衛生管理者になるまでの3ヶ月の道

こんにちは。IVRyコーポレートの今西です。

昨年の記事にも書きました通り、IVRy、10月にて社員番号が50に到達しました!2024年1月の時点で、63人の会社になっています。

一緒に働ける人が増え、やれることも増え、、と喜ばしいことばかりですが、従業員が50人以上となると、安全衛生法上、さまざまな義務が生じます

その中でも個人的に非常に手間だったのが衛生管理者に関する手続きでした。人員数の増加による楽しいところを最大限享受して面倒なことは最小化できるよう、いつくらいからどのような準備を始めるのが良さそうかを記載していきます。


忙しい人用のまとめ

「全文読むのが面倒・そんな時間はない!」という方に先に要点をまとめると、衛生管理者資格の取得は時間と手間がかかるため、50人以上になるであろうタイミングの少なくとも3ヶ月前には、資格取得に向けて動き始めるのが安全ということです。

以下要因によって大変&時間がかかるために、前もった準備をお勧めします。

  • 資格取得のために試験を受けないといけない(ことが多い)

  • その試験の開催頻度・枠が決まっている

  • 受験申し込みの方法が非常にアナログである

  • 試験勉強の時間も一定必要である

時間のかかり方の一例として、関東だと試験は月3〜5回実施されますが、執筆している2024年1月30日の時点で、最短で受けられる試験は1ヶ月後(2024年2月28日開催分)でした。後述しますが、申し込みの準備のために1ヶ月程度受験〜免許取得までも2週間程度かかるので、合計で3ヶ月程度となります。

前提:50人以上になると求められる法的義務

障害者雇用促進法もそうですが、主には「労働安全衛生法」に留意する必要があります。この法律によって、「常時使用する労働者が50人以上の事業場(*1)」では、従業員の安全と健康を守るために様々な義務が生じてきます。

具体的には以下の対応が必要になります。

  1. 産業医の選任

  2. 衛生管理者の選任

  3. 衛生委員会の設置

  4. 定期健康診断の労働基準監督署への報告

  5. ストレスチェックの実施

  6. 休養室の設置

このうち、3以降については社内で設置すれば良い and/or 50人以上となったタイミングで実施すれば良いものですが、1と2については事前の準備が必要となります。その中でも手間と時間がかかったのが衛生管理者の選任でした。


*1 厳密な定義として、「労働者」には正社員以外も含みます。また、「事業場」単位での人数把握となるため、複数の事業所を持っている場合には原則として事業所ごとに数をカウントします。

常時使用する労働者の数は、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数をいいます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09985.html

一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/roudouanzeneisei/q1.html

「衛生管理者の選任」の目的

職場における労働者の健康障害を防止するために、その事業場専属の「衛生管理者」を選任しなければなりません。衛生管理者は少なくとも週に1度は職場を巡視するなど、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければならないとされています。

その衛生管理者、資格保有者しかなることはできません。既に資格保有者がいる場合は問題ないのですが、誰もいないために新たに取得が必要となるとなかなか大変な手続きが求められます。と言うのも、各種申請手続きが非常にアナログで時間と手間がかかるためです。

「衛生管理者の選任」に向けた資格取得の方法

⓪必要な資格は第一種or第二種?

管理衛生者には第一種と第二種の2区分が存在し、自社の業種によってどちらを取得する必要があるかが変わります。端的にいうと、有害物質を扱う業界であれば第一種、それ以外は第二種の免許を取得します。

第一種 or 第二種
https://www.agaroot.jp/eisei_kanri/column/difference/ より

以下の手続きとの関係で言うと、第一種or第二種で変わるのは試験勉強の範囲になります。申込手続きの内容は変わりません。

申込手続きには大きく以下3ステップがあります。それぞれ下記で書いていきますが、大変なのは a と b です。

  a. 受験申請書の入手
  b. 必要書類の収集
  c. 申し込み

①-a. 申込み手続き:受験申請書の入手

入手方法は以下の2つあります。

  i.  受験申請書取扱機関へ出向いて入手
  ii. 郵送で請求・入手

出向く場合は、安全衛生技術試験協会のHPより、お住まいの地域の取扱機関へ行ってください。関東の場合は、こちらのページより検索できます。

都内の取扱機関一覧
( https://www.kanto.exam.or.jp/asscn/hanpukikan.htm より )

郵送の場合は、以下ア〜ウを同封の上、安全衛生技術試験協会のHPに記載の「本部・各センター」に送ります。

ア.「免許試験受験申請書(*受験したい試験の種類*) n部」と明記したメモ
イ.  連絡先
 ・昼間連絡が取れる電話番号
ウ. 返信用封筒
 ・大きさは 角形2号封筒 縦34cm・横24cm
 ・返送用の宛先を記載
 ・返信用郵送料金の切手を貼る・・・金額は部数に応じる
   1部:210円
   2部:250円
   3~4部:390円
   5〜9部:580円
   10部以上:請求する各センター又は協会本部へお問い合わせ

