吉本ばなな 著 「読む三ツ矢サイダー」
本ではないのですが、たまたま買った三ツ矢サイダーに載っていた。
全集、そして英語版も網羅している私にはたまたま取ったものに、奇跡を感じずにはいられなかった。尊敬してやまない吉本ばなな氏の活字。
吉本ばなな氏は
「人生そうそういいことばかりでない、それでも絶望せず、闇でももがきながら、光を失わない、芯の強さを感じとることのできる活字を生み出す小説家。」
例えるとそう言う作家。
やはり日本語の表現が一層引き立て、色彩を放つ…日本人の色彩感覚は世界でも稀に見る美しさを誇る。
その色彩を、見ることのできる活字はそうそうない。
春の芽吹く花や草達の生命の力強さ…
夏のむせ返るような暑さと弾けるような入道雲…
秋のかさかさと赤や黄色の絨毯が舞う音…
冬の全てを覆い尽くすしんしんと重く積もる雪の音…
そういうのをつぶさに感じることのできる本。
どれが1番なんて選べない。
何度でもどの小説でもその四季の色彩がページを開く度、包み込んでくる。
読み終わった後のなんとも無慈悲で、哀愁を感じずにはいられない感情を生む。
吉本氏の小説はそういう感情を生む活字。
生み出すことのできない自分の下らない嫉妬すらも包み込む壮大さ。
狂おしい程読みたくなる…もう一語一句覚えているのに。
中毒性というよりは、モーゼに縋るような感覚…