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よろしく愛して

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実りがない人生ならば、 長期展望にどんな意味があるのでしょうか。 どんな時でも、しょうがない人でありたい、 そんなしょうがない人を愛していたい。
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2019年3月の記事一覧

その愛は正義か

その愛は正義か

愛とは何だろう、と、よく考える。

愛のようで愛ではない何か、についても、よく考える。

本当は愛だとか恋だとか仰々しく語るのは好きではない。口にするのだって恥ずかしいのだけれど、このnoteでは頬を赤らめながら結構「愛」について書いていたりする。一方で、愛なんてそんな大それたものではないとも思う。

どうやら、日本に「愛」なんて言葉が流行ったのも、元はと言えば英語の「Love」に相当するものとし

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明日になれば

明日になれば

明日になれば君は来てくれるかもしれない、なんて歌を大学一年生の頃に作った。

そのフレーズは、「きっと不安も痛みも知らなかったなら今より好きだとうまく言えるんだろう」なんて風に繋がった。

好きな人の話がしたくてしょうがなかった頃だ。

何となく春になると、無性にあのイントロのコードが鳴らしたくなる。

寝ても覚めないという地獄

寝ても覚めないという地獄

『寝ても覚めても』を読んだ。

誰かを愛して、誰かを失くして、それでも誰かがずっと側に、そして遠くに居るなんて地獄以外のナニモノでもないっすね。

なかなか特徴のある作風で、固有名詞を散りばめて、どうでもいい会話の中にクセのある口調を織り交ぜながら、時折思い出したかのように空気の抜けた一文を置いてくる、わかるかな。限りなく主観的でありふれた日常に主人公の偏愛性を見出した小説で、つかみどころがなく、

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久しぶりにさようなら

久しぶりにさようなら

明後日、僕はこの部屋を出てゆく。大学入学を機に上京し、4年間ここに暮らした。

神田川に流れる水の音を聞きながら朝の光で目を覚まし、そのたびに何かが起こるような高揚感に浸った。徐々に何も起こらないことも知った。

何も手につかなくさせる春に咲いてはすぐに散って行く、あの桜の物悲しさを

メロンソーダを作るために近所のスーパーを駆けまわり包まれる、生ぬるい風が運ぶ初夏の香りを、初めての恋人と夕暮れを

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