https://www.exam.or.jp/exmn/H_seikyu.htm#shikenより

①-b. 申込み手続き:必要書類の収集

次の3書類を集めます。

  i.   試験手数料(8,800円)の納付証明
  ii.  証明写真(30mm x 24mm)
  iii. 各種の添付書類

i. の試験手数料について、試験手数料は①-a.で取得した受験申請書内の払込用紙を用いて、銀行や郵便局などの金融機関から払い込む必要があります。

ii. 証明写真については、機械で取るのが一般的かとは思いますが、自撮りした写真をプリントアウトする形でも大丈夫ではあるようです。

一番面倒なのは iii. 添付書類で、これまでの職歴・学歴によって必要書類が変わります。詳細は安全衛生技術試験協会のHPより、受験資格をご覧ください。

スタートアップにお勤めでこの試験を受ける方は以下の受験資格に該当する人が多いのではないかと推測します。その場合、ア・イとして記載の2つの書類が必要になります。

【受験資格】
大学・短期大学・高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの

【添付書類】
ア. 卒業証明書の原本 または 卒業証書(学位記)の写し
イ. 事業者証明書

https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htmより

ア. 卒業証明書については、以下の方法で収集等を行います。

  • 取得時からの期限については特に定めがない

    • よって、家にある場合にはそれを出せばOK

    • 手元にない場合には、

      • 卒業証明書:大学等に言って発行を依頼

      • 卒業証書:実家に連絡するなどして取り寄せ

イ. 事業者証明書については次のような形で準備していきます。

  • 受験資格にある1年以上労働衛生の実務経験(以下*)の証明が目的

  • 指定フォーマットがあるので、以下方法にて取得

    • ①-a.で取得した受験申請書内に綴じられているものを使用

    • 安全衛生技術試験協会のページよりダウンロード

  • 職場の担当者や上司に確認し、その署名をもらう

*実務には以下13項目が含まれます

実務に含まれる業務
( https://www.exam.or.jp/exmn/eisei.pdf より)

このステップでは、郵送での取り寄せや職場内での依頼に案外時間がかかってしまいますが、ここまで揃えてやっと受験申し込みが可能になります。

①-c. 申込み手続き:申し込み

各地区の安全衛生技術センターへ持ち込みか郵送にて申込書を提出します。提出先は安全衛生技術試験協会のHPをご覧ください。

申し込みの方法によって期日が以下の通り変更となりますのでご注意ください。

  • 持ち込み:2か月前から2日前まで
     ※センターの休業日を除く

  • 郵送:2か月前から14日前まで(消印有効)

ただし、先述の通り、関東の場合は、執筆の2024年1月30日時点で最速で受けられる試験は2024年2月28日開催分となっていたので、実際には希望受験日の2〜1.5ヶ月前早々に申し込みを行うのが安全です。

②試験勉強

ここにきてやっと試験勉強を始めます。

衛生管理者の試験対策に必要な勉強時間は、第一種が100時間、第二種が60時間が目安と言われています。試験範囲や合格基準はざっくり以下の通りですが、

出題範囲と合格基準
( https://www.agaroot.jp/eisei_kanri/column/eisei_kanri-study-hours/ より)

勉強方法については、上で引用させてもらったアガルートアカデミーさんの記事が詳しいのでぜひご覧ください。私なりにおすすめ方法を簡単に言うと次のようになります。

  • 各試験範囲の中に細かく単元が分かれていて、その単元ごとにも毎年出る/ほぼ出ないがけっこう明確

  • 正答率も100点を目指す必要はなく、全体として60%を取れれば良い

  • よって、過去問を中心に解いて出題傾向を把握→よく出る/よく間違う単元に関してテキスト等で細かく理解 の流れで勉強するのが良さそう

なお、僕は本当に過去問しか解きませんでした。結果的に受かったので偉そうなことを書いていますが、受験直後は真面目に落ちたと思ったので、もう少しテキストに目を通しておく方がよかったんだろうなと反省して、上のような勉強法をオススメしています。

受験直後の感想

③受験票の受領〜受験

ここは割愛します。ペリペリと剥がすタイプのハガキで受験票が送られてくるので、試験内容や氏名等が間違いないかを確認します。持ち物(できればHB以上の鉛筆とか)も記載されているので試験当日までに揃えます。

あとは寝坊しないように試験会場へ向かって受験してください。

④結果発表・免許登録

試験の2週間後くらいに結果が発表されます。合格していた場合は、免許取得申請を行います。ここでも郵送が絡んでくるので、時間がかかります。

必要な書類は以下の5つです。

  i.   厚生労働省のHPからダウンロードできる免許申請書様式
  ii.  申請書に貼る免許書用顔写真
  iii. 収入印紙1,500円
  iv. 免許証返送用封筒に貼る434円切手
  v.  合格後に送られてくる免許試験通知書

i.の書き方だけが煩雑なのですが、厚生労働省が出しているマニュアルに則って記入してください。

これらを同封した封筒を送付して、免許が返送されてくれば、晴れて衛生管理者です。

「衛生管理者の選任」にかかる時間

上の手続きをまとめると、申請書の取得や申込手続きを郵送でするかどうかで大きく変わってきますが、①〜④の手続きにそれぞれ以下の時間がかかると思っておくのが安全そうです。

①-a. 申込み手続き:受験申請書の入手・・・2週間程度
①-b. 申込み手続き:必要書類の収集・・・2週間程度
①-c. 申込み手続き:申し込み
---ここまでを遅くて受験の1.5ヶ月前には完了しておく---
②試験勉強
③受験票の受領〜受験
④結果発表〜免許登録・・・2週間程度

よって、受験日の2.5ヶ月前、50人超のタイミングの3ヶ月前には動き始めておくのが安全です。

最後に: We are hiring!!

おかげさまで人は増えてきたものの、やりたいことに対してで言うとまだまだ全方位的に足りていません!

このnoteをお読みいただいて、少しでもIVRyが気になった方はぜひお気軽にご連絡ください!

エンジニア、デザイナー、マーケター、セールス、採用人事、コーポレート含め、職種問わず仲間を募集しています!よろしくお願いします。


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