームに負けていなかったのではないかと思いました。
また、フェスティバル当日は、ずっとお客さんが並んでいる状態で忙しい時間が3-4時間続きましたが、その中でも全てのお客さんに喜んでいただけるよう、気持ちよく購入していただけるよう、終日笑顔で接客することを意識をして頑張っていました。
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Q.振り返って、やりきれなかったことはありますか。
もともと、梅が得意でない人にも梅を好きになってほしいと思って始めた活動でした。特に若者に対してアプローチするということが私たちの目標でしたが、それぞれのイベント出店の経験において、お声掛けしても「梅が嫌いなのでちょっと…(遠慮しておきます)」と言われることも多かったです。これらを踏まえると、梅の魅力を伝える上で、梅が嫌いな人も手に取ってもらいやすい商品を、梅ジャム以外にも販売できるとよかったかもしれません。自分たちの「好き」から始まった活動ですが、私たちが好む酸っぱさ等を推しだすのではなく、苦手な人でも手に取ってもらえるような商品をもっと作ることが出来たらもっとより多くの人に届けられていたのではないかと思います。
また、名刺やビラにQRをつけ梅についてのアンケートに答えてもらえるようにしたのですが、アンケートの回答が19件と、想定よりも集まらなかったことがとても心残りです。そのアンケートは恐らく梅好きな人が答えてくださっていると思うので、アンケート自体はもう少し工夫が必要だったと思っています。次の機会があれば、質問を厳選し、すぐに完了するアンケートであることをアピールして、もっと多くの方に答えていただきたいです。
Q.今後の展望について教えてください。
具体的なことはまだ考えられていないですが、このプロジェクトを通して農家さんやベーグル屋さんをはじめ様々な方と関わることが出来ました。そのご縁があって次のイベント出場が決まったりと、本当にありがたかったです。その関わりを終わりにしてしまうのは勿体ないと思っているので、どんな形でも、少しでも続けていきたいと思っています。
==================================================チーム名の通り、お二人の「梅好き」から始まったプロジェクトですが、一般的に言われている梅の特徴をただアピールするだけでなく、梅が苦手な方へのアプローチまで視点が及んでいるところが、「どんな人にも梅を楽しんでもらいたい!」という気持ちが感じられました。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。
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