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四 できつつある日常
入学してから三週間もすると、新しい環境にも慣れ、学校には日常というありきたりな空気が流れ始める。
翔太にとっても、それは当てはまることだった。
クラスでは依然友人はいない。たまにクラスメイトとかわす言葉も、事務的な者しかなかった。
それでも翔太は、学校で居場所を見つけつつあった。
昼食の時間になれば屋上へ行き、楓と一緒に弁当を広げる。相変わらず会話は少なく、座る距離もすこし縮んだだ
プロローグ 屋上にて
桜が満開の時期を終え、散りだした頃。
相田翔太は、弁当を手に学校の階段を屋上に向かって上っていた。
新学期が始まって今日は五日目。クラスではまだ緊張した空気が漂いつつも、新しい友人や環境に適応しようとする雰囲気が漂っている。昼の昼食時間でも、近い席の生徒同士で昼食をとる生徒の姿が見えるようになっていた。
そんな中、翔太は一人階段を上り続ける。
屋上に続く扉には鍵がかかっていて生