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井出崎・イン・ザ・スープ
2018年11月9日 21:00
君の髪を撫でる。普段なら触らせてくれない、君の髪だ。張りのない表情、少し口を開けて寝息を立てる君はとても無防備で、ひいき目にみても正直なところ、可愛いとも綺麗とも言えない。いつもの方がよっぽど良い。ただ、とても愛おしいとは思う。だから、触れたくなる。出来るだけ控えめに、君を起こしてしまわないように。君の髪は少しにおう。それはシャンプーの良い香りとか、湿った不快な臭いとか、そういうことで
2018年10月31日 15:27
吉祥寺の一角に佇む、かつて通い詰めていたお気に入りの美容室で髪を切ってもらった。一年ぶりである。いつも担当してくれていた店主は僕のことを覚えてくれていた。「久しぶりだね」と店主は不器用な笑顔を浮かべ、僕を迎えてくれた。オシャレな街でオシャレな内装で若いスタッフたちに囲まれながら、相変わらず僕たちは漫画の話しかしなかったし、相変わらず店内の雰囲気に不釣り合いとも言えるほどの不愛想な表情で、彼は僕